ロールシャッハテストB

まさみの18禁オリジナルBL小説ブログ。

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二十一話

 『梅花を殺した』
 嘘だ。
 『お前の母親を殺した』
 嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ。
 両手でぴっちり耳を塞ぎ声から逃れようとするも、指の隙間から潜り込むその声はどこまでもどこまでも執拗に追ってくる。
 呪縛。束縛。洗脳。
 足掻けば足掻くほど深みに嵌まる。
 鼓膜に浸透し脳髄に響く声。
 声の水圧が次第に膨張し俺を内側から溺れさせていく。
 蘇るのは道了の声、どこまでも俺に付き纏い苦しめるあいつの声。
 そんなに俺が憎いのかよ?
 心の裂け目から憤怒が迸る。
 何とか言えよ道了、俺が憎けりゃ俺にあたれよ、俺を傷つけりゃいいだろう。なんだって関係ない梅花やお袋を巻き込むんだ俺の大事な人間を巻き込むんだ大事なものを奪うんだ、それがお前の復讐なのか、俺の大事なものを一切合財根こそぎ奪い取って滅茶苦茶に踏み躙って打ち砕けばお前は満足なのかよ?
 判らない。俺は道了が怖い。道了の思考回路は理解不能だ。完全にショートした機械人形だ。
 目を閉じれば鮮明に蘇る。感情の起伏に乏しいのっぺりした無表情をさらす道了、その能面じみて端正な顔に強烈な違和感を付与する金属質のオッドアイ。どこまでも冷たく無機質な金の右目と銀の左目が眼底まで射抜くような先鋭化した視線を放つ。
 ところこどろ銀のメッシュを入れた髪、涼しげな切れ長の双眸、繊細な鼻梁と酷薄そうな薄い唇と品良く尖った顎。
 道了は別れた時のまま道了だった。道了は俺の前に悪夢の具現化した五体満足の姿で現れた。
 目を疑った。次に頭を疑った。
 脳が現実を拒否った。現実を受け入れたくなかった。
 衝撃に麻痺した心の一部で俺は俺の正気を疑った。道了が東京プリズンに現れるわけがないと高を括って、眼前の現実がたちの悪いジョークか妄想だと決め付けて今確かにそこにいる道了の存在を全否定した。
 道了。
 道了が何故ここにいる、東京プリズンにいる?
 馬鹿げてる。道了と実際会うのは一年と数ヶ月ぶりだ。いちばん最後に会ったのは一年と数ヶ月前、俺が東京プリズンに収監されるきっかけとなった事件現場、抗争の爪痕生々しい廃車置き場だ。
 記憶を遡る。当時を回想する。
 たった一年前のことだというのにもう十年も前のことのように感じられる娑婆での最後の記憶を。
 
