ロールシャッハテストB

まさみの18禁オリジナルBL小説ブログ。

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三十一話

 心地よい振動に揺られ夢心地でまどろむ。
 誰かが俺を抱いている。
 俺の背中に腕を回し膝裏に片腕をくぐらせ抱きかかえている。
 胸板に頭を凭せ掛ける。
 鉄くさい湿り気を帯びたシャツ越しに規則正しい鼓動が伝わる。
 波乗りのリズムで寄せては返すまどろみをたゆたい、胸板に頭を預ける。
 どくん、どくん。
 力強く轟く心臓の音がぬくい安心感を与える。
 耳から直接流れ込む鼓動は血流を介して一定の波長で体内に響き渡る。
 人体の七割は水でできてると鍵屋崎が言ってた。
 ならこれは俺の中の水がとぷんとぷん揺れてる音だ。
 鼓動に共鳴して内と外一緒に波打ってるからこんなに気持ちがいいんだ。
 寄せては返す波のような浮遊感に身を委ねる。
 指しゃぶりの赤ん坊にもどって羊水に浮かんでいるような安息に浸る。
 お袋の子宮の中で聞いた音に似ている。
 もちろん産まれる前のことなんか覚えちゃないが、お袋の腹にいた時に聞いていたのと同じ音が、細胞単位の本能に刷り込まれた郷愁を呼び覚ます。
 心臓が、鳴る。
 どくんどくんと鼓動を打つ。
 シャツ越しの胸板にぺったり頬をくっつける。
 体温を逃がさないように体を密着させる。
 汗臭い匂いが鼻腔をつく。
 鉄錆びた匂いがそれに混じる。
 小鼻をひくつかせ違和感を感じとる。
 何度も嗅いだことのある馴染みの匂いに誘われ薄目を開ける。
 視界がぼやける。
 ゆっくりと瞬きし、焦点をこらす。
 闇。延々と闇が続いている。
 どこだここ?
 空白の頭に疑問が浮かぶ。
 見慣れない景色に戸惑い、次いで漠たる不安を抱く。
 目を開けたら当然あると思ってた房の景色がない。
 配管剥き出しの天井と染みだらけの壁とゴキブリが這いずり回る不衛生な床とガタのきたベッド、あのお馴染みの光景がどこにもない。
 殺風景な房の景色が当然目に飛び込んでくると思ったら視界に映り込んだのは冷光灯の青白く不健全な光とひびの入った壁、陰惨に寂れ果てた暗渠の景観。
 ねっとりと濃厚な闇がそこかしこに蟠り、そこはかとなく不気味な気配を醸す。
 黄泉の旅路?んなまさか。鯨の胃の中だって言われたほうがまだしも説得力ある。眠気は晴れない。頭の芯にはまだ靄がかかっている。体がだるい。なんだかひどく現実感がない。俺が今ここにこうしていることにさっぱり現実感が伴わず、本当の俺は房のベッドで寝てるんじゃないか、これは夢なんじゃねーかという疑惑が晴れない。本当の俺は今も房にいてぐーすか眠ってるんじゃねーか、隣にはレイジがいるんじゃねーか?「相変わらず寝ぼすけだな。悪戯されても知らねーぞ」ってお気楽に笑いながら俺の鼻を摘んで起こそうとしてるんじゃないか?ほら、今にも音痴な鼻歌が聞こえてきそうな……
 ぱしゃ。
 鼻歌代わりに耳を打つ水音。
 だれかが水溜りを蹴散らす音。
 「!」
 顔を上げる。
 「道了……」
 道了が、いた。
 顔色は酷く蒼ざめていた。蒼白に近い。
 半眼に垂れた瞼は重く、薄く切れ込みを入れたような双眸は朧な光を放ち朦朧と澱んでいる。
 道了は歩いていた。
 惰性的な動作で足を繰り出し自分と俺と二人分の体重をなんとか運んでいたが、その足取りは今にも倒れそうに心許ない。
 水溜りに突っ込んでズボンの膝までびっしょりぬれても一切構わず、水溜りの存在自体意に介さず、もはや冷たさも寒さも感じないかのように無感動な様子で足をひきずっている。
 派手に水溜りに突っ込む。
 盛大な水柱が立つ。
 俺の頬にまで飛沫がかかる。
 道了は気にしない。
 ズボンと靴が見る影なく汚れても水溜りに踏み込むのをやめず、迂回して体力を削ぎ取られるくらいならと本能に駆り立てられ直進する。
 糸で繰られたマリオネットのぎこちなさ。
 とうに踊り疲れても四肢を縛す糸が倒れるのを許さない。
 歩みを止めさせるには足を切り落とすしかない。
 上着の肩に目をやる。
 見るも無残な銃創が穿たれた肩はどす黒い血で湿っている。
 左肩から左腕までぐっしょり濡れそぼり鉄分を含んで赤黒く変色し、背中を抱いた腕がぬるりとする。
 「あれからずっと、歩き通しだったのか?」
 驚きを隠せず、聞く。
 道了は答えない。
 口を開くのも億劫だというふうに気だるげな様子でこっちを一瞥もせず惰性的に足を繰り出す。
 横顔を見た限りじゃ俺の声が届いてるのかどうか判断付かない。
 疲労が極限に達し視覚聴覚のたぐいが麻痺しているのかと危惧するほど、道了の無反応は堂に入っていた。
 憔悴激しい横顔が何より雄弁に真実を物語る。
 道了は昨日からこっち俺を抱いて歩き通しだった。
 おそらくはひと時も休まず何かに憑かれたような執念深さで歩き続けていたのだ。
 目的地もなくひたすらに、肩から大量の血を流しながら。

