ロールシャッハテストB

まさみの18禁オリジナルBL小説ブログ。

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二十話

 天井が白い。
 鼻腔を突いて涙腺に染みる消毒液の匂い。
 切れそうに糊が利いたシーツが頬を掠る。
 眠気が払われ視界が拭われるのを待ち上体を起こす。
 体がだるい。
 寝てるあいだに手足の腱が古いゴムみたいに伸びきっちまったようで起き上がるのも一苦労だ。
 何とか上体の立て直しに成功、締め切られたカーテンに手を伸ばす。
 「聞いたか?斉藤が死んだって」
 動きが止まる。
 「聞いた聞いた、下水道でバラで見つかったんだろ。どこもかしこもその噂で持ちきりだ」
 「マジかよ、つい昨日までぴんしゃんしてたのによ」
 「笑いながら俺に注射さしてったぜあの野郎」
 「誰がヤったかわかってんのか」
 「動機は何だよ。囚人が殺されるのは珍しい事じゃねーけど来て一ヶ月もたたねーうちに医者が殺されんのは前代未聞だ」
 「それがさっぱりわかんねーんだとよ、副所長を筆頭に看守どもが血相変えて調べてるところ」
 「プリズンの医者も災難続きだよな。ヤブジジィは通り魔に刺されて次は下水道でバラされて二度とも事件に巻き込まれて、これじゃあもう医者の来てねーんじゃねーか」
 「鬼門にあたるんだよ医務室は」
 「ちょっと待て、俺たちはどうなるんだよ。明日からだれが世話してくれんだ。看守か?奴らが何してくれるってんだ、期限切れの赤チンぶっかけて放置するのが奴らのやり方じゃねーか!冗談じゃねえ俺は今すぐ退院するぞもう一日だってこんな所にいられるか、このままじゃ殺されちまうよ!」
 「野戦病院の悪夢再びだ」
 「ハンバーガーフィールドだ」
 「キリングミーソフトリーだ」
 「ナイチンゲールの慰問が待ち遠しいなあ」
 「下の世話してほしーぜ、右手動かせなくて溜まりにたまってんだ」
 マジかよ、それ。
 ついこないだまでぴんぴんしてたのに。
 斉藤の身に降りかかった災いについてあっけらかんと話す囚人どもに猛烈な反発が湧く。さんざん世話になったくせに薄情なやつらめ、賄賂でベッドを買い占めて暇な一日寝転がってるだけの仮病の患者にとっちゃかかりつけの医者の死もひまつぶしのねたにすぎないってか?
 衝立の向こうで笑い声が弾ける。
 斉藤が死んだ。
 白熱する噂にあわせ胸の内が不穏にざわめく。
 どうして斉藤が?
 東京プリズンに来てまだ一ヶ月も経ってねえのに……鍵屋崎は?斉藤と親しくしていた鍵屋崎のショックを思い気分が更に沈む。きっとへこんでる、あいつ。無表情にへこんでる。毒舌の張りをなくした鍵屋崎が食堂の片隅そこだけ切り離されたような沈黙の内に細々と芋の煮っ転がしを摘むさまを想像、締め付けられるように胸が痛む。
 斉藤とまともに口を利いた事がない俺は、斉藤が死んだ衝撃よりも鍵屋崎の受けた傷の深さにやりきれなくなる。
 斉藤は鍵屋崎の妹の主治医だと小耳に挟んだ。
 鍵屋崎にとって斉藤は恩人にも近い存在で、信頼まではいかないにしろ信用にたる人物だったんだろうと漠然と認識していた俺は突然の事態に戸惑う。
 ……駄目だ、頭がまともに働かねえ。
 大体何でここにいるんだ、俺。ベッドに身を横たえあたりを見回す。
 ここは医務室だ。
 カーテン開けて確かめるまでもなく漂う消毒液の匂いと白い天井でわかる。
 何で医務室に?
 疑問の原点に立ち返り、頭で昨日の、いや、ここ一週間ばかりの出来事を回想する。
 『香華は死んだ』
 突如その声が蘇る。
 鉄槌の響きを帯びた容赦ない声が俺の胸を深く抉る。
 『俺が殺した』
 噛み砕くように繰り返す。金と銀の目が酷薄に光る。死神のように無表情な男が脳裏に大写しになる。
 道了。
 假面の異名をもつ元月天心の首領、俺を追って東京プリズンにやってきた男。
 堰を切ったように記憶が逆流、身の内を激情が席巻。
 道了の冷徹な眼光が冷徹な表情が冷徹な声音がいやおうなく事実を突きつけ選択を迫る、自分を選ぶかレイジを選ぶかふたつにひとつだと迫る。
 無意識に耳を塞ぎベッドに突っ伏す。
 一週間前から昨日に至る記憶が細部までくっきり鮮明に輪郭を結ぶ。道了。俺達は何回も何回も交わった。俺は道了に抱かれた。子供のふりをして道了のもとへいき歓心を買うため何度も抱かれてやった、しゃぶれと言われればしゃぶったし後ろ向きになれと言われればそうしたし膝に座れと言われ大人しく聞いた。
 俺は淫売だ。
 母親譲りのどす汚い淫血の血が体に流れている。
 物心ついた時から男に組み敷かれてよがり狂う売女を見て育った俺は、いつのまにかお袋と惚れた女を殺した男に股を開く男娼に成り下がっていた。
 媚薬を使われたらひとたまりもなかった。
 「…………くそったれ」
 痛みで罪悪感をごまかそうと二の腕を握り締める。
 強く強く、もっと強く。そうやって自分を罰する。
 完全に思い出した、何もかも。
 一生忘れていたいことまで。
 体が小刻みに震える。
 震えを押さえ込もうとますます強く自分を抱く。
 まだ体が覚えてる、恐怖を。
 昨日、俺は鍵屋崎によって医務室に運び込まれた。
 その時俺は自分の足で立って歩けない状態で、鍵屋崎に縋る事で何とか持ちこたえていた。廊下の途中、医務室に辿り着く前に何度も膝が砕けてそのまま座り込みそうになった。けれども鍵屋崎は見放さなかった、しかたないと毒づきながら俺を抱え引きずり医務室につれてきた。
 ベッドに放り込まれ、そのまますとんと意識を失った。
 あっけなかった。鍵屋崎の肩からすべりおちベッドに横たわると同時に意識がふっつり途切れた。暗転。覚えているのは糊の利いたシーツの感触、毛布をかけてくれた温かい手。多分、鍵屋崎だ。
 「おせっかい野郎め」
 ふと思い出し枕元をまさぐる。
 在った。
 俺の顔の横、すぐそばに置かれていた傷だらけの十字架。
 やけにくすんで見えるのは気のせいだろうか。
 心なし輝きの褪せた十字架の鎖を手繰り引き寄せる。
 指を動かすのも億劫だが、意志の力を振り絞りそれをやり遂げる。
 しゃらりと玲瓏な音がする。
 指の隙間から数珠が流れて清涼な旋律を奏でる。
 掌中から零れる黄金の光に束の間見とれる。
 鍵屋崎に渡された十字架……レイジの宝物。
 意識を失う直前まで握っていた証拠に手が変なふうに強張っている、多分俺が眠りにおちたのを確かめてから鍵屋崎が抜き取ってそばに置いてくれたんだ。
  「…………レイジ………」
 十字架を握り締める。
 指に力を込める。
 しっかり抱いた十字架を額に押し当て、頭を垂れる。
 十字架のしんとした冷たさが額に染み入りレイジがよくこうしていたなと思い出す。
 ある時は怒りを鎮めるためある時は哀しみを癒すためある時は喜びを噛み締め、レイジはよくこうして十字架を額に押し当てていた。
 レイジを真似て十字架を額に押し付ける。
 周囲の喧騒が急速に遠のく。
 縋るように十字架を抱く。
 カーテンに遮られ誰の目もないのをいい事に俺はまるでキリスト被れみたいに、レイジのぬくもりと残り香がまだ染み付いてるような、勿論そんなのは気のせいで都合良い妄想の産物に過ぎないとしても、今確かに掌中にその存在を感じられる十字架にレイジの面影を託して想いを馳せる。
 「どこにいるんだ、お前」