 廃車置場は地雷原の如く惨憺たる有り様を呈していた。
 爆発の余波で吹っ飛ばされた車が腹を見せて横たわる下から無残に煤けた腕が伸びていた。炭化した死体の腕。
 阿鼻叫喚を通り越して死屍累々の地獄絵図。
 あたり一面に血と肉片がブチ撒けられ俺と同じ年頃のガキどもが累々と転がっていた。絶命してないやつも絶命したやつも五体満足でいるのは少数派で、殆どのヤツは腕をもがれたり足がちぎれたり体の一部か大部分を損傷する重傷を負っていた。
 この地獄を作り出したのは、俺だ。
 俺が地獄を招いたのだ。
 こんな事になるとは思わなかった。何かの間違いで片付けたかった。
 だってそうだろ俺はこんなつもりじゃなかったこんな酷い事するつもりは全然なかった、俺はただまわりを敵に囲まれて味方はひとりもいなくて追い詰められて仕方なく他に選択肢がなく手榴弾のピンを抜いたんだ、それしか助かる道がないと頭から信じ込んでピンを抜いた手榴弾をおもいっきり投擲したんだ。
 力任せにぶん投げた手榴弾は抜けるような青空に爽快な弧を描いた。
 俺は馬鹿みたいに口をぼけっと開けて青空高く放物線を描く手榴弾に見入った。
 閃光が爆ぜる。
 続く耳を破らんばかりの轟音。
 天地がひっくりかえったような衝撃に足元をすくわれひっくりかえる。
 煙が晴れた後に立ち現れたのは、鉄パイプやスタンガンを手に手にひっさげたガキどもが殺気立って走り回る戦場の光景から一転、血生臭い地獄と化した廃車場。
 閃光が収束し揺れが止んだ時、俺以外に立ってるやつは誰もいなかった。
 五体満足で生き残ったやつは俺を除いて一人もいなかった、ただの一人も。
 皮肉にも「月天心」でお荷物扱いされてた俺が、かすり傷の他は大した怪我もなく生き残ったというわけだ。
 最後に見た道了を思い出す。
 急報を受け到着した救急車の後部ハッチが開き、担架が運び込まれる。 
 パトカーのランプの赤がくるくる旋回する。ランプの赤が俺の膝や肘や顔を照らす。
 事件現場には大挙して警察が到着し立ち入り禁止のテープを張り巡らせて野次馬の侵入を防いだ。
 俺は立ち入り禁止のテープの内側に突っ立って口を閉じるのも忘れぼうっと惨状を眺めていた。
 現場保存を命じる刑事の怒鳴り声も鑑識が焚くフラッシュも野次馬の喋り声も、別世界の出来事のように遠く距離を隔てて感じられた。
 道了。
 道了はどこにいる。
 空白の心に一点の疑問が生まれる。
 道了。月天心のトップ。俺を月天心に引き込んだ張本人。
 仲間の一員として迎えるとかなんとか口ではうまいことを言っておきながら、一度たりとも対等に遇したりなんかしなかった約束破りの男。道了はどこにいる?俺の記憶が確かなら道了も今回の抗争に参加したはず、前線に立って怪力乱心の強さでもって並居る敵を蹴散らしていたはず。その道了が見当たらない。
 さっきまで近くにいた、視界にいた。
 廃車場の頂点に仁王立ち、鉄パイプなんかめじゃない威力の拳から血を滴らせ眼下を睥睨していた。
 道了がいない。
 まさか、死―
 爆発に巻き込まれて死んだ?激しく首を振り最悪の想像を打ち消す。
 不死身の機械人形が簡単にくたばるわきゃないと自分に言い聞かせなけなしの気力を振り絞りあたりを見回す。
 道了はどこだ?廃車の下敷きになったガキ、廃車に凭れて嗚咽を零すガキ、失った右腕を早く見つけて縫い合わせてくれと刑事の膝に縋り付くガキ……
 いた。
 心臓が強く鼓動を打つ。
 今しも立ち入り禁止のテープを潜り抜け救急車のハッチへ担ぎ込まれようとしていた担架、その上に横たわっている。
 一目見て戦慄が襲う。
 道了のこめかみに鋭い破片が刺さり、こめかみが脈打つのに合わせ大量の血が滴っている。
 道了は目を閉じていた。安らかな、と表現してもいい寝顔だった。この距離からじゃ呼吸しているかどうかも不確かだが、瞼を下ろした寝顔があまりに静かで、能面じみた無表情は損なわれてないだけに顔半分を染めた血のおぞましさが一層異常さと不吉さを駆り立てて、その時道了は即死か即死に近い状態に違いないと確信した。
 死んだというよりは壊れたといったほうがしっくり来る、唐突な結末。
 道了は壊れた。
 油が切れた何かの要因で内燃機関が錆びて間接が軋んで、そうしてある時突然にその生命活動を停止させてしまったのだ。
 無機的な静けさを漂わせた寝顔は、孤高とでも言うべき厳かな神聖さをも兼ね備えていた。 
 あっけない幕切れ。池袋にその名を轟かせた殺戮人形の最期。
 壊れた人形はスクラップにされる運命。
 『道了、』
 渇いた喉で、震える声で、切れた唇で名を呼ぶ。
 特別な意味をもつ名を、池袋において畏怖と崇拝を集めた男の名を、いつだって月天心の中心にいたカリスマの名を。
 「月天心」。
 天の真ん中にかかった月を意味する単語。
 その名のとおり道了はいつだってチームの中心にいた。
 無慈悲な青い光を投げかけ天心に座する月のように、池袋に数多いる行き場をなくしたガキどもの中心にどっかり腰を据えていたのだ。 
 全身の血液が沸騰し逆流する。
 名伏しがたい衝動に駆られふらつきながら道了に歩み寄る、立ち入り禁止のテープを破って担架を覗き込もうとしてー
 『道了、お願いだから目を開けて!』
 ハッと我に返った。
 担架に寝かされた道了にひしと縋り付くのは、梅花。青痣だらけの顔に滂沱と涙を流し必死な声音で道了に呼びかけている。
 道了は恋人の必死の呼びかけにも一切反応を示さず沈黙を守っている。騒ぎを聞いて仕事場から着のみ着のままで駆け付けたらしい梅花は、体温が逃げないようにと道了の手を擦り、沈痛に顔を伏せる。
 『救命、救命……快点救命!お願い道了を助けて道了がいなくなったら私どうしたらいいのかわからない、私には道了しかいないのにこの人がいなくなったら私どうしたらいいの、嫌、道了がいなくなるなんて嫌、私はずっとこの人のそばでこの人を支えていくと決めたの、道了には私がいなきゃ駄目だから、だから……殴られても蹴られても鼻の骨を折られても髪を抜かれても大勢の前で犯されても構わない。ねえ道了、私の声が聞こえてる?あなの恋人の梅花、あなたの幼馴染の梅花よ。お願いだから私をひとりにしないで、捨てないで、何でもするからだから……』
 剥き出しの肩が嗚咽に合わせ弱々しく震える。声を殺してしゃくりあげる梅花の背中に言葉を失い立ち尽くす。
 さらりと流れた黒髪が青痣の映える横顔を物憂く隠す。
 梅花。俺の初恋の女。
 どんなに殴られ蹴られ嬲られても決して恋人のそばを離れようとしなかった心優しく一途な女は、死に際した道了の手を握り締め、祈る。
 どこまでも純粋な涙が血と煤に塗れた顔を洗い清める。