 ここはどこだ?

 腕の中で跳ね起き弾かれたようにあたりを見回す。
 あたりは真っ暗だ。壁の照明は全滅。さっきまではひとつふたつ生き残ってた照明も今や完全に光の供給が途絶え廃墟の残骸と化している。
 払っても払っても払いきれない闇、どこからともなく無尽蔵に懇々と湧き出る闇に圧倒される。
 漸く晴れ始めた眠気の残滓の中から、輪郭の不鮮明な記憶を掴み取る。

 『はなせよ、はなせってば!畜生なんだって言う事きかねーんだ、なんだって俺の好きにさせてくれないんだよ!?俺が好きなのはレイジだ、お前じゃない、お前にさわられんだけで虫唾が走る!さんざん抱かせてやったんだからもういいだろうが、もう許してくれよ、解放してくれよ、俺をレイジのところに行かせてくれよ!レイジ、俺の声が聞こえてるか?いい加減へそ曲げんのやめて戻ってこいよ、俺だってひとりぼっちは寂しいんだよ、こんな恥ずかしいこと言わせんじゃねーよ!ホセ、いるか?お前なに考えてんだ、サーシャの兄貴さらってなにしようってんだ、これ以上お前の陰謀とやらに東京プリズンを巻き込むんじゃねーよこの色黒メガネ!!』

 下水道に殷々と反響する叫び声、
 伸ばした手の先で無情に遠ざかる背中。
 レイジと連れ立って歩き出した隠者に向かって俺を吠える、腹の底から声振り絞り憤激の咆哮を上げる。 
 けれどもレイジは振り向かず歩みを緩めることなく闇に溶け消え、後に残された俺は悔しくて悔しくて、込み上げる激情に翻弄されるがまま道了の腕の中でしゃにむに身をよじり暴れまくった。
 四肢をばたつかせひび割れた奇声を発しもがいてもがいてもがきまくって、道了の腕から飛びおりこけつまろびつレイジを追おうとしたが、道了は俺を抱きしめて放さず、レイジからむりやり引き剥がすようにして逆方向へと歩き出した。
 さんざ暴れ疲れた俺は極限まで張り詰めた糸が切れるように気を失って、目が覚めたら相変わらず道了の腕の中だった。