 手が届かなかった。
 また逃がしちまった。
 もう少しで届いたのに。

 別れ際の暴君が蘇る。
 暴君の奥底にレイジはいる、今もいると信じたい。
 いや、信じてる。信じなきゃ駄目だ。
 「レイジ、どこにいるんだよお前。俺が呼んでんだから答えろよ、すぐ答えるのが相棒の務めだろ」
 淡い期待を込めて用心深くあたりを窺う。
 カーテンの向こうに立つ人影はないか、どこからか音痴な鼻歌が流れてこないかと五感を研ぎ澄ませ気配を探るもことごとく裏切られる。
 レイジは居ない。
 俺の近くには、居ない。
 「……ひとりぼっちにしねーって約束したじゃんか」
 十字架を握る。指が食い込む。
 さんざん泣き枯らしたせいでもう涙は出てこない。
 荒涼とした風が心を吹き抜ける。
 ちょっとの衝撃で俺自身ばらばらに砕け散ってしまいそうな危惧を覚える。
 俺は、ひとりだ。
 隣にだれもいない。
 ベッドの傍らには折り畳みの椅子があるがそれもからっぽ、数時間前まで人がいた形跡はあるがおそらくそれは鍵屋崎でレイジじゃない、俺の寝顔を見守り付き添ってくれたのは鍵屋崎でレイジじゃない。レイジはまた俺の手の届かない所に行っちまった、十字架を残して。
 「薄情者め」
 沈黙を恐れ、掠れた言葉を搾り出す。
 「俺が呼んだらすぐ来いよ、何をおいても駆けつけてこいよ。小便の途中でもクソの途中でもほっぽりだして即来いよ、他のもんなんか全部放り出して俺のためだけに駆けてこい、それがお前の務めだろ。手なんか洗わなくていいよ、そのまんまでいいよ。汚くたって気にしねーよ。俺だって違わない、いや、俺のほうがもっともっと汚い。だって俺は道了に、」
 言葉を続けようとして息を飲む。勝手に舌が止まる。その先は聞きたくないと心が踏ん張って反抗する。
 十字架を強く強く握り締める。
 指が軋む。十字架がめりこみ跡を付けるほど強く強く額を圧する。
 十字架に悪夢を払う力がやどっているなら、今こそ奇跡を見せてほしい。
 今この瞬間だけでいいから、言葉を続ける勇気を与えてほしい。
 俺が俺の罪を自覚し、告白するための勇気を。
 ほんのちっぽけな勇気を。
 「俺は道了に」
 『何度呼んだところでレイジは来ない。お前の居場所はここしかない』
 「あいつに、抱かれて」
 『お前はレイジを捨てたんだ。俺がお前を選んだように、お前は俺を選んだんだ』
 「ぐちゃぐちゃにされて」
 お袋のように、梅花のように。
 あいつの玩具に成り果てて。
 お前以外の男に抱かれないって約束を破った。
 お前を裏切って、道了を選んだ。
 『いやらしい顔だな。香華そっくりだ』 
 「俺は、お袋と梅花の仇をとるために道了のところにいった。子供返りのふりでお前や鍵屋崎やサムライを騙して道了の懐にもぐりこんだ。最低だよ。言い訳はしねえ、俺がやったことは最低だ。大事な相棒とダチを裏切ってさんざん傷付けてお袋と惚れた女を殺した男にケツ掘られて腰振って、だからレイジ、俺の事面と向かって罵れよ。こんな淫売には愛想が尽きたぜって唾吐いてくれよ」

 そうしたら、俺も少しはマシな気分になれる。
 ほんの少し救われる。

 もう俺がレイジにとって薄汚い裏切り者でしかなくても、かまわない。
 俺はそれだけの事をしたんだ。
 あんなにひとりぼっちを怖がってたレイジをまたひとりぼっちにした、暗闇に置き去りにしてあっさり背中を向けた。
 レイジの声が聞こえないふりをした。
 あんなに必死に呼んでたのに、縋るように呼んでいたのに、俺は振り返りもしなかった。
 憎まれて当たり前だ。
 相棒失格だ、俺は。

 「でも、お前の口から聞きたい。俺の事嫌いならきらいって、面と向かって言ってくれ。いないふりしないでくれ、このまま消えないでくれ。なあレイジ、そんなのお前の柄じゃないだろ。何も言わず黙って消えてくなんて殊勝な柄かよお前が、俺が手紙読んでた時も狸寝入りで顔色窺ってたくせに暴君に体を明け渡してあっさり消えちまったなんて信じねーからな」

 ひとり語りは空しい。
 俺の声は虚無に吸い込まれる。
 今ここにはいない相手にむかってどれだけ懸命に呼びかけ縋ったところで返事が返らないのでは意味がない。
 寂しい。
 十字架をぎゅっと握る。
 レイジ、どこだ。早く出て来い。
 お前がいなくて正直こたえてる。
 胸の辺りが妙にすうすうして、息を吸うたび込み上げる絶望に溺れそうなんだ。
 ペア戦決勝前夜、入院中の俺をこっそり訪ねたレイジを思い出す。
 一大決心した顔、いつもへらへら笑ってるお気楽な王様とは別人みたいに強張った顔。
 あれは煉獄に挑もうとしてる人間の顔だ。
 十字架の鎖を手首にかける。

 「なあレイジ。お前がいる地獄は、どんなところだ」

 十字架の表面に俺が映る。
 酷く滅入った顔。
 地獄にまっさかさまに落ちようとしてる人間の顔だ。 

 「居心地いいか、そこ。寒くねーか?暗くねーか?腹も空いたろ、いい加減出てきたくねーか」

 たらたらたらたら未練ひきずってんじゃねえ、聞いてくれる相手もないのに寝惚けた戯言吐くんじゃねえ。
 胸が痛い。ひりひりする。
 この痛みは、俺がガキの頃味わった痛みと少し似てる。
 しばらく忘れていた懐かしい痛みだ。
 ようやく思い出した。
 レイジ、お前と離れ離れになって漸く思い出したよ。
 ひとりぼっちは、痛い。
 お前はずっと、この痛みに耐えてたんだな。俺がいなくなってからずっと。

