ロールシャッハテストB

まさみの18禁オリジナルBL小説ブログ。

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一話

 巨大な廃工場。
 ひと昔前に閉鎖された廃工場の一階には埃を被った圧搾機が放置され、鉄骨の梁が幾何学的に交差した天井からは大振りのチェーンがたれていた。天井の近く、壁の高い位置に穿たれた窓は板で目張りされてるせいで昼でも全体に薄暗く、埃臭く陰湿な空気がよどんでいる。
 仄暗い空間を照らすのは板の隙間から射しこむわずかな明かり。
 二階まで吹き抜けの天井は開放的に高く、鉄骨に反響して音がよく響くように設計されている。労働者で賑わっていたひと昔前ならさぞ圧搾機の稼働音がうるさかっただろうと予想されるが操業停止して人々から忘れ去られた今では物音をたてる原因とて見当たらない。
 間断なく轟音の唸りをあげて大気を震わせていたのだろう機械が完全に沈黙した廃墟の仄暗がりは不可侵の静寂に支配されている。
 天井の高い位置に穿たれた窓。目張りされた板の隙間から仄かに射しこむ一条の光に薄く埃が舞う中、静寂に溶けこむように工場の真ん中に佇んでいたのは一人の少年。
 肉の薄い瞼を閉ざした双眸は長く優雅な睫毛で縁取られ、ノーブルに筋が通った鼻梁はさながら生ける彫刻のよう。そろそろ少年期を脱しようという鋭い輪郭の中、形よく尖った顎からよく締まった首筋にかけてのラインが扇情的なまでに美しい。色褪せたTシャツと傷んだジーパンというみすぼらしい格好をしていても贅なく引き締まった四肢のしなやかさは十分に人目を引く。
 まるで豹のようだ。
 少年を見た誰もが口をそろえてそう言う。まるで豹のようだ、と。実際少年にはそう評価されるに相応しい敏捷性と獰猛さが備わっていたが、それよりはむしろ外見に起因した第一印象だろう。うなじにかかるくらいに伸びた髪は東南アジア圏の人間には珍しい明るい茶髪で、日の光を吸った藁のように柔和な色合いを見せている。彫りの深い顔だちはまだ若干のあどけなさを残しているもののおそろしく整っており、甘さと野性味が黄金率で溶け合った容姿から放たれるオーラには野生動物のフェロモンすら匂い立つ。
 人よりは獣に近い。
 廃工場の中央、瞑想するかの如く瞼を下ろして黙していた少年がゆっくりと目を開ける。
 肉の薄い瞼が緩慢に持ち上がり、現れたのは闇を射抜く眼光を放つ切れ長の眦。完璧な造作の双眸に嵌めこまれているのは精巧なガラス玉めいて色素の薄い茶色の瞳。人工物をおもわせる硬質さの瞳に宿る眼光はどこか狂気を孕み、目にした者を不安にさせた。肌の色は東南アジア圏特有の褐色、にもかかわらず髪と目は茶色。絹のような褐色肌に癖のない黒髪、という外見的特徴の東南アジア系黄色人種には珍しい髪と瞳の色を有しているのは西洋人との混血だからに他ならない。
 そしてそれこそが、彼が異端視される由縁だ。
 まどろみから覚めたように目を開け、つられたように視線を上げた先には茶褐色の空き瓶が横一列に並んでいた。約10メートルの距離がある。目測でおよその距離を割り出した少年は重さを確かめるように右五指を開閉、すっかり体温が馴染んだ銃のグリップを握り直す。 右手で銃のグリップを握り、左手でしっかりと銃底を支えて固定。発砲時に銃弾がブレないように注意しながら摺り足で足を開く。
 10メートル先に並んだ空き瓶の数は二十本。弾倉を交換する手間を考慮しても三十秒、いや二十秒以内には蹴りをつけたい。
 右手は黒光りするグリップを握り締めたまま、左手でシャツの首元をまさぐり内側の金鎖を手繰り寄せる。射撃訓練前には欠かすことができないまじないめいた儀式。左手に絡めた金鎖の先端、金色に輝く十字架に軽くキスをする。
 祈る神様を持たない人間でも、誰かに祈りたくなるときはある。
 こんな風に。
 『終わりの日には困難な時代がやって来ることをよく承知しておきなさい』
 廃工場の仄暗がりに甘くかすれた声が響く。それが合図だった。