 悪夢。

 「汚い手でさわってんじゃねーよ」
 お袋と梅花を殺した手でさわんな。
 大人しく抱かれてるのがふいにたまらなくなる。
 激烈な拒絶反応を示し今度こそ飛び降りようとして異変を察する。
 視界が上下する。
 がくんと腕が落ちる。
 突如として道了の腕と膝が萎え、危うく俺をおっことしかけたのだ。
 「っぶ!?」
 派手に水溜りに突っ込む。
 飛沫をもろに顔に被る。
 なにすんだよと叫ぼうとして、悲愴な形相に息を呑む。
 道了の顔はほとんど妄執の域に達していた。
 顔は白く強張って、濡れそぼった前髪が垂れ落ちた半眼の双眸は焦点が合わずに朦朧とさまよい、全身から瘴気じみたオーラを発する。
 一歩ごとに容赦なく体力を削ぎ落とされ、歩幅が狭まっていく。
 「おい、道了………」
 道了は呼びかけに応じず、惰性が習性と化した夢遊病者めいて覇気の欠ける足取りで歩き続ける。
 道しるべ代わりの血痕を歩いたあとに点々と残しながら、行くあてもなく歩き続ける。
 一度立ち止まったらそれきり動けなくなる危惧に駆られ、回線がショートして動作に支障をきたしてもなお危うい均衡の上に地を踏みしめる。
 靴裏と床が擦れる耳障りな音が響き、道了が鈍重に足をひきずっているのがわかる。
 ぱしゃ、ぱしゃ。
 水溜りを弾き飛沫をしぶかせひたすら前へ前へと進む、もはや歩いてるとはいえずその姿は半死半生足をひきずっているように見える。
 二本足で立ってるのが奇跡に近い状態で前に進もうとすれば、必然無理が祟って衰弱の度合いが高まる。
 弾丸に抉られた肩だけでなく、許容量を超えた疲労を蓄積した内臓のダメージも深刻。
 生身の人間なら即ぶっ倒れてもおかしくない極限状態にしかし道了は驚くべき精神力でもって耐え続ける。
 何がお前にそこまでさせるんだ?
 「!?わっ、」 
 でかい振動が襲う。
 不可視の圧力でぶたれたように道了の体が傾ぎ、前のめりに倒れこむ。
 おっことされる。
 風が頬を切り急激に地面が近付く。
 衝撃を予期し固く目を閉じるも、俺の体はふわりと浮遊感に包まれ、当初の予想に反し至って穏便に着地。
 慎重に目を開ければ鉄錆びた血の匂いを発する腕が離れていくところだった。
 最後の力を振り絞り、できるだけ衝撃を与えないよう細心の注意を払って俺を下ろす。
 優しいと形容してもいいくらい静かで穏やかな手つきだった。
 名残惜しげに離れた手が虚空に垂れたかとおもいきや、次の瞬間。
 「……………っ、」
 肩で壁を擦るようにして道了が膝を屈する。
 「おい、大丈夫かよ!?」
 条件反射で叫ぶ。
 こんなやつ心配に値しねえ、どこで野たれ死のうが知ったことかともう一人の俺が反発するが、救い難いお人よしの上に度し難い馬鹿の二重苦なもう一人の俺が勝手に口を乗っ取って叫んでいた。
 あれこれ考えるより先に勢い良く立ち上がり、壁に寄りかかって膝を折った道了に駆け寄る。
 傍らに膝をつき顔を覗き込む。
 「ひでー顔色。汗でぐっしょりじゃねーか」
 額にふつふつと脂汗が滲む。ぐったり仰向けた顔はもとから白いのが輪をかけて蒼ざめて蝋人形と見まがうばかり。左腕がだらんと落ちている。最前まで俺を抱いて運んでいたその腕は役目を果たし終えたと言わんばかりに間接が伸び切って、今じゃ使い物にならない状態だ。
 こうしている今も傷口から滲み出た血がしとどにシャツに吸われている。
 一目見てわかる危険な状態。
 放っとけば命に関わる。
 「……………っ…………」

 だから?
 だからどうしろってんだ?
 梅花とお袋の仇を助けろってのか?
 冗談じゃねえ、なんだって梅花とお袋を殺したやつを助けなきゃいけねーんだ。 

 「……知ったことか。お前なんか勝手に失血死でもショック死でもしちまえ。いいきみだ、ざまーみろ。お袋と梅花にやったことのばちが当たったんだ、いい気味だよ本当に、せいぜい苦しみながら死にやがれ。なあ道了、手足の先からちょっとずつ冷たくなってく気分はどうだよ。自分の体から刻一刻と血が抜けてく感想聞かせてくれよ。一生に一度できるかできねーかの貴重な体験だ、今後の参考に教えてくれよ……」
 妙なふうに顔が歪むのがわかる。
 無理をしいて虚勢の笑みを浮かべたつもりが、どうやら上手くいかなかったようだ。
 顔筋が不自然に強張って、笑みというよりも痙攣の発作じみた卑屈な表情をさらす。
 「無視すんなよ。何とか言えよ」
 腹の底で沸々と激情が煮え滾る。
 汚れたスニーカーで膝を蹴る。
 反応なし。深々項垂れたまま気を失ったのか微動だにしない。
 まさか本当に死んじまったんじゃねーだろうな?
 再び爪先で小突いて反応を見る。……うんともすんとも言わねえ。
 壁に寄りかかった道了は銀のメッシュが入った前髪に表情を隠し、廃棄処分された人形の如く腱の伸びきった四肢を放り出している。
 「生きてんなら返事しろよ」
 静寂が鼓膜に染みる。
 俺の声はむなしく壁に跳ね返る。   
 暗闇に一人残されて今しも闇に輪郭が溶け込んで俺の存在が消えてなくなりそうで、強迫的な恐怖が暴走する。
 入り口も出口もない漆黒の闇の中、帰り道もさっぱりわからない下水道の片隅に取り残されるかと思うと恐怖が暴走し全身の産毛が逆立つ。
 俺を残していくな、俺を置き去りにするな。
 こんな暗くて冷たい場所にひとりぼっちでおいてくなおいてかないでくれ、お前が連れてきたんだからちゃんと責任とれ!
 喉元に罵声が殺到する。
 苛烈な叱責を浴びせようとして、舌がかじかんでいるのに気付く。