 「いい加減出て来いよ。そんな暗い場所にこもってんなよ。房の裸電球でもないよりずっとマシだろ、一緒に帰ろうぜ、俺たちのうちへ。お前と出会った日からずっと暮らした場所へ、電池切れの裸電球がちかちかうるさく瞬いてガタのきたベッドが端っこに二台、ぼろぼろの毛布と枕がある房へ帰ろう。またベッドに腰掛けてくだらないことだべろう、鍵屋崎とサムライの痴話喧嘩とか凱が飯時に高笑いして椅子ごと倒れたとかヨンイルが図書室の二階から『新世界の神になる!』って飛び降りたとか、どうでもいいくだらねー話をおもいっきりしよう。一晩中でもとことん付き合ってやっからさ、だからさ、帰って来いよ。ひとりだと広すぎて落ち着かねーんだよあそこ。からっぽのベッドが目障りで」

 お前は何を考えてたんだ。
 俺がいない房で、裸電球を消した暗がりで、ベッドに腰掛けて何を考えてたんだ。
 昔の事を思い出してたのか。
 俺と会うずっと前のことを、何日間も飲まず食わずで暗闇に閉じ込められ聴覚を鍛える訓練をした時の事を、かさぶたを剥がすように思い返していたのか。 

 「そんな暗くて寒い場所お前にゃ似合わねーよ」

 レイジの代わりに十字架を抱き締める。
 ハルに小便ひっかけられ噛みつかれたせいであちこち傷だらけのみすぼらしい十字架、涙ぐましい補修の跡が窺えるそれをシャツの内側にしまう。
 裸の胸に触れる十字架を感じ気持ちが安らぐ。
 レイジの欠片が俺の中に入ったような、二番目の心臓ができたような不思議な感覚にひたる。シャツの上から十字架をまさぐり、俺は言う。  

