ロールシャッハテストB

まさみの18禁オリジナルBL小説ブログ。

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三十一話

 試合直前。
 リング周辺には黒山の人だかりができていた。てっぺんの照明に晧晧と照り輝く金属の檻の外側、今か今かと固唾を飲んでゴングが鳴り響くのを待ちうける囚人たちの中に見知った顔をさがす。
 鍵屋崎はいない。
 もうすぐサムライの出番だってのにどこ行ったんだアイツ、トイレだろうかと勘繰りながら周囲を見渡せばお呼びじゃないやつが目にとびこんできた。
 子分を引き連れて今しも大股にのし歩いてきたのは東棟最大の中国系派閥のボス、別名裸の王様こと凱。やばい、目が合えばまた因縁をつけられると伏し目がちにちらちら視線を送れば耳障りながなり声が聞こえてくる。俺の視線の先、リング最前列で場所取りをしていたパシリを労いもせずに押しのけて特等席に陣取った凱が周囲に仲間を侍らせて高笑いしていた。何か嬉しいことでもあったのだろうか、すこぶるご機嫌な様子ででかい腹を反り返らせ破れ鐘の哄笑をあげている。
 今日の試合には凱とその子分も出場する。
 最前列の特等席にいる、ということは凱の出番はまだ先なんだろうが対岸の入り口には既に対戦ペアが控えている。たしかヤンとかいうありがちな名前の凱の子分で、金網によりかかってヤンと雑談してるのはロンチウとかいう囚人だ。
 凱の傘下の囚人は三百人弱、全員の名前と顔が一致するわけでもなけりゃよっぽど腕がたつか凱に目をかけられてるんじゃなきゃ記憶にだって残らないがヤンとロンチウはこの条件をクリアしてる。凱の派閥じゃ幹部に列せられる実力者で、厳然とした序列に支配された食堂じゃ二つ三つ挟んで凱に近い席に座ってる。凱を上座に実力順に着席を強いられる食堂でボスの最寄り席に座るのを許されるとはつまりそういうことなのだ。
 あいつらが先陣を切るのか。
 漠然と不安になり、対岸からこちら側へと目を転じる。既にサムライは入り口脇に控えていた。捻挫も完治して包帯もとれ体調万全、全身に精気を漲らせた今のサムライなら相手が凱の子分でも負けるわけがない……と思いたいが、実際はどうだかわからない。
 それもこれもどっかのレイジがつまんねえ意地張って事態をこじらせてるからだ。