 しっかりしろ、俺。
 びびってる場合じゃねえ。 

 けれども足腰が震えて情けない話今にも漏らしちまいそうで、挫けかけた気力を叱咤し奮い立たせ発破をかける。
 「悪い冗談やめろよ。お前がこの程度の事で死ぬわきゃねーだろが、この程度でぽっくり死ぬような男が月天心の首領名乗れるわきゃねーだろが。聞こえてんだろ不死身の假面、お前の事だよ道了、今俺の目の前で呑気に居眠りしてる胸糞悪ィ面のお前だよ!悪趣味な遊びはよせよ、起きろっつたら起きるんだよ、こちとらお前のタヌキ芝居に付き合ってやるほど暇じゃねーんだよ!」
 手を伸ばし胸ぐらを掴み、力任せに揺する。
 手加減は一切しない。
 胸ぐら締め上げてがくがく揺さぶって怒号を浴びせても一向に目覚める気配はない。
 俺に揺さぶられがるまま、支えをなくした首を前後に激しく打ち振る。
 死に化粧が施された顔に不吉な予感が疼き、俺は道了がこんなあっけなく死んじまったなんてまさか嘘だろおい信じられねえ嘘だって言ってくれだれか、こんなふざけた幕切れ認められっか……

 「……………………ロ、ん」
 混乱した頭に、声が射し込む。

 「!?道了っ、」
 手を止める。
 胸ぐらを掴んだまま顔を上げる。
 蒼ざめた瞼がかすかに震え、薄く切れ込みが入る。
 ゆっくりと瞼が持ち上がり、苦痛に霞んだ金と銀の双眸が覗く。
 俺を認めた道了が開口一番言い放った言葉は……
 「うるさい、餓鬼だ」
 「………それでこそ假面だぜ。死に損なっても態度はでかいまんまだな」
 何とか息を吹き返したが、まだ楽観できない。 
 顔色は依然悪い。最悪と言っていい。
 瞼は半分以上持ち上がらず、血色の悪い唇から死期迫る喘鳴がもれる。
 不死身の假面として池袋中のガキに恐れられた男の姿はそこにない、いるのは無残にも腕がもげかけた人形だ。
 「痛いか?」
 「痛くは、ない……が、変な、感じだ……」
 「弾丸入ったままだもんな。放っとけば化膿しちまう」
 脂汗に濡れた髪が簾のように顔にかかる。
 道了の様態は刻一刻と悪化していく。
 このままだと峠を越せないかもしれない。
 それでなくても昨日からずっと歩き通しで体力免疫力ともに底を尽いているのだ。
 一秒ずつ命を零していく道了を前にむなしく手をつかね呟く。
 「なんとかしねーと……」
 けど、俺になにができる?
 医学の知識はさっぱりだ。
 包帯を巻くとか絆創膏を貼るとかそれくらいならできるがお世辞にも器用とは言えないし、切ったり縫ったりは大の苦手な部類。第一道具がない。メスも鋏もナイフもないのにちょちょいのちょいと切ったり開いたり三枚におろしたりできっか、仮に道具が揃ってたとしても人間の体をおろすなんざお断りだ。
 んなグロい真似できっか、想像しただけで気持ちが悪ィ。
 いくら俺の神経が図太くたってむりなもんはむりだ。
 この場に鍵屋崎がいたらと舌打ち、死に損ないを見殺しにするっきゃない現状にほぞを噛む。
 手にひやりと冷たい感触。
 「!」
 道了が俺の手を握る。
 氷みたいに冷たい手で俺の手を握り締め、その手を俺の方へと持ってくる。
 「ロン………」
 「なん、だよ」
 鬼気迫る形相に怖じる。
 抑えた剣幕に気圧され咄嗟に腰を引くも、道了の手が伸びて俺の細首を掌握するほうが早い。
 「っひ………!」
 首筋に冷気が染みる。
 死神の鎌を擬されたような心地がした。
 「弾丸を抜け」
 耳を疑う。
 道了の目はひどく真剣だった。
 嘘や冗談を言ってる気配はない。
 「抜くって………お前、正気かよ。麻酔もねーのに」
 「俺は痛みを感じない」
 「素手でやれってのか?傷口に突っ込んでぐりぐり抉れって?マゾかよ」
 「ナイフは持ってない。今あるもので何とかするしかない」
 押し問答が続く。
 俺は意固地に首を振る。
 嫌々と首を振って必死で拒絶の意を訴えるも道了はてんで取り合わず、諦念の域に達したように静謐に目を閉じる。
 「やれ。お前しかいない」
 「できねーよ……鍵屋崎と違って俺、医学知識なんてさっぱりだし。弾丸がどんくらい深く埋まってっかわかんねーし、もし俺が余計な事したせいでもっとやべーことになっちまったら……」
 「信用する」
 道了の口から出た言葉に唖然とする。
 愕然と立ち竦む俺の正面、焦熱の息を吐きながら道了がいう。 
 「どのみち放っておけば俺は死ぬ。ならお前に任せる。生かすも殺すもお前次第だ」
 毒性の強い誘惑が理性を奪う。
 シャツの下で心臓が沸騰せんばかりに高鳴り、道了の声が殷々と幾重にこも木霊を帯びて意識に浸透していく。