 「すぐ迎えに行ってやっから、待ってろ」

 レイジがどこにいるかは知らない。手がかりもない。
 看守は総力を尽くし暴君の行方を追っている、是が非でもやつらより先に見つけ出さなければ。
 まったく手のかかる相棒だと苦笑する。
 年下に迎えにこさせるなんて世話が焼ける。
 でも仕方ない、俺が腰を上げなきゃレイジはいつまでたってもだんまりを決め込むはらだ。
 「そうはさせるかよ、畜生。暴君に頭下げさせてお前をひっぱりだすまで諦めるもんか」
 大丈夫、俺はまだなにもかもなくしちゃいない。
 まだ手遅れじゃない。
 お利口さんに諦めるのはやめだ、どこまでもあがいてあがいてあがききってやる。
 まだだ、まだ終わりじゃねえ。
 体がちょっとぐらいだるいからってどうした、凱との試合で全身至る所に打撲と骨折おって寝たきりだった時と比べりゃこんなの屁だ。
 まだイケる、まだやれる。まだ手遅れじゃない。
 俺の足が動いて歩ける限り俺の手が動いて伸ばせる限りなにも遅いことあるか、お前にむかって駆けていける足と伸ばせる手があってなにが手遅れなもんか。
 丈夫に産んでくれたお袋と俺をこれまで生かしてくれた悪運に感謝。
 勢い良く毛布をはねのけ上体を起こす。
 体中に生気がみなぎる。
 さっきまでの倦怠感が嘘のように吹っ飛んでぎらぎらと目が燃え輝きだしたのがわかる。
 身に付けた十字架から不思議な力が迸って体内を巡っているのかのようだ。
 そうだ、俺は十字架を身に付けることによって第二の心臓を移植したんだ。
 いける。やれる。とんでいける。
 「よっしゃ」
 顎を引き己を奮い立たせ、脱ぎ捨てたスニーカーに裸の踵を突っ込む。
 自己嫌悪に絞め殺されるのも自己憐憫に溺れ死ぬのも俺の趣味じゃねえ、ぐだぐだ考えてる暇があったら体を動かせ、短気で喧嘩っ早い俺に戻れ。
 頬を叩いて喝を入れる。
 スニーカーをつっかけて立った瞬間、ぐらつく。
 思わず舌打ちが出る、薬の効果はまだ完全に消えてないらしい。
 背格子に寄りかかり呼吸を整え、今度こそカーテンを開けようと手を伸ばし……
 「見舞いにくるなんてどういう風の吹き回しだい」
 冷ややかに取り澄ました声に戸惑う。
 声の出所は隣のベッドだ。
 俺は躊躇い、また腕を引っ込める。
 衝立の向こうにだれかがいる。
 衝立に目を凝らし椅子に座る人影を捉える。 
 「随分なご挨拶ですね。我輩はただ南棟の代表者として同じトップたるサーシャ君の健康を案じているだけです、お見舞いといっても手土産がなく恐縮なので埋め合わせに我輩とワイフの馴れ初めを聞かせて……」
 「サーシャはよく寝てる。起こさないでほしい」
 サーシャ。
 嫌ってほど聞き覚えのある名前に条件反射で顔を顰める。
 サーシャ、今さら説明するまでもないレイジを目の敵にしさんざんちょっかいかけてきた北棟のトップ。
 もう一人の声にも聞き覚えがある、語尾にビブラートを利かせた頼もしいバリトンは南棟の隠者ことホセの特徴だ。
 カーテンの隙間から隣の様子をのぞき見て、唖然とする。
 外人が、いた。
 いや、外人自体は別に珍しくも何ともない。
 日本が誇る無国籍刑務所たる東京プリズンには金髪赤毛青目緑目の外人がうようよしてる。けれど今俺の視線の先でパイプ椅子に腰掛けてる外人は違う、垢に塗れた囚人とははっきり一線を画してる。
 蛍光灯の光にさんざめく癖のない銀髪、洗練された居住まいが醸しだすえもいえぬ気品。
 ただ座ってるだけなのにそいつのまわりだけ空気が違う、周囲の喧騒から切り離されかちっと額縁におさめられた感じがする。
 目が覚めるようなあざやかなブルーの軍服を着た男が、膝の上で手を組み緩やかに振り返る。
 「用件は手短に」
 癖のない銀髪に縁取られた美貌はだれかに似ている。
 視線を追ってそちらを向けば案の定ホセがいた。
 椅子の近くに立ち、機嫌をうかがうような笑みを浮かべている。
 のっぺりした七三分けが強調する秀でた額、ラテンの血が色濃く出た彫り深い目鼻立ち。
 センスを度外視した野暮ったい眼鏡が胡散臭さを水増しする。
 腰の低いセールスマン風、今にも鞄を広げ試供品をすすめなかねない様子。
 営業成績を伸ばすためなら手段を厭わぬ非情さを眼鏡の奥の目に覗かせるも、表面上は謙譲の美徳に溢れた非の打ち所ない笑みを浮かべ、揉み手せんばかりに阿ってみせる。
 「ご存知ですか、今朝から東京プリズンを騒がせている事件を」
 「詳しくは知らないが概要は聞き及んでいる。昨日行方不明になった医者の死体が下水道で発見されたとか」
 「その通り。付け加えるなら、体をばらばらにされるという極めて残忍な方法でもって殺害されました」
 「犯人の特定は?」
 「容疑者はいます」
 そこで言葉を切り、間をもたすように眼鏡の弦に触れる。