 『………我愛弥。我愛弥、我愛弥、我愛弥』

 愛してる。
 愛してる。
 愛してるわ。
 
 俺がとうとう一度ももらえなかった言葉を、道了のために、道了のためだけに惜しみなく繰り返す。
 何度も何度も、壊れたように。
 
 最後に見た道了は、梅花に手をとられ安らかに眠っていた。
 第三者が入り込む余地がないほどに情が通じ合った恋人同士がそこにいた。梅花は片時も離れず道了の傍らに寄り添い、殴られ蹴られて痣の絶えない顔に翳りある笑みを浮かべ、それでも世界でただ一人自分だけが道了を理解し許せる存在だという気丈な自負で矜持を支えていた。

 その梅花を殺したと道了は言った。
 至極あっさりと言ってのけやがった。

 梅花。
 梅花。
 梅花。

 『ロン、また怪我してるじゃない。駄目よ、自分を粗末にしちゃ。もっと自分を大事にして。あなたが怪我して帰ってきたら私は哀しい』
 『ロンは優しいね。いい子だね。こんな私を好きになってくれて凄く嬉しい。けどねロン、私にはそんなもったいない言葉を貰う資格ないの。
 ロンはすごく優しくてかっこいいから将来好きになってくれる女の人がたくさんいる、だから今の言葉はあなたを好きになってくれる子たちのためにとっておいて。……だってほら、私、汚いでしょ?化粧を落としたら痣だらけで、とてもひとに見せられたもんじゃないの。目にも頬にも鼻の横にも顎にもそこらじゅうに痣があるの。青いの黄色いの茶色いの黒いの……ほら、日が経つにつれていろんな色に変わっていく。これ全部道了がやったの。あの人に殴られたの。でもね、いいの。ほんと言うとね、痛いけど嬉しいの。
 道了が私を殴るってことは、少なくともその間だけは私を必要としてくれてるってことでしょう。
 変かな。おかしいかな。
 道了に殴られている時だけ必要とされてるって実感できるなんて。 
 道了のためにできることがあって嬉しいだなんて。
 ……ロン、がっかりした?
 初めて好きになった女がこんなマゾの変態の雌犬だなんて自慢にならないよね。ごめんね。お願いだから泣かないで。ロンが泣くことなんて何もないんだから、私は好きで道了のそばにいるんだから、私を守れなくて悔しくてロンが泣くことなんかないんだよ。
 ……謝謝、ロン。大好きよ。幸せになってね』
 
 お前が殺されたのに、幸せになんかなれるわけない。
 何の見返りも期待せず俺の幸せを祈ってくれたお前が殺されたのに、幸せになれるわけがねえ。
 幸せになれるともなりたいとも思わねえ。 

 俺は馬鹿だ。
 どうしようもなく馬鹿だ。
 俺が東京プリズンでレイジや鍵屋崎やサムライと馬鹿騒ぎしてるあいだ道了は娑婆で好き放題して変わらず梅花を嬲り者にしてたってのに、俺は東京プリズンでの日々が楽しくて、初めて出来た仲間に囲まれた毎日が凄く楽しくて娑婆の事なんかもう殆ど思い出さなくなってて、しぶとく生き残った道了によって梅花が今頃どんな目に遭わされてるかなんて思ってもみやしなかった。

 あんなに好きだったのに。
 大好きだったのに。
 
 俺は道了が許せない。
 梅花を殺したという道了の言葉が仮に真実だとして、梅花とお袋を殺した道了を絶対に許せない。
 俺は梅花が好きだった、大好きだった。命にかけて守りたいと思った生まれて初めての女だった。体を張って守り通そうとしたただ一人の女だった。
 梅花がもうこの世にいないなんて信じられない。
 信じたくない。