 ため息まじりについさっきの出来事を回想する。

 鍵屋崎にぶん殴られて床に尻餅ついたレイジは、遠ざかる二人の姿を見送りながらしきりに喚いていた。負け犬の遠吠えと呼ぶにふさわしい光景で、傍から見ててもかなり格好悪かった。
 「おいっ、ひとの話無視すんなよそこのサムライとメガネ!なかよしでお互い庇い合うのは結構だけど俺にキレるのはお門違いだろ、今言ったことは全部真実なんだから……サムライの様子見りゃわかるだろ?なにをいつまでも過去の女にこだわってんだよ、俺たちふたりがペア組んだのはキーストアとロン助けるためでお前の思い出の中にしかいない女への罪滅ぼしじゃねえっつの!死んだ人間と今生きてる人間どっちが大事なんだよ、ったく……」
 大声で悪態をぶちまけても返事はない。サムライと鍵屋崎は既に立ち去ってしまって通路には俺とレイジだけが取り残された。レイジの頬は痛そうに腫れていた。虫も殺せないツラした鍵屋崎がこの半年でレイジの顔面にキメられるまで逞しくなったのか、たいした成長ぶりだなとあきれ半分感心半分薄暗い通路に突っ立てたら、床に尻餅ついたレイジが大袈裟にかぶりを振って嘆く。
 「―わからず屋の頑固者が。いいさ、一生むかしの女に縛られてろ。サムライの剣だって死人への未練は断てねえだろ、いつまでたっても死んだ女の代わりにしかなれねんじゃキーストアも可哀想だな」
 こいつはいつまでたってもこうだ。
 鍵屋崎だってこの半年で多少は成長したのにこいつは出会った時からこんなかんじでさっぱり成長しない。俺にだけは気を許してるとか心を開いてるとか思いあがってたわけじゃないが、少なくとも他の誰よりもレイジの近くにいる自負が俺にはあったのに今じゃそれも怪しい。なんでこんな強情なんだよレイジは?おまけにサムライを挑発して侮辱する発言をして平気で笑ってて、しまいには鍵屋崎に殴られても反省の色なんかかけらもなくて。
 頬に手をやって廊下にへたりこんだレイジを見下ろし、自分でもびっくりするほど冷たい声をだす。
 「レイジ」
 俺の声に反応し、レイジがゆるやかにこちらを向く。緩慢に顔を上げたレイジを見下ろし、今の正直な気持ちを率直に伝える。
 「俺、今のおまえには抱かれたくねえよ」
 その瞬間、レイジが何とも言えない表情をした。
 裏切られた、傷ついた、見捨てられた―そのどれでもあってどれでもない感情、いや、そのすべての感情が複雑に入り混じった子供っぽい怒りの表情とでもいえばいいか。ふくれっ面のレイジが立ちあがりしな壁を蹴りつける。どこからどう見てもガキっぽい八つ当たりだ。
 「いいよいいよ、どうせ俺が悪者なんだろ?俺が全部悪いんだろ。はいはい反省しますよ反省したふりしますよ、それでお前は満足なんだろ。畜生いっつもこれだ、サムライはいっつも正しくて俺は憎まれ役で……そりゃ死んだ女悪く言ったのは口がすぎたけど言ってることは間違ってないだろ。なのになんでそんな目で見んだよ、ロン!!」
 癇癪を起こしたレイジが怒りの矛先を俺に転じて怒鳴り散らす。んなこと言われても、今自分がどんな顔してるかなんて鏡がなけりゃわかるはずない。苛立ち紛れに壁を蹴り付けていたレイジが肩を怒らせて俺の横を素通りする。まんまふてくされたガキだ。
 俺とすれちがいざま首から下げた十字架の鎖が浮き、蛍光灯を反射して鈍く光った。