 ホセが意味深にベッドを一瞥、つられてそちらを見る。
 サーシャがいた。
 ベッドに横たわって死んだように動かない。
 しばらく見ないうちに随分やつれた。
 頬が削げて眼窩は落ち窪みまるで骸骨の容貌。かさかさに乾きひび割れた唇からよわよわしい呼気が漏れる。とりあえず生きてはいるらしいが、少し前まで軍人気取りで鞭をふるってた皇帝のみすぼらしい変貌に狼狽する。
 笑みを含んだ目でサーシャの寝顔を射止め、ホセが呟く。
 「貴方の弟に取り返しのつかない仕打ちをした男と同一人物ですよ」
 背筋に悪寒が走る。
 軍人の顔色が変わる。
 憎しみと怒りとが綯い交ぜとなった激情がアイスブルーの目に噴き上げすぐまた冷静な仮面を被る。
 「犯人の名前を知りたいですか」
 「………知っているのか」
 「勿論。トップのもとにはさまざまな情報が集まりますから」
 「私にそれを話し君にもたらされる利益は?」
 「話が早くて助かります」
 ホセが我が意を得たりと両手を広げる。
 軍人はサーシャを庇うように背にした体勢でホセの接近を待つ。
 視線と視線が衝突、空気が緊迫。
 無言の威圧が膨らむ。
 周囲の囚人どもはそれぞれ話に夢中でこっちに注意を払ってない、それもそのはずカーテンが開け放たれているのは俺のベッドに面した側だけ、反対側はきっちり閉ざされている。
 軍人とホセが向き合う。
 軍人の手はサーシャの胸にかかったまま、ホセは眼鏡の弦をいじくりまわしている。
 沈黙を破ったのはホセだ。
 「我輩はね、地下にもぐる口実がほしいのですよ」
 「地下に?」
 軍人が鋭く反駁、一層警戒の色を濃くする。
 怪訝な表情の軍人を優位に立って眺めホセは続ける。
 「先日お話したとおり我輩の目的は地下にあります。白状いたしますと我輩は以前から地下にもぐる口実をさがしてました」
 「口実などなくともこの刑務所の囚人は勝手に下水道におりていると聞くが。所内で唯一監視カメラが設置されてない下水道は覚せい剤取引の温床であり、リンチの犯行現場でもある」
 「説明の手間が省けて何よりです。確かに夜下りて朝戻るくらいなら看守に気付かれずにすむ、また気付かれたとしても大目に見てもらえる。ですがね」
 眼鏡の奥の目はもはや笑っておらず、百戦錬磨のボクサーが相手の死角に切り込むような油断ない光を湛えている。
 「我輩は一朝一夕の麻薬取引が目的で下水におりるのでもなければ、自慢の拳を汚い血で汚すために下水にもぐるのでもない。我輩の目的地は下水道のさらに奥、一般の囚人は存在すら知らぬ禁断の領域です。当然一日や二日でやり遂げられる探査行ではない、よって下水道のさらに奥に足を踏み入れるならば綿密な準備が必要です。器材もそろえなければいけませんし」
 「器材とは」
 「わかってらっしゃるくせに」
 蜂の一刺しに似た鋭いジャブを繰り出しうっそりと含み笑う。 
 さっきから胸騒ぎがやまない。
 全身の毛穴が開いて汗が噴き出す。
 二人が話してる内容はちっとも理解できない。
 理解できないが、とてつもなくいやな予感がする。
 目隠しして地雷原を突っ走っているようなびりびり肌を打つ重圧。
 眼鏡の弦を指で叩きながら、じらしたわりにはあっさりとホセが答えを述べる。
 「放射能検知器です」
 放射能検知器。
 脳裏に物騒な単語が閃き、危機を知らせる赤いランプが点滅する。
 「お持ちでないとは言わせません。私が言い出さなくてもいずれ口実をもうけ地下におりる予定だった、その予定を少しだけ繰り上げてさしあげただけです。我輩とてミイラとりがミイラになる事態は避けたいところ、身を守る為の最低限の措置は講じたい。貴方が協力してくださるならこちらとしても至極やりやすくなるのですが」
 「要点が掴めない」
 「なら簡潔に申しましょう」
 しつこく弦をいじくりまわしていた手が下り、薬指に嵌まる指輪が燦然たる輝きを放つ。   
 指輪が反射した光が目を射る眩しさに顔を顰める軍人、隙を晒した一瞬に付け入り核心に踏み込む。
 「我輩は現在、サーシャ君を虐待放置し医師を殺害遺棄した犯人を匿っています」
 軍人の顔に驚愕の波紋が広がる。
 カーテンの隙間から固唾を呑み成り行きを見守っていた俺まで予想外の展開と大胆な告白に叫び出しそうになった。たった今衝撃的な告白をやってのけたホセはといえば至って取り澄ました風情で飄々としてる。
 居丈高に腕を組み、軍人の顔色が警戒から驚愕へと一瞬にして塗り換わるさまを愉快げに見物する。
 やめろ、その先は言うな。
 思わずカーテンから飛び出し間に割って入りかける。
 ホセと軍人を引き剥がしたい衝動に駆られ焦慮に苛まれ心臓が爆発せんばかりに高鳴る。
 嫌な予感はどんどん強くなる。
 カーテンを握り締める。
 ホセの唇の動きに目を凝らす。
 「彼の名前は」