 だから確かめにいく。
 道了の言葉の真偽を、今から確かめにいく。


 分厚い鉄扉の向こうに慌しい人の気配がする。
 もうすぐ夕飯が始まる。
 強制労働を終えて帰還した囚人たちがそれぞれの房に足繁く出入りしてる。
 廊下に靴音が入り乱れる。話し声が聞こえる。
 野太い声で笑う囚人、下卑た冗談をとばす囚人、屈託なくふざけあう囚人……もろもろの雑音が渾然一体となり混沌の中で活況を呈する。
 俺を置き去りにして当たり前に繰り返される東京プリズンの日常、平和と呼んでも差し支えない日々。
 分厚い鉄扉を閉め切った暗闇の中、コンクリ壁に背中を密着させじっと息を潜める。
 この一週間というもの殆ど飯が喉を通らず水しか飲んでないせいか、胃が軽くて心許なかった。食べてもすぐ吐いてしまうのだ。
 便器に突っ伏してげえげえやり始める俺の背中を献身的にさすりながら、レイジは「大丈夫か?」を連発した。
 王様らしくもないうろたえた声からは、レイジ自身俺にどう接したらいいか困惑しきってる様子が窺えた。
 
 レイジが帰ってくる前に決断しなきゃ。
 これ以上迷惑をかけないためにも。
 心配をかけないためにも。

 「………優しすぎるんだよ、あいつ。らしくもなく気を遣いやがって、気色わりィったらありゃしねえ。いつもどおりそこらほっつき歩いて尻軽にナンパしてりゃいいのに、殆ど一日中俺につきっきりで背中さすったり添い寝したり頭なでたり抱きしめたり……赤ん坊じゃあるまいし飯くらいひとりで食えるっつの。何が『あーンして、あーン』だ。『さあロン観念してお口を開けて俺が大事に隠してた缶詰のパイナップルを召し上がれ、病人にはこれがいちばんだ、むかしむかしパイナップルは風邪ン時しか食えねえ贅沢品でこれさえ食や元気百倍ロンパンマ』って何続けようとしたんだよ、変な所で切りやがって気になるじゃねーか!」
 レイジの過保護はうざったいが、今の俺には抵抗する気力もない。
 なんというか、レイジが優しすぎて調子が狂っちまう。
 このままじゃ駄目だ、このままじゃ俺たち二人とも駄目になっちまう。互いに遠慮して本心に踏み込むのを恐れて堂々巡りするだけで埒が明かねえ。 
 無意識に腹をさする。胃が縮こまって干からびてく切ない感覚。俺の胃袋は次第に飯を受け付けなくなってる。この一週間ろくなもんを食べてないが不思議な事に腹が減ったという実感が湧かないのだ。
 自分の体が自分の体じゃないみたいな非現実感に支配され思考が上滑りする。
 口にして辛うじて吐かずにすむのはレイジが勧める缶詰のみ。レイジがベッド下の秘密の隠し場所にごっそり貯蔵してる缶詰は種類豊富で、実際缶詰の山を見た俺は一体どうやってこんだけ集めたんだよと呆れた。レイジは甲斐甲斐しく俺を世話した。それこそ手取り足取りの過保護っぷりで、顎が弛緩して涎を垂らしっぱなしの口の中に爪楊枝をさしたパイナップルや桃やみかんをせっせと運んでくれた。シロップ漬けのパイナップルや桃やみかんは喉越し滑らかで大して噛まずにつるっと飲み込むことができた。
 有難い事だった。
 この一週間殆ど抜け殻同然で過ごしていた俺は、もの咀嚼するという食事の基本中の基本、生命維持活動の基礎をすっかりド忘れしていた。ものを噛むのが面倒くさくてしょうがなかった。歯を噛み合わせ顎を動かし咀嚼し飲み下す。日頃意識せず当たり前にこなしていた行為が当たり前にできなくなってしまったというのに、その事を自分で訝しむ理性すら蒸発し、俺は生きてるか死んでるかもわからない半病人の状態で強制労働以外の時間を房に横たわって過ごした。

 時間の感覚がなくなった。
 自分が今いる場所がどこかもわからなくなった。

 俺は逃げていた。
 耐え切れない現実から残酷な真実の重さから裸足で逃げていた、逃げ続けていた。
 道了が引き連れた現実を正視したら到底正気を保ってられなかった。
 俺は意気地なしの腰抜けの臆病者だ。
 腹括って現実と向き合う勇気が湧かずに一週間も無駄にしちまったとんでもない阿呆だ。
 今日突然それに気付いた。きっかけは夢だ。娑婆で最後に道了を見た時の夢、梅花と生き別れた時の生々しい手触りの夢。夢の中の俺は徒手空拳立ち尽くしていた。俺は事件現場にいた、最前線にいた。あちこちから黒煙が立ち上る戦場と化した廃車場のど真ん中、悲鳴と苦鳴と断末魔とが交錯する騒然とした現場で呆然と立ち尽くしていた。
 視線の先には梅花がいた。担架で運ばれる道了に献身的に寄り添っていた。梅花に駆け寄ろうとして、梅花と道了のあいだの張り詰めた空気に言葉を失った。
 梅花と道了の間には他者の介入を阻む何かがあった。
 何か。
 多分、絆とか呼ぶもの。
 それがどんなに歪んでねじくれたものであっても、道了と梅花は強い絆で結ばれていた。
 『………我愛弥。我愛弥、我愛弥、我愛弥』
 愛してる、愛してる、愛してる。血と一緒に刻々と漏れ出す命を繋ぎ止めようとただその言葉だけを繰り返し、道了の手をさすりつづける。
 あれは実際にあった事、俺が体験した現実だ。たかだか一年と数ヶ月前の事に過ぎない現実だ。過去とも呼べない歳月の浅い出来事だ。
 梅花の「我愛弥」がまだ耳に残ってる。嗚咽まじりの哀切な声音が耳に響いている。