 お袋と梅花の仇をとるチャンスが与えられた、ほかならぬ道了のお墨付きだ。
 さあ、殺っちまえ。
 俺の手でとどめをさすんだ。

 憤怒が滾った目で正面を睨みすえる。
 道了は力尽き瞼を閉ざしたまま、近寄りがたい神聖さをも漂わせる達観の表情で言葉静かに促す。
 「香華と梅花の仇をとりたいんだろう」
 憎ったらしいほど落ち着き払った物言いに憎悪が爆ぜる。
 生への執着もこの世への未練もあらゆる葛藤を超克したところにある絶対的な平常心。
 死に瀕し見苦しい醜態を曝け出すこともなく、超然たる態度で俺を待つ。
 「……お医者さんごっこが趣味なんて知らなかったぜ」
 死と隣り合わせの顔に向かって毒づく。
 腹の底から沸々と込み上げる激情を深呼吸で殺し、出来る限り冷静さを保って接近を図る。
 上着の裾を掴み大胆に捲り上げる。
 大量の血を吸って赤黒く変色した袖を引き抜き、銃創が開いた肩を外気に晒す。
 「……………っ………」
 ひでえ。
 肩に穿たれた傷口を直視、顔が歪むのをおさえきれない。
 鉛弾がめりこんだ肩の肉は石榴みたいに爆ぜ、血管の脈動とともに断続的に血を噴く赤黒い断面を曝してる。
 薬品を完備した医務室ならともかく、黴菌細菌ゴキブリのたぐいがうようよしてる下水道で手当てしたら破傷風になっちまう。
 正直何も見なかったふりをしたくなった。
 何もなかったふりで上着を着させ袖を下ろし、綺麗さっぱり傷口を覆っちまいたかった。

