ロールシャッハテストB

まさみの18禁オリジナルBL小説ブログ。

最近のトラックバック
ブロとも申請フォーム
スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

関連記事 [スポンサー広告]
スポンサー広告 | コメント(-) | ------------ | 編集
二十四話

 房に帰るなり押し倒された。
 「!いきなりなにすっ、」
 「お仕置きだよ」
 殴りつける手は掴まれた、蹴り上げる足は押さえ込まれた、口は唇でふさがれた。
 乱暴なキスに前歯がぶつかり痛みを感じる。
 口腔を貪られ歯列の裏側をほじくられ危うく酸欠に陥りかける。
 十分に酸素が行き届かず頭が真っ白になる。
 いや違う、頭が空白になったのは思考が働かないのは今起きてる出来事についてけないせいだ。
 足掻けば足掻くほど深みに嵌まりぶざまを晒すとわかっていても、激しくかぶりを振り手足をばたつかせ暴れずにはいられない。
 抵抗を止めたら最後やすやす組み伏せられてヤられるのがオチだ。
 何でいきなりこんな事に?動転した頭で振り返る。
 渡り廊下を歩いてる時は普通だった、あるいは普通を装っていた。俺の手を握る指に次第に力が込められてくるのがわかった伝わってきた、迷子が縋り付くみたいに一縷な手の繋ぎ方だった。
 レイジが豹変したのは房に入った瞬間だった。
 背後で鉄扉が閉じる。周囲の壁に震動が走り残響の余韻がたゆたう。 軋みを上げて閉じた鉄扉を背にレイジと対峙、口を開きかけた俺を遮るように手が伸びてきた。まず最初に口を塞がれた、そのままベッドに押し倒された俺のシャツを捲り上げた。
 性急にはだけたシャツの下、素肌が外気にさらされる。
 シャツの下から暴かれた裸身をじっくり眺め、不敵に微笑む。
 「よーし、いい子だ。俺がいない間他のヤツにさわらせてなかったな」
 「わざわざひん剥いて確かめることかよ!?」
 理性が吹っ飛んだ。
 怒りもあらわに罵声を飛ばすがレイジは懲りた様子もなく俺の上から下りようとしない、俺の胴に跨ったまま素肌に手を滑らせて感度を確かめる。きめ細かく滑らかな褐色の手が巧みに肌をまさぐり腋の下をくすぐる、ベッドに横たわった俺はレイジに操られるがまま人形のように腕を上げ下げする。
 すぐにわかった、レイジが何をしてるのか。
 俺の上着を剥いで体に痣がないか検分してるのだ。
 レイジに抱かれた時もそうだった。
 俺の体にはレイジの唇に食まれたあとが無数に散り咲いてしばらくのあいだは人前で服を脱ぐのに抵抗を感じた。脹脛に内腿に下腹部に胸に首筋、到底人に言えない場所も含めて全身至る所に散り咲いた情事の烙印が癒えるまではゆっくりシャワーもできなかった。
 「服はなせよ、引っ張るなよ、伸びちまうだろ!お前いない間誰ともヤってねえって納得したら手え放せよ!どうしたんだよお前、渡り廊下の殺し合いの興奮ひきずってんのかよ、血の匂いに欲情してんのかよ、物欲しそうな顔で頬の傷狙いやがって……」
 突如渡り廊下で始まった殺し合いを回想する。
 廃帝サーシャが猛々しい奇声を発してナイフを振り回す、レイジは鉄パイプでこれに応戦する。
 久しぶりに会ったサーシャは前にも増して顔色が悪く痩せこけてアイスブルーの目ばかりぎらぎらと輝いていた。
 凍り付いた炎の目、狂気にぎらつく瞳。
 レイジめがけて吹き付ける凄まじき殺意の波動。骨と皮ばかりの痩身に忌まわしいまでに精力滾り立つ瘴気を纏わせて、幽鬼じみた形相に死相を隈取らせて、廃帝サーシャは東の王を屠らんとした。
 渡り廊下の死闘を思い出し、背中を悪寒が駆ける。