 逃げてる場合じゃねえ。
 とっととベッドから腰を上げて自分の足で目で真相を確かめにいけ。
 梅花が生きてるか死んでるかお袋が生きてるか死んでるか道了に問いただせ、お前が梅花とお袋を殺したのかと怒りを込めて食ってかかれ。
 へこたれてる暇はねえ。
 飯が喉を通らねえとか眠れねえとか何もやる気がおきねえとかレイジや鍵屋崎やサムライや俺を心配してよくしてくれるやつらの存在すら鬱陶しいとか同情されるのがいやだとか言ってる場合じゃねえ。喪失感脱力感無力感虚無感倦怠感を乗り越えて打ち克って俺は俺の心を取り戻さなきゃいけない。暗闇の隅っこで膝を抱えて一日中無為に無気力に過ごすのはもうおしまいだ、もう一度道了に会ってちゃんと話さなきゃなんねえ、あいつの本心と目的を確かめなきゃなんねえ。 
 梅花。お袋。
 待ってろよ、必ず取り戻してやる。

 「……嘘だ、信じねえ。この目で確かめるまで絶対信じねえ。お袋がんな簡単にくたばるもんか、おっ死ぬもんか、俺を産んだ女がそんな簡単にくたばるもんかよ。伊達に俺が赤ん坊の頃から体を売って稼いでないんだ、客に乱暴されようが無茶な抱かれ方しようがお袋はいつだってピンピンしてた、スラムのドブ水に浸かりながらしぶとくしたたかに生き抜いてきたんだ。お袋にいちばん似あう死に方は腹上死だ。俺のお袋は道了に撲殺されるほどヤワじゃねえ、道了に犯られて殺される程おちぶれてもねえ。誰より気位が高い娼婦が自分のガキと同じ年頃の男に犯り殺されるなんざありえねえ。お袋にかかりゃ道了だって骨抜きにされちまうよ」
 大きく深呼吸し息継ぎもせず言い放つ。
 痛いほど膝を掴み挫けそうな自分を叱咤する。爪が膝に食い込む痛みが俺を現実に繋ぎ止める。
 おっかない、美しいお袋。
 お袋がもうこの世にいないなんて到底信じられない、信じたくない、信じてたまるもんか。
 俺は生きてここを出てお袋に会いに行くんだ、お袋に面と向かって言いたい台詞を山ほど腹の底にたくわえてるんだ。
 このままで済ますもんか。
 ぐっと奥歯を噛みしめる。胸の内を激情が蝕む。閉じた瞼の裏側を女の面影が過ぎる。梅花。お袋。初めて好きになった女と初めて憎んだ女の面影が交互に巡る。二人が道了に殺された?嘘だ。証拠はどこにもない、道了がそう言ってるだけだ。俺をびびらせようとでたらめ吹いた可能性もある。
 道了と直接会って確かめる必要がある。
 東京プリズンを訪れた真意を、本当の目的を、梅花とお袋を殺したのかどうかを。 
 固いコンクリ壁に背中を預け、動悸が静まるのを数をかぞえて待つ。
 一、二、三……五十、六十……百。たっぷり百数えてから慎重に目を開ける。
 「梅花が死ぬわけねえ」
 房の片隅に梅花の亡霊が佇んでこっちを見てるような錯覚に囚われる。
 激しく首を振り妄想を追い払う。
 体の脇でこぶしを握り締め、不規則に荒い呼吸を整える。
 鉄扉の向こうから潮騒のように雑音が打ち寄せてくる。夕闇に包まれた房に外界と隔絶された静けさが満ちる。
 「俺が好きになった女が死ぬわけねえ、俺の知らない所で殺されたりするわけがねえ」
 確かめにいかなきゃ。
 何度も深呼吸し固く目を閉じ恐怖を克服し、勇気を奮い起こし立ち上がる。ふっと眩暈に襲われた。
 バランスが崩れてそのまま倒れこみそうになる体を壁に手を付きどうにか支え、ふらつきながら床に降り立つ。
 踵の潰れたスニーカーに足を潜り込ませる。
 ベッドパイプを伝って房を横切り鉄扉に近付く。
 正直道了に会うのは怖い。
 一週間前道了にされた事を体はまだ生々しく覚えている。
 道了の口が抵抗なく俺のペニスを含み舌を絡め転がし射精に導く。
 腰から下が蕩けるような強烈な快感に理性が蒸発し、気付けば嗚咽じみた喘ぎ声を漏らしていた。

 道了は何であんな事をした?