 声変わりの過渡期なのだろうハスキーな声が官能的に大気を震わせるとほぼ同時に乾いた銃声が連続して茶褐色の瓶が木っ端微塵に砕け散る、微塵となったガラスの欠片が宙に舞うも引き金を引き続ける。
 『そのときに人々は自分を愛する者、金を愛する者、大言壮語する者、不遜な者、神をけがす者、両親に従わない者になり』
 引き金を引く指は止まらない。子供のように無邪気に、薄らと笑みさえ浮かべて銃を撃ちながら少年が口ずさんでいるのは聖書の一節。
 『情け知らずの者、和解しない者、そしる者、節制のない者、粗暴な者、善を好まない者になり、裏切る者、向こう見ずな者、慢心する者、神よりも快楽を愛する者になり』
 「そいつは俺だ」と心の中で反駁して人を食った笑みを深めた時も引き金と連動した指は休めない。機械的なまでの正確さと精密さ、銃弾の発射から瓶を撃ち抜くまでコンマ一秒の狂いもなく引き金を引きながら聖書の一節を唱え続ける。
 『見えるところは敬虔であってもその実を否定する者になるからです』
 ここまで十本、全弾命中させることができたのは生まれ持った身体能力の高さと幼少期からの訓練の成果だ。そのことについて特に感慨はないが、血なまぐさい環境に磨かれた人殺しの才能に助けられ、14歳になる今日まで戦場で生きながらえてきたのもまた事実だ。実際彼に備わっていたのは人殺しの才能としか言いようがない危険極まりない性向だった。物心ついたときから身の周りにあるものはなんでも武器にするよう徹底して叩き込まれた。銃がなければナイフ、ナイフがなければフォーク、フォークがなければ缶きり。日常身の周りに溢れてる何の変哲もない日用品や雑貨も彼の手にかかれば容易に人を殺傷できる凶器へと変貌した。
 まだ試したことはないが、本の角で人を殺せる自負があるのは彼くらいものだ。
 『こういう人々を避けなさい。こういう人々の中には家々に入り込み、愚かな女たちをたぶらかしている者がいます。その女たちはさまざまの情欲に引き回されて罪に罪を重ね、いつも学んではいるがいつになっても真理を知ることができない者たちです』
 女だけを責めちゃ可哀相だ、と彼は思う。女をたぶらかすのが男の甲斐性なら、それを承知で男にたぶらかされるのも女の甲斐性だろ?
 『また、こういう人々はちょうどヤンネとヤンブレがモーゼに逆らったように真理に逆らうのです。彼らは知性の腐った信仰の失格者です』
 知性が腐った?上等だ、知性なんかクソ喰らえ。信仰には唾を吐け。それよか短い人生、可愛い女や男と乳繰り合って楽しく生きたほうが何倍も素晴らしい。やり場のない苛立ちを銃弾にこめ、腹の底で燻る反感を叩きつけるように引き金を引けば最後の一本が盛大な破裂音をたてて木っ端微塵に砕け散り、天窓から射しこんだ一条の明かりが宙に散ったガラス片を綺麗に照らした。
 二十本分の瓶の破片が床一面におびただしく散乱した惨状を見渡した少年は、ジーンズの尻ポケットに銃を突っこむや軽くため息をついて手首の懲りを揉み解した。全弾命中した爽快感も慣れてくれば薄れてしまう。コーラの空き瓶を的にして射撃訓練を始めたのは確か七才の時だ。子供の小さな手には発砲時の反動は凄まじく、手首を捻挫しそうな衝撃におもわず銃を取り落とした記憶がある。体が大きくなるとともに骨格が成長した今では連射の反動にもラクに耐えられるようになったが、無理矢理射撃訓練をやらされてた子供の頃はいやでいやでたまらなくてよく訓練をサボって抜け出してきた。しかしサボったはいいが同年代の遊び相手もなし、他にやることもなく暇を持て余して仕方なく聖書を読んだ。彼の母親はフィリピン人のキリスト教徒で、彼が普段肌身離さず身につけてる十字架も母から貰ったものだ。
 彼が人殺しの慰みに口ずさむ聖書の文句は、幼い頃、母親に読み聞かされてるうちに自然と覚えてしまったものだ。
 べつに覚えたくて覚えたわけではないが、子供の頃からしつこく読み聞かされて耳に馴染んでしまった為、これを唱えると妙に落ち着くのは否定できない。
 『バチあたりめ』
 無意識に金鎖を手繰り、掌に乗せた十字架を見下ろしていた彼を我に返したのは男の声。声がした方角に顔を向ければ、汚れた迷彩服を着た男が工場の壁に凭れ、ウォッカの瓶をあおっていた。