 俺はただレイジを守りたい一心でトンファー構えて飛び出していったが結局何の役にも立たなかった、サーシャの脛にトンファーぶつけて動きを止めたのだけが唯一の功績だった。
 クスリで廃人化してもサーシャは強いが暴君化したレイジの比じゃないと今度もまた思い知らされた。
 「レイジ、ごまかすな!お前に聞きてえこと山ほどあんだよ、一週間近く留守してホセんとこ泊り込んで何話してたんだ、さんざん心配かけやがって………何があったかちゃんと話せよ、最初から説明しろよ!」
 ホセとレイジの間で何が話し合われたのかが最大の焦点だ。
 依頼を蹴るも受けるもレイジの自由だが一週間近くホセんとこに泊り込んでたのはさすがに不自然だ、よっぽど深刻な話に違いないのだ。
 レイジが重大な隠し事してるんじゃないかという疑いがもたげて声を荒げるも本人はてんで取り合わず、耳殻の裏の薄い皮膚を指でくすぐる。
 「あっ………」
 人にさわられることなど無い場所を不意にくすぐられて、堪え切れずに声が漏れる。
 「偉い。俺の言いつけ守ったんだな」
 『勝手に外すなよ』……レイジの囁きを思い出す。
 耳朶に針を通す痛みが新鮮に蘇る。
 レイジは飽きずに俺の耳朶を捏ねている、指で挟んで伸ばして引っ張って丸めてと愛撫を繰り返している。
 レイジはしつこくピアスを撫でる。
 「怖くて外せねーよ、膿んだら大変じゃんか……」
 よわよわしく抗弁する。レイジがスッと目を細める。
 驚異的に長い睫毛が震え、物憂い色を湛えた隻眼が気だるく瞬く。
 「これ見てもホセはびびらなかったんだな」
 声の調子が豹変する。
 ひどく冷え込んだ声音で独りごちるレイジを仰げば、手慰みに俺の耳朶を揉みながら物思いに耽っている。
 レイジから発散される負のオーラが空気を澱ませて房の底部に渦を巻く。
 不穏な気配に怯えつつまともにレイジの顔を見返す。
 左目の傷跡を隠す黒眼帯に野蛮さと威厳を感じる。
 レイジは真意の読めない目でじっと俺の耳朶を見詰めている、否、正しくは俺の耳朶で輝く銀のピアスに見入っている。
 「…………馬鹿にしやがって」
 露骨な舌打ちとともに吐き捨て、俺の腹の上で中腰の姿勢になる。
 混乱したままレイジの動向を探る。俺の腹の上で上体を起こしたレイジがおもむろにズボンと下着をずり下ろす。危うく叫びそうになった。レイジが上に跨ってさえいなきゃ肘を使ってあとじさってた。
 「何、の真似だよ。見苦しいモン鼻先につきつけて、」
 急激に喉が渇く。ごくりと生唾を嚥下すれば喉にささくれが引っかかるような違和感を感じる。
 俺はすっかり怯えきっていたが、虚勢を張って言い返す。
 だがレイジは動じない、俺の視線を跳ね飛ばす威風堂々たる態度で顔の方にずりあがって腰を前に突き出し、ペニスの先端を唇になすりつける。
 「!?っぐ、」
 固い芯を中心に秘めた赤黒い肉の塊が唇を圧迫、喉の奥で呻く。
 独特の生臭い匂いが鼻腔を突いて吐き気が込み上げる。不自然な体勢で仰け反ったまま、顔面に突きつけられるペニスを見下ろす。
 皮が剥けて赤黒く成熟したペニス、俺とは子供と大人の差がある雄雄しい性器がてらてらと透明な雫に濡れ光っている。
 でかい。ホセのペニスに比べたら小さいほうだがそれでもでかい。
 ガキの頃から使い込んで立派に反り返ったペニスは怪物めいた迫力がある。
 俺の前髪を掴み、レイジが有無を言わさず言う。
 「しゃぶれ」
 「…………んんっ!?」
 口を引き結んだまま呻きを漏らす。
 冗談じゃねえ、こんな物しゃぶれるか。
 激しくかぶりを振って拒否すれば逆上したレイジが前髪を強く掴んで揺さぶる、がくがく顎が上下して脳味噌が攪拌される。