 ハルの死骸に顔面押し付けられた時の事を反芻し、口内に酸っぱい唾が湧く。
 腐肉が放つ臭気が鼻腔の奥に充満する。
 吐き気を催す臭気から逃れようと固く目を閉じ息を吸い、足をひきずるようにして鉄扉をめざす。
 「道了に会わなきゃ。これ以上逃げ続けるのはごめんだ、怯え続ける毎日はごめんだ、いい加減白黒はっきりつけなきゃ……俺だって元月天心の人間だ、道了がいたチームの人間だ。畜生怖いもんかよ、馬鹿にすんなよ、怖くなんかねーよ。道了だって突き詰めればちょっと力が強くて瞬き少ねえだけのただの人間だ、不死身のロボットじゃあるまいし話が通じるはずだ。俺は腰抜けじゃねえぞ、一方的に犯られっぱなしで引き下がるようなタマじゃねえ。娑婆とは違うんだ。俺は強くなったんだ。東京プリズンに来てあいつと出会って変わった……」
 おもむろにドアが開き、一条の西日が射し込む。
 「-っ!」
 反射的に手を翳し目を閉じる。暗闇に慣れた目に残照の光線は眩しすぎる。
 俺がノブに手をかけようとしたちょうどその時、図ったようなタイミングで扉を開けたのは……
 西日に輪郭を淡く溶かしたレイジだった。
 「お。歩けるようになったのか、ロン。今日は自分で食堂に行けるか?だったらこっちも手間省けてラクなんだけど」
 レイジが後ろ手に扉を閉める。  
 分厚い鉄扉が西日を遮る。
 鉄扉に背中を凭せ掛けたレイジが俺を励まそうと気遣いの笑みを浮かべる。
 その笑顔が胸に刺さる。
 レイジに優しくされればされるほど辛くなる。
 レイジの横を突っ切りノブを掴もうとして、その肘を後ろから引かれる。
 無視されたレイジが静かに問う。
 「どこ行くんだよ」
 ひどく落ち着いた声音に不吉なものを感じる。
 「俺の勝手だろ。放っとけよ」
 首の後ろに視線を感じる。産毛がちりちり燻る。
 苛立ちが募る。焦燥が身を焼く。
 こんな所でぐずぐずしてる暇はない。
 放せよレイジ放してくれよ俺のことなんかもう放っとけよそばにいても不幸になるだけだ、お願いだから俺のことなんかもう放っといてくれよ。
 レイジが優しければ優しいほど辛くなる、耐え難くなる。
 優しくされる価値も資格もない俺自身が堪らなくなる。
 俺と一緒にいた人間はみな不幸になる。
 事実梅花は俺に優しくしたことが原因で道了に目を付けられて見せしめで嬲られたのだ。
 一週間前だってそうだ、東棟の王様としてブラックワークの頂点に君臨するレイジが道了に歯が立たなかったのは俺がいたからだ、人質にとられた俺の身を案じるあまり実力を発揮できず結果人望を失っちまった、「東棟の王様なんていってもあの程度かよ」と舐められちまったのだ。
 雰囲気を吹き飛ばすようにレイジが底抜けに明るく笑う。
 「散歩か?よせよせ、お前も知ってると思うけど今は物騒だぜ。散歩にゃむかねー日和だよ。お前のなじみのお人形さんがはしゃぎまくってくれたおかげで東棟は勢力が割れまくってんの。夜道じゃなくても気をつけるに越したこたねー。夕飯の時以外は出歩かないのがお利口さんだ」
 レイジが身を屈めベッドの下をごそごそ漁りはじめる。ベッドの下に頭を突っ込んだレイジが缶詰を手に振り向く。
 「ロン、缶詰食うか?夕飯の前にちょっとつまみ食いしてもバチあたんねーだろ。とっておきのがあるんだよ。このコンビーフ塩味がちょうどいいあんばいで、こっちのキャビアは黒くてぴかぴかしててぷちんて弾ける食感がたまんなくて、アンチョビーの缶詰は本場スペイン産の本格派……」
 「道了のところに行く」
 饒舌なレイジをぴしゃりと遮り、端的に行き先を告げる。
 ゴトンと音がした。レイジの手から転げ落ちた缶詰が床で回って踝にあたる。 
 レイジは缶詰抱えて片膝立った姿勢のまま、何とも言えず奇妙な顔をする。
 「……頭がおかしいのか、お前」
 本気で俺の正気を疑ってる様子だ。
 無理もない、一週間前あんなことがあったばかりだってのにぬけぬけと道了のところに行くなんて言い出す相棒にほとほと呆れてるんだろう。
 俺はノブに手をかけ静かに決意を固める。
 「梅花とお袋を本当に殺したのか聞きに行く。返答次第じゃ殺す。梅花とお袋の仇を討つ」
 「殺す」。
 口にして初めて現実味をもった。
 俺は今はっきりと道了への殺意を自覚した。もし道了がふたりを殺したのが事実なら俺は多分俺自身を抑えきれない、憤激に駆られるがまま道了にとびかかって滅茶苦茶に殴り付けて額が割れて鼻が折れて血まみれになって歯が零れて顔が倍に膨らんで鬱血してもきっと止まらない、それこそ道了が死ぬまで殴るのをやめないだろうと確信する。
 「道了は許せない。それ以上に自分が許せねえ。ベッドの隅っこで膝抱えてうじうじして、道了の言葉に悩みまくって飯も喉に通らねーようなヤワな自分が許せねえ。このままうじうじ悩み続けるくらいなら当たって砕けちまったほうがマシだ。どっちかつかずで宙ぶらりんの状態はいやなんだよ」
 「ロン、正気かよ。一週間前のこと忘れたのかよ。道了に何されたか思い出せよ、殴られて蹴られて犬の死骸食わされかけてズボン脱がされてしゃぶられたんだろ。これがどういう事かわかるか?殺されたかけたんだぜ、死にかけたんだぜ、俺がいないところで」