 言うな。
 心の声を裏切り、ホセは言った。

 「レイジ。東の王の異名を持つ東棟の現トップです」

 レイジが。
 レイジが、斉藤を殺した。
 斉藤を殺してばらばらにして下水に捨てて、サーシャをさんざ嬲り者にして壊した張本人?
 半ば予想していた。昨日廊下で遭遇した暴君が笑いながら言ったじゃないか、サーシャをぶっ壊したと。

 『サーシャだよ、今はなき北の皇帝サマだ。俺が不貞寝してるところにタイミング良くやってきたから暇潰しに躾けてやったんだ。傑作だぜ、あいつときたら!ケツにナイフの鞘突っ込まれてぐちゃぐちゃにかきまぜられておっ勃ちやがった、夢うつつでロシア語口走ってシーツ引っかいて兄貴の名前呼んでまるっきり子供返りしてやがったぜ!その様があんまり滑稽で笑えたからクスリを使ってやったんだ、もっとおもしれーもんが見られるんじゃないかって期待してな。予想的中結果オーライ、もとからヤク中のサーシャにゃ効果覿面。たっぷり漬け込んでやったんで今じゃ血管にコカインが流れてる始末、血がさらさらになって感謝してほしいくらいだぜ!』

 哄笑の余韻が内耳に響く。
 廊下のど真ん中で反り返るようにして笑う暴君、醜悪に歪んだその顔を思い出す。
 あの後だ。
 看守が大挙してなだれ込んできて、暴君は逃走を図り、抜け道を通って行方を眩ました。
 以降暴君の姿を見たものはない。俺達と別れた後逃亡中の暴君が偶然斉藤に出会い、口を封じたのだとしたら?
 「……んな、まさか……」
 カーテンを掴む手が自分の物じゃないみたいに震える。
 ないとは言い切れない。
 俺は暴君の恐ろしさを身をもって知った。
 俺と鍵屋崎を並べて犯そうとした暴君の狂気を、道了との殺し合いに身を投じ破壊の権化となった暴威を覚えてる。
 行く手を邪魔するものは等しく薙ぎ払うと宣言、言葉通りに断行する暴君ならたまたま出会ったえものを気まぐれに屠り去ったとしても不思議じゃない。
 暴君は既にサーシャを壊して捨てている、直接手を下すのに躊躇いはない。
 暴君が、やった?
 サーシャだけじゃ飽き足らず、斉藤も殺した?
 まさかレイジがそんな酷いことするはずないいくらなんでもそれはない嘘だって言ってくれ、だってレイジはまだ死んでない暴君の中にいるそんなことレイジが許すはずない止めるはずだ、百歩譲って出会いがしらの斉藤を殺したとしても死体をばらばらにして下水に撒き散らす意味がない!