 「いい子で口開けよ。あーんて口開けてフェラしろよ、涎でべちゃべちゃにして最高に美味そうに。ホセにはやったくせに俺にはできねーなんて理不尽ありか、承知しねーぞ。覚えてるだろ、ロン。こないだ展望台でやったこと。俺がぼけっと見てる前でホセとやりたい放題いちゃついてディープキスの次は地面に膝付いてフェラチオまでして、随分とまあサービス精神旺盛じゃねえか」
 レイジが憤懣やるかたなく毒づき口に指を突っ込む。
 ちょっと油断して噛み合わせを緩めりゃたちどころに指が侵入してくる、口腔を犯される。
 「フェラなんて俺にもやってくれた事なかったくせに、ホセばっかいい思いしやがって」
 「ひっひょかよ」
 指で前歯を擦られながら吐息に紛れて悪態つく。
 歯のぬめりをこそぎ取るように執拗に指で擦り続け歯茎をいたぶる。呼吸ができなくて苦しい。頬の内側の粘膜と歯茎のあいだに指が挟まれる。
 俺の強情さにレイジが辟易する。
 「口開けろ」
 断固として首を振る。
 レイジがむんずと鼻をつまむ。当然息はできない。
 鼻の穴を塞がれたせいで酸素を取り込めず顔がみるみる充血していく。死ぬ。俺は必死に暴れる、激しく手足をばたつかせのたうちまわり酸欠の苦しみを訴えて気道の解放を要求する。
 レイジはにたにた笑ってる。悪戯に味をしめた悪ガキの顔。
 レイジの思惑通りになるのは癪だ、けどもう保ちそうにねえ、苦しい……駄目だ、限界だ。
 「がはっ、げほっ、ごほっ!!」
 大口開け深々息を吸い込み激しく咳き込む。
 息ができずに死ぬかと思った。生理的な涙が目尻から零れてこめかみを伝う。
 無邪気な笑い声が弾ける。
 ベッドに仰け反った俺の鼻からパッと指を放し、レイジが笑い転げる。
 「やりー、俺の勝ち。あはははははははっははは、変な顔!馬鹿だなあロンは、強情張んなきゃすぐラクになれたのによ」
 「おまっ、殺す気か!?一歩間違えりゃ死ぬとこだったぞ、俺にフェラさせるためなら手段選ばねえってこの人でなしめ!大体人の話最初から最後まで聞けよ、ホセにフェラなんかしてねっつの、ただホセの前に屈んでズボン下ろして股間に顔近づけただけだ、いざフェラしようってあんぐり口開けた瞬間にお前が飛び蹴り食らわしたんだろうがっ」
 「はあ?」
 レイジがすっとんきょうな声を上げる……やっぱり気付いてなかったかと一気に脱力、徒労を感じる。今度はこっちがため息を吐く番だ。
 大袈裟に驚くレイジを睨み付け、軽く咳き込みつつ勘違いを正す。
 「全部お前の勘違いだよ。お前の位置からじゃ俺がフェラしてるように見えて無理ないけど実際は寸止め、ホセの物なんか咥えてねーから安心しろ。あんなでっかい物咥えたら顎が外れちまうよ。だいたいお前のモンしゃぶるのもお断りだって意地貫いてた俺が寒風吹き荒ぶ展望台でフェラなんてすっかよ、見損なうな」
 胸に人さし指突きつけて啖呵を切れば、レイジの顔がふにゃり溶け崩れる。
 「あー良かった、なんだ勘違いかよ、驚かすなよもう!てっきり寒風吹き荒ぶ展望台でホセにご奉仕したのかと思い込んでやきもち焼いちまったじゃねーか。そんならそーと早く言えよ、焦らし上手め」
 「お前が言わせてくれなかったんだろ!?」
 怒髪天を衝く罵倒にも動じずレイジはご機嫌に笑ってる、俺を抱きしめて頬ずりする様子に毒気をぬかれてうんざり言う。
 「……もういいだろ?放せよ。ホセとのあいだにゃ何もなかったんだから」
 「『何も』?そいつは嘘だ、ホセとディープキスしたくせに」
 「あれは……不可抗力だよ。ホセが悪乗りしたんだよ。舌突っ込まれるなんてこっちも思ってなくて仰天して」
 「ディープキスは浮気に入る。不実を償え」
 レイジがきっぱり言い切り俺を放す。嫌な予感に胸がざわつく。