 レイジの声が切迫する。俺は振り向かない。ただ俯いて唇を噛みしめ必死の説得に耳を傾ける。
 レイジは俺を引きとめようと必死だ。缶詰を放り出して立ち上がるや大股にこっちにやってきて、俺の両腕を掴んでむりやり自分に向き直らせる。
 「行くな、ロン」
 「命令すんなよ」 
 「お願いしてるんだ」
 「どっちでも同じだ。俺は行く、行って確かめる、梅花とお袋に道了がしたことを……」
 「お前自身はどうなってもいいってのか?娑婆に残してきたやつらの安否さえ確認できれば代償に自分の命を売っ払ってもいいってのかよ」
 腕を掴む手が強まる。痛みを感じて顔を顰める。レイジはお構いなしに力をこめてくる。  
 暗闇に慣れた目がレイジの顔を捉える。最前の笑顔が綺麗さっぱり吹き飛んだ真剣な顔と異様な迫力に満ちた眼光に気圧される。
 「放せよレイジ。痛いよ」
 レイジの手を振り解こうと身動ぎする。レイジは決して俺を放さない、再び俺を失うのを恐れてなりふりかまわず俺に縋っている。
 どこまでも真っ直ぐなその目に動揺する。
 俺を行かせるくらいなら殺して自分に物にすると言ってるような眼差しが道了と重なり、戦慄が走る。
 「……お、れに構うなよ。うざいんだよ。道了のことはよく知ってる、道了とは娑婆からの付き合いだ、どのへんで引けばいいかちゃんとわかってるし一週間前と同じ事にはなんねーって約束する。一週間前は不意をつかれてドジ踏んだけど今度は大丈夫、俺は道了をー……」
 「そんなに道了が好きなのか」
 「え?」
 「道了のほうがいいのか」 
 何、を言ってるんだ?
 驚いてレイジを見返す。レイジは完全に表情を消して俺を見下ろしてる。
 「危ないって言ってるじゃんか。どうしてわかんないんだよ、ロン。また襲われたらどうするんだよ、いつでも俺が助けに来るとは限らないだろ、間に合うとは限んねーだろ。俺は確かに無敵の王様だ、最強の王様だ、お前のためなら片目だって片腕だって喜んでくれてやるさ。けどなロン、お前自身が地獄にまっしぐら突っ込んでっちゃどうしようもねーだろ」
 眼光が尖る。底冷えする声が告げる。身に纏う空気が変容する。
 暗闇に包まれた房の中、痛い程に俺の腕を掴んだレイジが鼓動の聞こえる距離に体を密着させる。
 「お前、そんなに死にたいのか。昔なじみに殺されるのが本望なのか。腹ン中じゃ道了に犯されたいって思ってんのかよ」
 「ばっ……!」
 そんなわけない。言いがかりだ。
 拳を振り上げようとして視界が反転、ぐらりとよろめいた体がそのまま後ろ向きにベッドに倒れこむ。
 背中に衝撃。
 肺を圧迫されて息が詰まる。
 混乱した頭を左右に傾げてレイジを探す。いた。真上だ。レイジは俺の上にのっかっていた。
 俺をベッドに押し倒しその上で上着を脱ぎ、無駄なく引き締まった裸の上半身を晒す。 
 首を振って服を脱いだ拍子に前髪が散らばり眼帯をなでる。ベッドにしたたかに背中を打ち付けた俺は目の前で何が起きてるかわからぬまま思考停止状態でレイジを眺めていた。
 レイジが脱いだ上着を縒り合わせて俺の腕を頭上で一本に括り始めた時、漸くその意図を察し全身に冷や汗をかく。
 「おまっ、なにやってんだよ!自分勝手にさかるのもいい加減にしろよ、俺はこれから用があるんだよ、道了のとこに行かなきゃ畜生、お袋と梅花に何したか吐かせてきっちり責任とらせてやるんだ、俺は道了にー……!!」
 『Hands up, Hit it!!』
 レイジが余裕を失い怒鳴り返す、その迫力に身が竦む。頭上で腕を一本に縛られベッドに仰向けに転がされる。
 何とか拘束を解こうと躍起になって暴れるも肘から下を二重三重に縛られたせいで殆ど身動きできないと思い知らされる。
 恐怖と緊張にからからに渇いた喉を唾で湿らし、強張る顔筋で虚勢の笑みを作る。
 「……どうかしてるぜ、レイジ」
 レイジも俺に似た顔をしていた。
 怖い物など何もない、後先かえりみないやけっぱちの笑顔。
 「どうかしてるのはお前だ」
 独占欲の塊と化したレイジが飢え狂った獣のように俺に襲い掛かる。性急な手つきで俺の上着をたくし上げ腹と胸板をさらし愛撫を始める。朦朧とした頭で衣擦れの音を聞く。暗い天井を背にしたレイジが俺の腹の上で蠢く。俺の腹に舌を滑らし唾液の筋を付け舌を乳首を捏ねて快楽をもたらしながらうわ言を呟く。
 「俺をどうかさせたのはお前だ、ロン」
 体の輪郭に沿い手を滑らし腰を抱く。
 ズボンの内側に手を潜らせ引きずり下ろし、恐怖に縮まったペニスを唾液で湿した指で捏ね繰り回しながら囁く。
 「逃げるなよ。ずっとそばにいろよ。他の男なんか見るな、俺だけで頭を一杯にしとけ。それで足りねーなら体の中まで満たしてやるよ」
 性急な衣擦れの音に欲情の息遣いが混じる。
 俺はレイジをどけようと必死に暴れながら、暴れれば暴れるほど上着が巻き付き束縛感を強める葛藤に苦しんで、ただただそれだけを支えに閉じた瞼の裏側に梅花とお袋の面影を思い起こす。