 それがつい十分前の出来事で、今は試合開始直前だ。もうすぐゴングが鳴り響いて先鋒のサムライがリングに上がることになる。だがレイジは金網に凭れ掛かったまま、へたな鼻歌を奏でてペーパーバッグの本を読んでてさっきから顔を上げようともしない。
 サムライはおろか、俺の顔も見たくないと宣言した態度にはらわた煮えくり返る。おまえ精神年齢いくつだよと襟首掴んで問いただしくもなるが、最大限の自制心を発揮してわきわきと指を開閉するにとどめる。試合会場に本を持ち込み、緊張感を高める相棒など意に介さずに読書に耽るというひとをおちょくった態度にもサムライは腹を立てず、また表情を変えようともしない。
 レイジがなにしようがどうぞご自由に、俺は俺でやらせてもらうという慇懃無礼さで綺麗に無視してリングを見つめている。レイジは本に熱中するふりで完全に傍観者に徹してるし、サムライはサムライで絶体絶命の窮地に陥ろうがレイジを頼る気なんかこれっぽっちもないしもうお手上げの状態だ。
 「~くそっ、もう勝手にしやがれ!」
 だいたいなんで俺がレイジとサムライに挟まれてまごつかなきゃいけない?馬鹿みたいだ。喧嘩の仲裁役なんて土台俺には向いてないのだ、事実ふたりの仲を取り持とうとして裏目にでたじゃないか。レイジにもサムライにも愛想が尽きて何度目かわからないため息をつき、ひっかかりをおぼえる。
 急いで顔を上げ、サムライの後ろ姿を観察する。なにか変だ、違和感が拭えない。いつものサムライと何か決定的な違いがある。サムライの後ろ姿に目を凝らし、やっと違和感の正体を突きとめる。
 「おいサムライ、木刀はどこ行ったんだ?」
 もうすぐ試合が始まるというのにサムライは素手だった。いつも片脇にさげてる木刀はどこ行ったんだろうと不審がりつつ声をかければ、そっけない答えが返ってくる。
 「鍵屋崎に預けた」
 「で、その鍵屋崎はどこだよ?」
 「先刻から姿が見えない」
 「ちょっと待て、それ落ち着いてていいのか」
 木刀を預かったまま鍵屋崎が行方をくらましたなんて一大事じゃないか。
 あのバカ眼鏡、よりにもよってこんな大事なときにどこ行っちまったんだ?あと五分、いや二三分で試合が始まっちまうってのに……もし鍵屋崎が帰って来るのが間に合わなけりゃサムライは素手でリングに上るしかない、徒手空拳の無防備な状態を敵前に晒して独り戦わなきゃならない。レイジの助力を仰げない状況下で刀を持たずに戦うことになればサムライが苦戦を強いられるのは目に見えてる。
 「さがしてくる!」
 第一候補はトイレだ。こないだホセを案内したからトイレの場所は知ってる、鍵屋崎はあれで方向音痴なところがあるから単純な道で迷ってるのかもしれない。それともひょっとして、どっかで眼鏡を落として探すのに手間取ってるのだろうか。まったく世話が焼ける、レイジの尻拭いだけでこちとらてんてこまいだってのに!
 鍵屋崎をさがしに一散に走り出そうとした刹那、眼前を巨大な影が塞ぐ。
 気弱なやつならひと睨みでちびりそうな凶悪な人相の男が肩をそびやかせて歩を詰めてくる。行く手に立ち塞がったのは取り巻き連中を周囲に侍らした凱。腰に手を置いて仁王立ちした尊大なポーズが堂に入ってるのは巌のような巨体から放たれる威圧感ゆえか。岩石を力任せに鑿で彫りつけたような太く厳つい造作の顔を下劣な笑みを湛えた凱が、俺の横で立ち止まり、耳元でささやく。
 「どこ行く気だよ半半。おともだちのサムライを応援してやんなくていいのか」
 「―俺がいなくてもサムライは勝つよ。お前らなんか目じゃねえ」
 凱にかまってる暇はない、一刻も早く鍵屋崎を見つけ出して木刀を取り返すのが先決だ。そう判断して駆け出しかけたそばから凱の取り巻き連中に囲まれ中央に追い詰められる。
 「邪魔すんなよ、用があんだよ!!」
 「小便か?じゃあここでしろよ」
 「俺はどこかの中国人と違って人前で小便たれて平気な野良犬並の神経の持ち主じゃないんでね」
 皮肉げな笑みとともに言い返せば俺を包囲した連中が「なんだと!?」と気色ばむ。逆上し、一斉に殴りかかってこようとした連中を「まあまあ」と宥めたのは意外にも凱本人だった。短気な子分の手綱を引いてしずかにさせた凱が、ゆったりと余裕ありげな物腰で腕を組む。
 「まあそんなカリカリすんなよ。じきに試合が始まる、俺たちと一緒に試合見物といこうじゃねえか」
 「気味わりぃ、どういう風の吹き回しだよ。嫌われ者の半半を仲間に混ぜてくれるのは有難いけど生憎おまえらと同じ空気吸うと拒絶反応でるもんでね、慎んで辞退させてもらうよ」