 続く言葉に不安を掻き立てられて固唾を呑む俺の眼前、レイジが意地悪くほくそ笑む。目配せにこめた意図を悟りぶんぶんと首を振る。
 勢いを増して首を振る俺にのしかかり、低く命令。
 「舐めろ」
 「ぜってーいやだ」
 「俺だって舐めてやったろ?聞き分けねーこと言うと嫌いになるぜ、ロン」
 「頼んでねーよ。お前が勝手にやったんだろ」
 「気持ちよかったろ?」
 「よかねーよ」
 男の物しゃぶるなんて冗談じゃねえ、想像だけで吐き気がする。
 信念を譲らず首を振り続ける俺を睨み、恨みがましく愚痴る。
 「……ホセには自分からディープキスとフェラしたくせに」
 「キスは無理矢理でフェラは真似事だって言ってんだろ、ホセとの間にゃ何もやましいことなんてなかったんだよ!」
 延々と続く押し問答に業を煮やして怒鳴りつける。
 勢いに任せて怒鳴ってから何もやましいことなかったわけじゃないと後悔、気まずく黙り込む。少なくとも下半身裸で跨って入れようとしたのは本当なわけで、結果的に入らなかったにしろ過程だけ抜き出せば浮気と言えなくもない。
 表情の変化に敏感なレイジが眼光鋭く俺を睨む。
 「……俺のこと嫌いか」
 「はあ?」
 「やっぱホセのがいいんだろ。悔しいけどペニスの大きさじゃアイツが上だしアイツの方が体力ありそーだし、ホセに滅茶苦茶に抱かれて俺じゃ満足できねーカラダにされて戻ってきたんだろ。ならそう言えよ。俺よりホセのがいいんだろ、好きなんだろ?ホセの第二夫人、スペアワイフになりてーんだろ」 
 「ふざけんな、一夫多妻制反対派なんだよ俺は!俺がほんとに好きなのはっ……」
 「じゃあ何でホセにはできたことが俺にできねーんだよ。愛情の差以外に納得できっか」
 レイジの表情が険悪になる。
 言い逃れは通用しない。俺が一夜の気の迷いでホセに身を委ねたのは事実なのだ。フェラチオも本当にやろうとした、俺がホセのペニス咥えずにすんだのは直前に邪魔が入ったからだ。もしレイジが止めに入らなきゃ俺はあのままペニスをしゃぶっていた。
 レイジが唇の端を捲り上げて嘲笑する。
 「ホセのモンはでかかったか、ケツに入れて満足したか。可愛いお口で一生懸命しゃぶってやったんだろうが、喉の奥まで咥えこんで咽そうになりながらよだれでべちゃべちゃにしてイかせてやったんだろうが。ロンはきっと俺のペニスじゃ物足りねーんだな、ホセのペニスが恋しいんだな。だからお口チャックしてぶんぶん首振って『ダメ、絶対』って拒否ってんだろ?そんなにホセのペニスが恋しいならアイツの愛人になっちま」
 「~~~~畜生わかったよ、やりゃあいいんだろやりゃあ!!お前の言う通りフェラすりゃ満足なんだろ!?」
 ヤケになって吠える。
 ねちねちねちねち嫌味ったらしいレイジに自制心が振り切れた。
 レイジが瞬き一回、食えない笑みを上らせる。
 「できるもんならやってみろ」
 「吹かしてろよ。五分以内にイかしてやるよ」
 不敵に微笑むレイジに中指突きたてる。
 売り言葉に買い言葉は俺の悪い癖だ。レイジが雄雄しくそそりたったペニスを突き出して唇に先端を当てる。
 固く目を閉じて心の準備を整え、口を開く。
 すかさず唇の隙間に先端が割り込んで前歯に当たる。
 猛烈な吐き気と戦いつつ、さんざん躊躇した末に噛み合わせを緩めてペニスを含む。
 「!あぅぐ…………、」
 拒絶反応が起きた。
 胃袋がぎゅっと縮こまり喉元に苦い胃液が込み上げる。
 口腔に溜まった唾がペニスに絡み付きぐちゃぐちゃと卑猥な音をたてる。割り箸に水飴を絡めてくみたいだ。気持ち悪い。何とも表現しがたい生臭い味がする。仄かに塩辛い汗の味とほろ苦い上澄みの味が唾と一緒くたに口腔で溶け合う。
 「ん、ふ、ううぅぐ」
 俺はただ必死にペニスを頬張る。