 臆病だってわらうならわらえ。
 俺はブラックジャックじゃない。

 銃創に指突っ込んで弾丸とりだす度胸なんざ持ち合わせない、だいたいブラックジャックだってメスもハサミも糸もなしにんな無茶しねえ。
 患部に指突っ込んで治癒させんのはインチキ霊媒師のたぐいで間違っても医者の仕事じゃないし俺の役目じゃねえよくそったれ。
 顔を背けたくなる衝動を必死に堪え込み上げる吐き気と戦いながら傷口をつぶさに観察、深呼吸で意を決す。
 「……ちょっと痛いけど我慢しろよ」
 念のため耳元でささやく。
 道了は無言。
 生殺与奪の権を委ねきった潔い沈黙が癪に障り、憤然と腕を捲る。
 月天心にいた頃もここに来てからもさんざん酷い怪我を見てきた。見飽きるくらい見慣れてる。相当数俺自身が負ったし時には人に負わせた。
 東京プリズンに来てからこっちずっと医者の世話になりっぱなしだ。
 擦り傷や打撲は日常茶飯事、凱との試合じゃ肋骨だって折った。
 凱の太股に十字架を刺した瞬間の感触をまざまざ反芻、極大の生理的嫌悪と使命感といや立派だがその実たんなる負けず嫌いの意地が綱引きして瀬戸際で踏みとどまる。
 銃創に指突っ込むくらいなんだってんだ?
 ぜんぜん大したことねえ。
 もっと酷いもんいっぱい見てきたろ、俺は。
 目ん玉とくっつこうとする瞼を意志の力でかっぴろげ、ブラックジャックになりきって流血の惨状を直視。
 臆病心と躊躇をかなぐり捨て、右手の人さし指で軽く傷口のふちをなぞる。
 血の粘り気を指に感じる。
 正視に堪えざる生々しさと痛々しさに胃袋が収縮、酸っぱい胃液が喉元まで込み上げる。
 しっかりしろ、俺。
 事は一刻を争う。
 萎えかけた気力を奮い立たせて血の滴る銃創をすみずみまで検分、怪我の程度を把握。
 弾丸が埋まってる深さは大体五センチ程。
 止血もろくにせず数時間放りっぱなしの傷口はぱっくり開ききっていた。
 道了の無神経に乾杯。
 並の人間ならとっくに手遅れの状態、想像を絶する激痛に発狂してる頃。
 なお悪いことに弾丸は貫通せず肉の中に留まってる。
 肉にめりこんだ弾丸が血の流れを阻害し体内に毒を回す。 
 傷が化膿し始める前に手を打つ必要があると判断、目を閉じて心を落ち着かせ決断に至る。
 肉が爆ぜた傷口のまわりを円を描くように指で辿り、生唾飲んで覚悟を決める。
 「いくぜ」
 人さし指の先端に徐徐に圧力を加える。
 「!……………っぐ、あ、は」
 閉じた傷口を押し広げられる痛みに道了が呻く。
 傷口を穿った人さし指が肉の断面に触れる。
 意識を研ぎ澄まし指先に全神経を集中、細心の注意を払ってといいたいところだが残念ながらひとへの思いやりと繊細さが欠けた俺にはハッタリ利かせた荒療治しかできない。
 幸いというべきか否か荒療治には慣れてる。
 それだけが取り柄のクソ度胸を発揮し勘を頼りに指を突っ込む。
 医学知識もなにもあったもんじゃねえ、信用できるのは自分の勘だけ。
 色んなヤツの怪我を見て触って嗅いで学んだ経験則だ。
 俺自身の傷口を抉るような共感の痛みを堪え、頭の片隅にしぶとく居残る理性に縋る。
 異物の侵入を防ごうと急速に窄まる傷口をむりやり押し広げ、淡黄色の脂肪の層を突き破り、奥深く突っ込んだ人さし指を鉤の字に曲げる。
 傷口の中で指を動かし目的のものを探る。
 肩の筋肉が異物を排除しようと強張り抵抗するも、肉に埋めた人さし指を軽く曲げて血をかきまぜ骨とはちがう固形物をもとめる。
 気持ち悪ィ。
 柔らかい肉と固い筋とが指を包んで咀嚼するように収縮、血のぬるさと繊維が千切れる音だか感触だかに吐き気を覚える。
 指が骨にあたり、ささくれたしこりを感じる。
 銃撃の衝撃で肩の骨の一部が砕けたらしい。
 ともすると眩暈に襲われ座り込みそうになるのを根性で膝を支えねじ伏せる。
 「あぅ、ぐぅ、あっ」
 道了の顔が苦悶に歪む。
 扁桃腺が丸見えになるほど開いた口腔から棒きれのように突っ張った舌が覗く。
 「いっそ失神しちまえばらくになる」
 気を失ってくれたほうが俺としてもやりやすい。
 さすがの道了もここにきてとうとう余裕を失くす。
 傷口に直接指を突っ込まれほじくり返される痛みは想像を絶し脳神経を焼き切り許容量を大幅に超す刺激に飽和した痛覚が覚醒する。
 肉襞を押し広げ血を湧かす指先に、固く小さな塊が触れる。
 骨とは明らかにちがう金属の質感。
 「めっけ」
 最悪の気分を引き立てようと軽口を叩く。
 人さし指を曲げて取り込もうとしたが無理と判断、道了の顔色をうかがう。
 仕方ねえ。
 しっかりと歯を食いしばり胃袋を締め上げ逆流する吐き気を堪え、人さし指についで中指と親指の三本をむりやりねじ込み掻きだしにかかる。
 三本の指を呑み込んだ部位にみちみちと断裂が開く。
 道了の中は、熱い。
 熱くて熱くて蕩けちまいそうだ。
 熱く潤んだ生肉の温度が直接指に伝わって骨の隋まで溶かそうとする。
 額に滲んだ汗が目に滑り込み視界が歪む。
 噎せ返るような鉄臭に鼻腔が麻痺、汗と返り血と脂で顔中ぎらぎらぎらつく。
 毛穴に老廃物の膜が張って呼吸が窮屈になる。
 集中力が臨界点を突破、じりじりと脳が焦げていく音がする。
 そのうち耳から煙が出そうだ。さぞ愉快な見世物だろうさ。
 塩辛い汗が顔を伝う。
 上唇をぬらす汗を舌先でひと舐め、雑念を払拭し手術を継続。
 刺し込んだ指で患部を攪拌、指の腹でひしゃげた断面をなぞる。 
 ささくれた骨のしこりが指の侵入を邪魔する。
 三角筋が反射的に収縮、血と肉のぬかるみをかきわけ三本の指を奥へ進める。
 「ぐっあ、あ、は………」
 尋常ならざる量の汗が道了の顔を濡らし、鼻梁にそって流れ落ちる。
 「痛みを感じない」なんて口では強がってても傷口をぐりぐり抉られる痛みは強烈で、それこそ常人の何十分の一かに薄められていても痛みを感じてるのは確実で、それが証拠に道了の顔は極限の苦痛に歪んでいる。
 麻酔もなしに荒療治を受けてんだから当たり前だ。
 俺だってこんな事初めてだしこれが最初で最後にしたい、酸鼻の極みの銃創に手え突っ込んで弾丸さぐるなんざこれっきりお断りだ。
 道了の体が仰け反る。
 壁に背中があたり鈍い音が鳴る。
 声なき絶叫の形に開いた口腔から迸るのは、胃の腑を絞り上げるが如き壮絶な悲鳴。
 上下左右の肉が容赦なく指を圧迫する。
 呼吸に合わせ収縮する肉襞を三本の指でこじ開けて、遂にそれを掴む。
 慎重に慎重に、途中でおっことなさいよう細心の注意を払って抜く。
 粘着な血の糸引いて傷口から排出されたのは、先端のひしゃげた弾丸。
 虹色の脂膜に包まれてらてらと照り光ってる。
 「摘出成功」
 額の汗を拭いながら呟き、先端が潰れた弾丸を邪険に放る。
 床で一回跳ねた弾丸は放物線を描いて水路へ没し、再び静寂が舞い戻る。
 緊張の糸が切れどっと疲れる。
 凄まじい集中力を発揮し、指先に全神経を集中し弾丸の摘出を終えるも、まだ後始末が残っている。
 血と脂で濡れ光る手をズボンに擦り付け汚れをおとし、道了から引っぺがした上着を裂いて即席の止血帯を作る。
 「腕上げろ。そのままじっとしてろ。いいって言うまでおろすなよ」
 道了は大人しく従う。もう逆らう気力もないようだ。
 まるきり人形といった風情でお利口さんに左腕を持ち上げ、俺が包帯を巻き終えるのをじっと待つ。
 我ながらじれったいほどもたつく手つきで布の切れっぱしを二重三重巻き付ける。
 覆ったそばからじわじわと血が染み出す。
 布を染める血の赤さにぎょっとするも、努めて平静を装い最後までやり遂げる。
 包帯をきつく結び傷口を圧迫、処置を終える。
 「もういいぜ、おろしても。具合はどうだ」
 「………よくはない」
 「とりあえず生きてりゃ上々だ。命が助かっただけもうけもんと思え」
 皮肉な笑みを浮かべ突き放す。
 左肩に不恰好に包帯を巻いた道了は、ぐったり虚脱して壁に寄りかかる。
 傷口を穿り返す荒療治に耐え抜いた顔は精根尽き果てて衰弱の色濃く、相変わらず息は浅く荒く、大量の血を失った体は冷え切っている。
 壁に凭れ四肢を放り出した道了と向き合う。
 銀のメッシュを入れた髪が鼻梁に被さる。
 汗にぬれた髪の隙間から、瞼を持ち上げるだけでやっとといった眠たげな半眼がちらつく。
 純粋な疑問の色に染め抜かれた眼差しを俺の顔に凝らし、色のない唇を動かす。
 「………なぜ助けた?俺が憎くないのか」
 まっさらな子供のように物問いたげな視線、疲労の極地で放心した表情。 
 細めた双眸に不可思議な色を湛え尋ねる道了を、正面にうずくまり見返す。
 最前まで道了の中に突っ込んでた指に、なまぬるく柔らかい肉の温度と感触が残っている。鼻に近づければ血と脂の匂いが漂う。
 水溜りの横っちょの地べたに尻餅つき、霞がかった頭で答えを手繰る。