 せいぜい鍵屋崎を真似て嫌味っぽい言いまわしをしてやれば、優位を誇示する如く腕組みしていた凱の眉間に不快げな皺が寄る。勝った。心の中で舌を出し、回れ右した背中に浴びせ掛けられたのは濁声の嘲笑。反射的に振りかえれば、リングの照明を浴びた凱が勝ち誇ったように哄笑をあげていた。
 「お仲間といえば、お前とおなじ嫌われ者の親殺しの姿が見当たらねえじゃんか。同房のサムライがこれから試合に挑むってのに薄情なやつだよなあ、大事な木刀持って消えちまうなんてよ」
 「待てよ、なんで鍵屋崎が木刀持ってるって知ってんだ?」
 おかしい、胸騒ぎがする。
 体の脇で拳を握り締めて凱に詰め寄る。リングを背後に仁王立ちした凱が周囲の仲間に意味ありげな目配せをし、凱の目配せの意味を汲み取った取り巻き連中が陰険な忍び笑いを漏らす。互いに肩を小突き合い吐息で耳朶をくすぐるように囁き合い、包囲網の中央で何も知らずに見世物にされた俺を笑ってる。優越感をこめた笑い声が波紋が広がるように周囲に行き渡り、てのひらがじっとり汗ばんでゆく。
 鍵屋崎が木刀を持って行方をくらましたことを凱が知ってるのは何故だ?
 わざわざそれを知らせにきたのは?
 ―馬鹿か俺は。そんなの決まってる、結論はひとつしかない。
 「……鍵屋崎になにをした?」
 何故もっと早く気付かなかったんだ、三日前も図書館の帰り道に脅迫されたのに。サムライとレイジのペアに勝利するためなら凱はなんでもやる、どんな汚い手も卑劣な罠も辞さない覚悟なのだ。そんな連中が考えることと言ったら決まってる。サムライに手を出したら返り討ちに遭う、しかし鍵屋崎ならどうだ、喧嘩はからっきしで口ばかり達者な自称天才がなにかの理由で一時的に木刀を預かったとして肝心の木刀ごと鍵屋崎をどうにかしちまえば……
 「試合が終わるまでちょっくら大人しくしててもらおうと思ってな」
 凱は悪びれたふうもなく肩を竦めた。
 「おっと、そんな怖い顔するなよ。スタンガンで気絶させただけで殺しちゃいねえよ、楽しみは後にとっとくべきだろ?」
 「なんでわざわざ俺に言う?」
 「『賭け』だよ」
 凱の魂胆がわかった、凱が提案した試合の余興の「賭け」とやらのくそったれた内容も。完全に俺を舐め腐った凱が口臭くさい至近距離に顔を突き出してきて、俺はタジマの口の匂いを思い出す。
 やにくさい口臭に気分を悪くしながら、こめかみの血管がはちきれそうな怒りをこめて凱を睨み付ける。
 金属の檻に設置された照明の下、逆光の陰影に隈取られた凱の顔には狂喜の笑みが広がっていた。
 「試合が終わるまえに鍵屋崎見つけて木刀取り返せばお前の勝ち、お前が帰って来るまえにサムライが負ければ俺の勝ち。ひとつヒントをやるが、鍵屋崎はこの地下停留場のどこかにいるぜ。通路一本一本も含めて、な。なあ楽しいだろ、サムライが勝つも負けるもお前の頑張り次第なんだぜ。応援席にぼけっと突っ立ってるだけじゃ半半も親殺しも退屈だろうから目新しい趣向を考えてやったんだ」
 「!!―っ、」
 頭に血が上った。
 凱のにやけ面めがけて拳を叩きこもうとして、逆に軽々と薙ぎ飛ばされる。床に手をついてひっくりかえった情けない姿勢で頭上を仰げば、俺を取り囲んだ連中がさも可笑しげに大口あけて笑っていた。
 「凱さんに盾突こうなんて百年早いぜ」
 「雑種のくせに生意気だ」
 「なんだよ今のパンチは、死にかけの蚊でもつかまえようとしてたのか」
 四面楚歌で尻餅つき、屈辱に歯噛みした俺の頭上に巨大な影が覆い被さる。腕の一振りで俺を薙ぎ飛ばした凱が、こちらの騒ぎが聞こえない距離で本を読んでるレイジにちらりと一瞥くれる。
 「さあ、いつもみたいにレイジに泣きついて助けてもらえよ」
 本に集中してるせいか人ごみのざわめきが邪魔なせいか、凱とその子分に取り囲まれてぶざまに尻餅ついた俺の姿はさっぱり視界に入ってないらしい。俺の方なんか見向きもしないレイジの横顔と凱のにやにや笑いとを見比べ、すっと立ちあがる。
 「……レイジに泣きつくなんて冗談じゃねえ。あいつの手なんか借りなくても必ず鍵屋崎を見つけ出す」
 このまま舐められっぱなしですごすご引き下がれるか。
 第一レイジには後半の試合が控えてる、余計なことを耳に入れて煩わせたくない。巻きこみたくない。
 いや、それ以上に。
 凱が俺に直接鍵屋崎を拉致したと告げたのは、俺の性格をとことん知り抜いた上で俺を舐めきってるからだ。すでにレイジを巻き込んだ俺がこれ以上あいつに迷惑をかけたくないと、意地でもあいつの手は借りるかと心に決めて単身賭けに乗ると踏んだからだ。どのみち俺ひとりじゃどうしようもないと、拉致の真相を告げても何もできないし脅威にならない、せいぜい鍵屋崎をさがしてあちこち駆けずり回るしかない俺を笑い者にしてやろうと高を括ってるからだ。