 嘘だ。
 暴君が斉藤を殺したなんて、信じたくない。 

 頭が真っ白になる。
 裸の胸に触れる十字架が烙印の熱を帯びる。
 気付けば俺は服の胸元を強く強く握っていた、そこに十字架が在る事を確かめるため、確かめて現実に立ち向かうために。カーテンの隙間を通る視線の先では淡々と話し合いが続いてる。
 犯人を匿っていると暴露しながらも揺るがない優位を保つホセに、抑制を利かせた口調で軍人が問う。
 「なぜすぐ副所長に知らせない、犯人を庇ったものも同罪だ」
 「取引の材料にするためです」
 そつのない笑顔でホセが応じる。
 眼鏡のレンズを指で押し上げ微調整、愕然と立ち尽くす軍人をいやらしく眺める。
 「レイジ君が我輩の房にいることはいずればれます、早ければ今日中にも情報が流れるよう手筈を整えています。そうなる前に我輩はレイジ君を逃がします。どこへ?」
 靴裏で床を叩いて示し、一呼吸おいて堂々と宣言。
 「身を隠すにはもってこいの場所があるではないですか!東京プリズン地下、都心まで繋がると噂の下水道。ミノタウロスの迷宮の如く複雑怪奇に入り組み枝葉が分かれた下水道に逃げ込めばいかに執念深い看守とて簡単には追ってこれまい、追跡は難航すること必至。我輩はそうレイジ君を説得し彼を伴い地下に向かいます」
 「させるものか」
 「ええ、言うと思いました。なにせレイジ君はサーシャ君の仇、貴方の可愛い弟を薬漬けにして壊した張本人です」
 要塞の如く磐石の安定感を備えた物腰で軍人に歩み寄る。
 軍人の面前で立ち止まるやおもむろに耳朶に顔を寄せ、呟く。
 「その手で陛下の仇を討ちたくはないですか」
 軍人の顔が強張る。
 アイスブルーの目が氷点下まで冷え込む。
 一切の感情を消したその顔は、さながら悪魔に魂を売り渡したが如く無慈悲で苛烈。
 軍人の肩に触れるか触れないかの距離で耳朶に息を吹きかけ、甘美なバリトンで誘惑する。
 「貴方は愛する弟に取り返しの付かない損害を与えたレイジ君を拘束できる、我輩はロシア軍の協力が得られる。お互いの利益は見事に一致する。拘束したあとはどうぞご自由に、煮るなり焼くなり薬漬けで調教拷問するなりお任せします。我輩は一切関知しません。我輩はレイジ君を逃がすふりで下水道に連れていき貴方に引き渡す、貴方は我輩に手を貸し下水道の奥に埋もれた前世紀の遺産を掘り出す。悪い話ではないでしょう」
 「……副所長には話を通さないのか」
 「愚問ですね」
 ホセが憐憫を込めほくそ笑む。 
 「副所長指揮下の看守が先にレイジ君を拘束した場合、貴方はその手で復讐を遂げる機会を永遠になくす。残念ながら東京プリズンでは囚人が囚人をレイプしたからといって大した罪には問われません。レイジ君が依存性薬物を使い肉体的にも精神的にもサーシャ君をぼろぼろにしたからといって東京プリズンでは罪には問われない、レイジ君はあくまで斉藤医師殺害遺棄事件のみで裁かれ処罰される」
 「それがここの実態か」
 軍人の横顔を初めて笑みらしきものが掠める。
 笑みと呼ぶにはあまりに酷薄な表情。
 虚空に据えたアイスブルーの目に狂的な光を宿した軍人の肩に手をかけ寄りかかり、毒液のような囁きを注ぎ込む。
 「貴方ははるばる日本にまで生き別れの弟を迎えに来た。いやはや麗しい兄弟愛です、妾腹の弟を陛下と呼び慕い献身的に尽くす貴方の姿に我輩何度心を打たれ涙を流した事でしょうか。しかし遅かった、貴方の愛しい陛下はレイジ君の手に堕ち壊れてしまった。彼の体は薬でもうぼろぼろだ、誰が見たって長くない。口惜しくはないですか?長い歳月を経て漸く会えた弟の変わり果てた姿を目の当たりにして復讐心に駆られなかったとは言わせない、貴方はサーシャ君から幸福を奪い去った彼を殺したいほど憎んでいるはずだ、再び訪れると願い信じた日々に終止符を打った男に正義の鉄槌を下したいはずだ!!」