 どうして道了を助けたんだ?
 お袋と梅花を殺した男を、あんなに憎かった男を、殺したいほど憎んでいた男を?
 折角のチャンスを無駄にしたんだ?

 「まだ死なれちゃ困るんだよ」
 開いた膝に腕を乗せ、なげやりに吐き捨てる。
 続きを促す視線をまともに受けずそっぽを向く。
 摘出手術のため捲り上げた袖を下ろし手首まで覆い、呟く。
 「俺が殺すまで、お前に死なれちゃ困るんだよ」
 それしか理由はない。
 こいつを助けた理由なんて、それ以外にあるもんか。
 目の前でぴんぴんしてる道了にいまさらながらむかっ腹を立てる。
 自分でも理不尽だとわかっちゃいるが腹立ちはおさまらず、怪我人相手にほんの少し遠慮して不満をぶつける。
 「怪我で瀕死のお前を殺したって仇をとったなんて言えない。今ここでお前が死んだらとどめをさしたのはあのイカれた軍人で俺じゃない、許せっかそんなの、いきなりしゃしゃりでて人のえもの横取りしやがって!だから助けたんだよ、ちがう人間に殺されんのは癪だかんな」
 そこで言葉を切り、改めて道了を見据える。
 噴き上げる激情を辛うじて押さえ込み、憤怒に滾った眼差しを放ち、正面の道了めがけあらん限りの殺意を叩き付ける。
 「お前はおれが殺す。お袋と梅花の分まで二倍苦しめて殺してやる。俺に断りなく勝手に死ぬんじゃねーぞ」
 断固として言い切り、人さし指をつきつける。 
 立ち上がる気力はないから座ったまま啖呵を切って人さし指をつきつければ、虚を衝かれたような沈黙の後、深々俯いた道了が喉の奥でくぐもった声を発する。
 「………くっ…………」
 「く?」
 「ははははははははっ!」
 仰天。
 肩が不自然に上下したかと思いきや唐突に、全く唐突に道了が声をあげ笑い出す。 
 悄然と項垂れた次の瞬間笑いの発作が爆発、勢い良く仰向いて哄笑を響かせる。
 道了の笑い声を初めて聞いた。
 月天心にいた頃も終ぞ聞いたことがなかった。
 それを今、こんな所で聞くはめになるなんて。
 真っ暗闇に包まれた下水道のど真ん中にふたりぼっち、帰り道もわからない状況下で聞くはめになるなんてとあっけにとられる。
 「わっ、笑い事じゃねーぞ本気だからな俺は!なんだよなんで笑うんだよばかにしやがってこの馬鹿、何がそんなツボにはまったんだよ、なんもおかしーこと言ってねーだろが!?どっちかってーといい台詞だろ今のは、いや自分で言うこっちゃねーけどさ!?」
 しどろもどろに弁解する俺をよそに道了は箍が外れたように笑い続ける。
 勢い良く仰け反って天井を仰ぎ肩をひくつかせ、鋭く尖った喉仏を震わせ、假面の悪名とかけ離れた屈託ない笑い声を朗らかに響かせる。 
 下水道の壁と天井に殷々と哄笑が跳ね返り、ねっとりたゆたう闇をざわめかせる。
 お高くとまった人形ヅラもどこへやら、無邪気な笑いを弾かせる顔は普段との落差のせいかめちゃくちゃガキっぽい。
 気鬱を吹っ飛ばし静から動へと鮮やかに雰囲気を一新する痛快な笑顔。