 レイジのペニスは大きすぎて三分の一しか口に入らない。生理的嫌悪が膨れ上がり嘔吐の衝動が激しくなるもきつく目を閉じ行為に没入ひたすら耐える、耐え続ける。
 「飴でもしゃぶってんのか」
 涙の膜が張った目をうっすら開く。
 レイジが顔前に立ち塞がる。根元に手を添えてペニスの俺の口腔に導き入れて、腰を前後に揺さぶって快感を高めている。レイジには笑みを見せる余裕さえある、俺の舌遣いが飴しゃぶりみたいだと皮肉って性格の悪さを見せ付ける。
 負けてられっか。
 胃袋を締め上げる不快感を圧して対抗心が燃え上がる。
 懸命に舌を動かしペニスに這わすその傍ら、ペニスの根元に手を添えてゆっくりとしごく。 
 「んっ………」
 レイジがほんのかすかに良さそうな顔をする。
 そうか、フェラチオの時は手と舌を一緒に動かすのか。
 そういえばお袋も口を窄めて膨らませる呼吸に合わせて忙しく手を使っていた。記憶の中のお袋を真似て、緩急付けて手を動かす。竿を両手のひらで包み込み、体液を刷り込むように丁寧に摩擦する。
 だんだん要領が掴めてきた。吐き気も次第におさまってきた。
 俺はただ口一杯にペニスを突っ込まれてじゃぶじゃぶ抜き差しされる苦しさに喘ぐばかりで、一秒でも早くレイジをイかせてラクになりたいとそればっかりで雑念に囚われる余裕がなかったのだ。
 「………初めての割にゃ結構上手いな。やっぱホセとヤってたんじゃねーか」
 「ちが、うよ。お袋とお前手本にしてんだよ……」
 男の名誉にかけて反論すれば、納得したんだか疑ってるんだかどっちとも付かない憎らしい表情でレイジが笑い飛ばす。
 それからすぐ「集中しろよ」と俺の前髪を掴んで乱暴に揺する。口の中でペニスが膨張する。レイジの息が少し上がり始め目尻が色っぽく上気する。
 「気持ちいいか?」
 片手でペニスを支え、フェラチオの合間に聞く。
 「………手抜きすんなよ」
 「不覚にも俺の舌遣いで感じちまって悔しいんだろ」
 レイジが不快げに押し黙る。その顔は図星。
 なんだか愉快になってきた。奉仕を強制されてると思うからむかっ腹立つわけで、考えようによっちゃ俺がレイジを追い上げてるのだ。
 レイジの首が仰け反り、撓る。
 助けを請うように悩ましい表情。 
 「……………!んっ、」
 下半身がずくんと脈打ち、熱いうねりが生じる。
 気持ち良さそうなレイジを上目遣いに見てるうちに勃っちまった。
 「もっと音たてろ。喉の奥まで咥え込んでぐちゃぐちゃしゃぶれ。子猫みてーに舐めてるだけじゃいつまでたっても終わんねーぞ」
 「んは、ふくぅっ………あぐぅ」
 俺の顎はヨダレでべとべとだ。顎が外れんばかりに大口開けて一回り膨張したペニスを咥え込む、亀頭の割れ目にちろちろ舌先を踊らせる。唾液に濡れそぼった竿を緩急付けて手のひらでしごく。そろそろ息がもたない、酸欠で頭がくらくらする。
 疲労に霞む目を凝らしてレイジを仰ぐ。
 「イきたいか?」
 扇情的な姿態を見せるレイジに意地悪く質問する。
 「イくもんか」
 レイジが無理を強いて笑う。我慢比べ。俺が酸欠で音を上げるのが先か顎が外れるのが先か、王様がイくのが先かの持久戦。
 不敵な受け答えに反感がもたげて前にも増して激しくペニスにむしゃぶりつく、ミルクを搾り取ろうと夢中で舌を絡めて吸引する。唾液を捏ねる音が淫猥に響く。レイジの膝が萎えて崩れ落ちそうになる。
 「っは、ロン、ちょっ待っ……腹ぺこ猫みてーにがっつくなよ……」
 待つもんか。息も絶え絶えの制止を振り切りラストスパートに入る。あんぐりと口を開け唾液に塗れたペニスを頬張る、竿に手を添えて律動的に出し入れする。それが絶妙な刺激となってペニスがまた膨らんで不規則に痙攣し、そしてー……