 梅花とお袋が消えていく。
 俺の手の届かない彼方へ消えていく。  

 いつになく荒々しい手つきで貪り食うように俺の体を蹂躙するレイジ、その荒い息遣いと抵抗を許さぬ腕力が道了を思い起こさせる。
 熱い唇が鎖骨を辿る。快楽に馴らされた体が刺激を欲して浅ましく疼く。 
 「レ、んくっ、はっ、違、こんなのちが、お前を選ぶとかどっちが大事とかじゃなくて、俺は今きっちり道了と決着つけとかねーとずっと一生このままで、あいつに怯えてびくびくしながら毎日過ごさなきゃならなくてっ、大事なやつができるたび好きなやつができるたび梅花やお袋の二の舞になる事考えてしまいにゃとうとう人を好きになることもできなくなって、今だってそうだ、っん、俺と一緒にいたらお前まで道了に目を付けられて酷い目に……」
 「壊れた機械人形ごときに酷い目に遭わされるって?この俺が?」
 眇めた隻眼が酷薄な光を宿す。容赦ない手が緩急つけてペニスをしごく。
 そうじゃないと叫ぼうとして口付けで反論を封じられる。
 熱い舌が口腔に潜り込み頬の粘膜をこそぎとり歯の表裏を舐める。
 強く舌を吸われてびくんと体が跳ねる。  
 唾液の糸引く舌を放して上体を起こし、狂気に染まりきった笑顔でレイジが独白する。
 「お前をどこにも行かせない。だれにも渡さない」 
 褐色の首から零れた金鎖が涼やかな音を奏でる。
 ひん曲がった十字架が揺れるのを眺める俺のもとに、暴君の宣告が届く。
 『憎むべき破壊者が立ってはならない所に立つのを見たら、ユダヤにいる人々は山に逃げろ』 
 レイジが至近距離で目を覗き込む。
 黒革の眼帯の隣、硝子じみて透明な瞳に怯えきった俺が映りこむ。
 『おまえたち蛇ども、蝮の裔ども。おまえたちはゲヘナの刑罰をどうして逃れることができよう』
 レイジが薄っすらと微笑む。
 そしてレイジは
 「お前に手を出すやつはゲヘナの火で燃やし尽くしてやる。王には殺したあと地獄に投げ込む権威がある。お前を傷つける人間は許さない、お前を哀しませる人間は許さない。絶対に。未来永劫この地上から刈り取ってやる」
 道了のように激しく俺を抱いた。 

少年プリズン(未完) | コメント(-) | 20050402224541 | 編集
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