 ―なめやがって。
  
 「……その喧嘩買ってやる」
 仕返しが怖いとか凱には腕力じゃかなわないとか、そんな冷静な判断は綺麗さっぱり頭から吹っ飛んでた。もう限界だ、東京プリズンにきてから一年半ずっと何されても我慢してきたがもうやめだ、打ち止めだ。こんな性根の腐った連中に怯えて逃げ回るのはもうやめだ。
 相手が凱だろうが誰だろうが何人でこようが逃げずに渡り合ってやろうじゃんか。
 最後にレイジを見て、こっちに気付いてないことを確認する。臨界点を突破した怒りが炎となって血管中を駆け巡り目の前が赤く染まる。熱く火照り始めたてのひらを固く固く握り締め、呟く。
 「凱。ひとつ言っていいか」
 「なんだよ」 
 不遜に聞き返した凱の顔にはまだ人をおちょくった笑みが浮かんでた。今日までの一年と半年、凱を殴りたくて殴りたくてうずうずしていた拳を力一杯握り締めれば顔の筋肉が痙攣して自然と笑みを形作る。
 中国人の見栄になによりこだわる凱を逆上させるのは簡単だ。
 中国人なら絶対に我慢できない一言、笑顔で聞き逃すことが絶対不可能な一言を言えばいい。
 そうして俺は腹の底で暴れ回る怒りをおさえこむように深呼吸し、この一年半、凱とその子分に目の敵にされて何度となく痛い目遭わされた鬱憤を晴らさんと声を限りに叫ぶ。

 『祝福台湾的未来一片光明!』

 凱の表情が豹変し、それまで馬鹿みたいに笑ってた連中の顔が固く強張る。怒りに顔を充血させた凱の子分どもが口々に怒号を発しとびかかってくるのを頭を低めてかわし前傾姿勢で疾走、体当たりで包囲網を突破。
 俺はべつに台湾の未来なんかどうでもいいが、台湾との戦争で身内を亡くしてる凱たちにとっちゃどうでもよくないはずだ。
 実際、俺が「台湾の未来に幸あれ!」と叫んだ時の凱の顔ときたら傑作だった。
 背後に迫り来る手という手から加速して逃れる俺の背後で高らかにゴングが鳴り響く。試合開幕の合図だ。前へ前へと殺到する観客とは逆方向に人ごみを掻き分けながらひたすら突き進む最中、ひりつくような焦燥感に駆り立てられて強く強く念じる。
 
 俺が帰って来るまで負けんな、サムライ。
 レイジはこの際どうでもいい。


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