 「!?んぐぅう、ん!」
 慌てて出そうとしたが、遅い。
 先端の孔から放たれた白濁がまともに顔にかかる。口ん中にも少し入った。青臭く生臭い匂いがあたりに立ち込める。独特な精液の匂い。
 顔を濡らした白濁を手の甲で拭き取り呼吸を整えて、ベッドで粗相した王様を不敵に見上げる。
 「………ほら見ろ、俺の勝ちだ。思い知ったか、自信過剰の王様め」
 挑発的に中指立てる。俺の顔に精液ぶちまけたレイジが悔しげに歯軋り。
 「………制限時間オーバーだ」
 「五分でも六分でも大した違いねーだろ、往生際悪いヤツだな。自分が負けたって素直に認めろよ。『ごめんなさい、参りました』はどうした?俺にイかされてぶさまを晒した手前土下座するのが礼儀じゃねーか?さんざんホセとの浮気疑って言いたい放題ケチつけやがった癖になんもなしで済ますつもりかよ、調子いいな」
 「この野郎……」
 レイジの目つきが凶暴さを孕む。
 喉の奥で威嚇の唸りを発するレイジ、その表情から瞬時に怒りが消し飛ぶ。急すぎる表情の変化に当惑、目を瞬く俺の方にレイジがずいと寄ってくる。ベッドに手足を付いてにじり寄ってくるレイジ、その迫力に圧されてあとじさる。
 「図星さされて怒ったのかよ?なんだよ、本当のことじゃねーか。俺はホセに抱かれてもねーしフェラしてもねーのにそっちがさんざんケチつけたんじゃねえか、あげくフェラまでさせられてザーメンに顔にぶっかけられて気分最低だ。責任とって土下座……」
 声が尻すぼみに萎える。
 後退を続ける背中がベッドパイプに衝突、鈍い衝撃を感じる。レイジが俺にのしかかりおもむろに手を伸ばす。
 ぶたれる。そう錯覚して目を閉じるが、予期した衝撃がいつまでたっても訪れず、おそるおそる目を開く。
 褐色の手が頬を包んでいる。
 「………悪ィ。怪我させちまって」
 「怪我?」
 レイジの一言で頬の擦り傷に思い至る。
 ついさっきサーシャに切り裂かれた痕。頬の薄皮を切り裂かれただけで大事には及ばない、唾つけときゃ治る掠り傷だ。フェラ強制した時の傲慢な表情から一転、薄く血を滲ませた頬を慰撫する手つきは限りなく優しい。
 「………大した怪我じゃねえよ。ほうっときゃ治る。もう殆ど痛くねえし」
 「ちょっとは痛いだろ」
 「うざってえなあ。こんな掠り傷ぐじぐじ気にすんなよ、それにまあ痕残ったって俺ならどうってことねーよ。お前くらい綺麗な顔してたらもったいねーかもしれねえけど俺なら返ってハクがつく、凱の子分どもに馬鹿にされることもなくなるし頬傷さまさまだ」
 レイジの疑念を吹き飛ばすようにできるだけ軽い口調で冗談を飛ばす。レイジは無言で俺の頬をなでている。
 辛気くさい雰囲気に嫌気がさす。
 俺が怪我したのはレイジの責任じゃない、勝手に殺し合いにとびこんでった俺自身のせいだ。
 展望台で活入れたのにコイツ全然変わってないじゃんかと内心辟易、改めて説教しようと顔を上げる。
 「レ、」
 レイジが俺の顔を手挟み、ぐいと正面を向かせる。
 まともに目を覗き込まれる。心臓が強く鼓動を打つ。
 頬を包む手の温かさが心地よい。
 レイジの唇がそっと頬に触れ、舌が傷口をなぞる。
 頬に走った傷跡を上から下へ丹念に舐め上げて、最後に舌先を巻き上げて血の玉をすくいとる。
 白濁した精液と赤い血が混ざり合い、舌の上で薄赤く滲む。
 「やめろよ、くすぐってえ……」
 じれったく身をよじる。
 レイジはやめない。
 俺の顔をしっかり手挟んだまま、母猫が子猫の毛づくろいをするように顔じゅう余さず舐める。子猫の目脂を掃除するみたいに瞼に貼り付く粘着物を舐め取り軽やかに睫毛をついばみ、涙袋の膨らみに舌を這わし、頬に散った白濁を一滴残さず啜り上げる。