 ホセの手が強張る。
 肩を絞り上げられる痛みに軍人が顔を歪める。
 苦悩と苦痛のはざまで引き裂かれた軍人の表情を認めぱっと手を放し、落ち着き払った口ぶりで促す。
 「我輩は貴方が本懐を遂げるお手伝いをしたいだけです。さあ、どうなさいます」
 それでもまだ躊躇いを振り切れない軍人に大仰に嘆息、颯爽と身を翻したホセがおもむろに毛布を掴む。
 「!なにをするっ、」
 「御覧なさい」
 軍人の制止もむなしく腕を一閃、毛布を取り払う。
 取り払われた毛布の下から露出したのは点滴が刺さった剥き出しの腕。
 袖を肘まで捲り上げられたサーシャ、骨と皮ばかりとなった枯れ木のようなその腕を覆う無数の注射痕。
 「サーシャ君にこんな事をした人間を許せるとでも?」
 挑発的な口調でホセが問い、サーシャの寝顔に手を伸ばし一抹の躊躇なく眼帯を毟り取り無残な傷痕が穿たれた左目を晒す。
 「サーシャ君を片目にした男を許せるとでも?」
 昏睡状態のサーシャにのしかかり青ざめた頬に軽く触れる。
 削げた頬を包んだ手が首筋に沿って滑り、上着の裾を掴み、緩慢に捲り上げる。
 艶かしく捲れた上着の下から現れた痩せた腹筋と胸板、裸の上半身を埋め尽くす大小無数の痣と傷。 
 乳首にくっきりと歯型。 
 鞭打たれたみみず腫れ。
 斜めに交差する引っかき傷。
 「これでもまだ許せますか」
 白磁のようにきめ細かく滑らかだった肌を蝕み毒する様々な大きさと形状の痣、黄褐色のものから青黒いもの、鬱血でどす黒く染まったものまでサーシャの裸を斑に苛んでいる。
 サーシャはボロ屑同然になっていた。
 ボロ屑同然に扱われていたことがよくわかった。 
 暴君にとってサーシャは爪研ぎの布くらいの価値しかない。
 「選ぶのは貴方です」
 サーシャの上着を捲り上げホセが決断を迫る。
 サーシャはホセにされるがまま目を開けない。
 壊れた人形のようにホセの腕に身を委ねくったりと項垂れている。
 暴かれた肌を埋め尽くす大小無数の痣と傷、瘡蓋が張ったものもあれば今だ痛々しく血が滲んだものまで様々だ。
 サーシャを襤褸のように引き裂いたのは、暴君だ。
 乳首を噛み腹を引っかき鞭を奪って打擲し、それでもまだ飽き足らずとどまるところを知らずサーシャが泣いて許しを乞うても決して許さず髪を鷲掴み咥えさせ、体力が尽きて倒れれば薬を使いさせむりやり引き立て過酷な奉仕を強制しー……
 
 「陛下」
 その声が、俺を現実に引き戻す。
 ハッと顔を上げる。
 ベッドの傍らに立ち尽くし愕然とサーシャの裸身を見詰めていた軍人が、流麗な動作で片膝を付き、深々と頭を垂れる。
 「貴方が受けた屈辱は、臣下たる私めが晴らします」
 軍服の胸元に手が滑り込む。
 再び現れた手に握られていたのは、黒光りする銃。
 ホセの力強い腕に支えられ仰向けたサーシャの髪を愛しげに梳き、指に髪が絡んだ一瞬追憶の光に目をぬらすも、瞼を閉じて開いた時には既に感傷を払拭した冷徹な軍人に戻り、立ち上がりながら弾丸を装填する。
 カチリと音が鳴る。
 余韻を惜しむようにゆっくりと銃をおろし、サーシャのそれと生き写しの薄氷の瞳が透徹した覚悟をやどしてホセに向き直る。
 「取引を呑もう」 
 ロシアンルーレットの幕が開く。


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少年プリズン(未完) | コメント(-) | 20050222042230 | 編集
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