 ああ。
 道了でも、こんな顔できるんだな。

 毒気をぬかれた俺の眼前、肩を上下させ笑っていた道了が急に顔を顰める。
 「!痛っ………」
 とうとう堪えきれず、俺も吹き出す。
 「笑いすぎなんだよ、ばーか。傷が開くだろーが」
 道了につられ久しぶりに声をあげて笑う。
 肩を庇い痛みを堪える道了を容赦なく笑いのめすうちに胸に凝る不安が晴れ渡り、気分が軽くなる。
 陰惨な闇がおおう下水道に二重奏の笑い声がこだまする。
 そういえば道了の前で声あげて笑うのは初めてだなとどうでもいいことに気付く。
 月天心にいた頃も東京プリズンに来てからも道了は俺にとって畏怖と忌避の対象で、廃工場のアジトに居合わせた時も房でふたりきりの時も常に緊張をしいられて、とても笑うどころじゃなかったのだ。
 道了は冗談言うようなキャラじゃねーし、俺だって假面相手に軽口叩くほど命知らずじゃねーし、こんなふうに無防備な素顔をさらして互いが親密だと勘違いしそうな距離で笑いあうなんて状況は今の今に至るまで皆無だったのだ。  
 久しぶりに声を出して笑う、遠慮会釈なく笑う。
 レイジと別れてからこっち芝居以外で笑うことがなかった顔筋がいい感じにほぐれ、俺本来の表情が戻ってくるのがわかる。
 「笑ってんじゃねーよ、なにがおかしーんだよ。とうとうここがいかれちまったのか、假面?今のお前の顔月天心のやつらが見たらどう思うだろうな、それこそ卒倒もんの衝撃だ。ほら言わんこっちゃない、あんま笑うと傷に障るぜ。笑い死になんてしまらねーオチ迎えたくなきゃほどほどにしとけっての」
 喉の奥で笑いを泡立て指摘すれば、肩を庇って前傾した道了がふいに真剣な声を出す。
 「ロン」
 「なんだよ」
 緩慢な動作で顔を上げる。
 苦痛の色が薄れ、安らかに凪いだ双眸がきっかりとこちらを見据える。
 「お前に話したいことがある」
 気迫に呑まれ笑いを止める。地べたに足を投げ出したまま固唾を呑んで見返す。  
 包帯を巻いた肩を庇い疲労困憊壁に寄りかかり、回復した呼吸の狭間から途切れ途切れに言葉を紡ぐ。
 「梅花のことだ」
 斜め上の虚空に馳せた双眸が追憶の光に濡れる。
 「梅花の?」
 眉をひそめて聞く。
 道了は首肯もせず、見えないものを見るかのように底光りする目を闇に向ける。
 回想に没入し始めた道了の表情は次第に掴み所なく焦点が霧散し、諦念と許容が折り合った奇妙な表情が去来する。 
 今は亡き者へ黙祷を捧げるかのように瞠目し、
 盲目の闇に梅花の面影を投影し、 
 日々欠け落ちていく記憶の断片を繋ぎ合わせる作業に着手するかの如く、失われゆくものへの哀悼を込めた声音で語り始める。
 「俺と梅花の出会いだ」
 遺言だった。

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少年プリズン(未完) | コメント(-) | 20050211002027 | 編集
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