 くすぐったい。
 レイジに促されるがまま顔を傾げて後始末に付き合えば、不穏な呟きが落ちる。
 「………誰にも渡すもんか」
 顔の白濁を綺麗に舐め取り、レイジが囁く。
 「ホセにも誰にも渡すもんか。お前にフェラさせていいのは世界に一人俺だけだ、お前を抱いていいのは世界に一人俺だけだ。お前と一緒にいるためなら手段を選ばない、変態所長に鞭打たれ束縛されてもお前と離れ離れになるよか遥かにマシだ、お前を失って独りぼっちで生きてくよかずっとマシだ」
 その声があんまり切羽詰ってて不安になる。
 ぎこちなく背中に手を回しレイジを抱擁する。
 レイジを落ち着かせようと一心に背中をさする間も独白は続く。
 「俺は痛みには慣れてるからサーシャに片目抉られても所長に鞭打たれても大した事ねえやって笑い飛ばせる、けどお前がいなくなったら笑えない、絶対笑えない。だから殺せない。所長を殺したらまず間違いなくお前と引き離される、おしまいになる」
 レイジが俺を抱きしめる。呆然とベッドに座り込んだ俺は、悄然とうなだれたレイジの耳元で断言。
 「おしまいになんか、させねーよ」
 おしまいになんかさせるもんか。
 力強くレイジを抱きしめる、今この瞬間だけは世界中の誰にもコイツを傷つけさせないと決意を込めて。
 所長からサーシャから世界中の敵からコイツを守る、不可能でも守る。身も心も守るのが不可能ならせめて心だけは守り抜く。
 レイジの心を守れるのは世界にひとり俺しかいない。
 「…………サンキュ」
 レイジが体重をかけて凭れかかってくる。正直、重い。いつまで甘えてんだ、いい加減離れろと突き飛ばそうとした……
 瞬間。
 「そんじゃ続きすっか」
 「!?」
 こめかみを冷や汗が流れる。
 視界が反転、押し倒された背中がベッドで跳ねる。 
 「ホセに聞いたぜ。『ホセとは何もなかった』なんてよっく言うぜ、下半身裸でホセの膝に跨っていやらしく腰振ったくせに。ホセが背面座位なら俺は対面座位だ、お前が泣こうが喚こうが膝に抱っこして下から貫いてやるよ」
 「泣き落としで騙すなんざ卑怯だぞ、おもわずほだされちまったじゃねーか!!」
 「対面座位の前に正常位のおさらいだ、ベッドでも戦場でも基本を踏まえるのが肝心肝心っと。こちとら一週間お預け食らって溜まってんだよ、満腹になるまで付き合えよ。展望台で乳繰り合い見せ付けられて一週間むらむらしてたんだ、俺を欲情させた責任とれ」
 「お前が勝手にさかってるんだろうが、万年発情期のけだものめ!」
 手足をばたつかせる俺をやすやす押さえ込み、上着の裾をはだけて手を入れる。
 こうなったらもうおしまいだ、絶対的な体格差はいかんともしがたい。俺にはまだまだ聞きたいことがたくさんある。一週間ものあいだホセと何話してたのか何してたのか、ホセの依頼を蹴って本当にいいのか……でも結局それらを問いただす前にレイジに口付けされて頭がぼうっとして全部うやむやになる。
 ああまた流されてるなと忸怩たるものを感じつつも体の表裏をまさぐる手や唇がもたらす熱が思考を塞き止めて理性を散らして、もっと気持ちよくなりたいと浅ましく快楽を求めだして
 「愛してるぜ、ロン。だれを抱くときより抱かれるときよりお前を抱くときが最高だ」 
 欲望に火が付いたレイジが、噛み付くようなキスをした。  

少年プリズン(未完) | コメント(-) | 20050511165519 | 編集
ブログ内検索
     © 2017 ロールシャッハテストB  Designed by 意地天
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。