 『銃撃ちながら聖書の文句唱えるなよ』
 『仕方ないだろ、癖なんだよ』
 『キリストの怒りにふれるぜ。せめてさ、歌とか唄ったらどうだ』
 年の頃は三十代前半だろうか。何日洗ってないのか、乾いた泥がこびりついて汚れきってはいるが元は明るい金髪なのだろう。お世辞にも美形とは言い難いが、精悍に日焼けした顔だちを一層魅力的に引き立てているのはスコールに洗われた空のようにカラッと晴れた青い目だ。頬が赤く上気してるのは昼間から酒を飲んでいた為らしい。悪く言えば自堕落で人目を気にせず、よく言えば自由奔放で気さく。何者にも縛られず、自分がしたいときにしたいことをするのが唯一にして至上の信念とうそぶいてはばからない男のことを、少年はそんなに嫌いでもなかった。
 壁に凭れかかった男が古い英語の歌を口ずさむ。少年が知らない、男の祖国の歌だ。
 『なんて歌?結構好きかも、それ』
 『レディ・ディことビリー・ホリディの「ストレンジ・フルーツ」』
 低い鼻歌に導かれるように歌詞を真似て唄い出せば、気持ちよく歌を口ずさんでいた男がウォッカに咽る。
 『おま、おまえ音痴だなあ!なんだそれ、本当におなじ歌か。ソウル・ディーバに失礼だろ、謝れよ』
 『ああ?んなことねえよ、ちゃんと唄えてるじゃねえか』
 『耳腐ってんじゃねえか。それとも何か、生まれてくる前に悪魔にリズム感売り渡したのかよ』
 何か言い返そうと口を開きかけた少年が、その指摘にふと押し黙る。
 『―そうかも。悪魔にリズム感売り渡して人殺しの才能買ったんだよ、きっと』
 『射撃上手い奴はリズム感に恵まれてるって言うけどな』
 『迷信だろ』
 悪戯っぽく笑い、男の隣に並んでもたれかかる。
 男と並んで工場内を見渡す。目張りされた板の隙間から射した光が大気中に沈殿した埃をゆっくりかき回している幻想的な光景にそのまましばらく見入る。沈黙を破ったのは隣から聞こえてきたしゃっくりだ。
 『で、今度の標的はだれだ』
 残り少なくなったウォッカをちびちび舐めながらの質問にひょいと肩を竦めてみせる。
 『日本の政府高官』
 『Japan?』
 『Yes.米軍と癒着して裏で武器とかバンバン流してる政界の大物みたいでさ、今度こっちに来るんだって』
 『またなんだって戦争真っ只中のこの時期に』
 『知らねえ。ジブンとこの軍隊の視察が目的じゃないの?日本も米軍に協力して軍隊とか物資とか派遣してるし』
 『日本もなあ、憲法第九条があった頃はよかったんだけどなあ』 
 『なにそれ』
 『平和を愛して戦争を憎む法律』
 『ふーん。いい法律だ』
 『昔話だよ。二十一世紀始まって早々にイラク戦争だなんだゴタゴタあってじきに改正、もとい改悪されちまった。第二次ベトナム戦争はじまると同時にアメリカの尻馬乗ってばんばん軍隊とか物資送りこんできたろ。おかげで東南アジア圏の人間にゃおなじイエローモンキーの裏切り者って憎まれて唾吐きかけられる始末だ』
 『あんたがよく言う二十一世紀前半に道を踏み誤った国のひとつってわけ?』 
 『そういうことだ』
 『……なんかすげー他人事に聞こえんだけど、米軍ドロップアウトしてこっち側に逃げてきたやつが偉そうに言う資格ないよな』
 『しかたねえだろ、ほれた弱味だ。戦場で果たす運命の出会い、銃弾飛び交う死線上のロマンス!しかもだ、ほれた女が反政府ゲリラの一員とあっちゃサム・ペキンパーの映画みたいによくできた話だと思わねえか?さしずめ俺はジェームズ・コバーン』
 『なにひとりで酔ってんだよ、寒いんだよ三十路。誰だよサム・ペキンパーって。マイク・タイソンの知り合い?マイケル・ジョーダンの親戚?』
 『まあそのへんだ』
 そのへんてどのへんだよ、口には出さずに顔に不満を出す。マイケル・ジョーダンもマイク・タイソンも全部この男の口から聞いた名だ。特にこの男はマイケル・ジョーダンに心酔してた、百年以上前に活躍したバスケットプレーヤーの何にそんなに惹き付けられるのかと最初は醒めた気持ちもあったが男の口伝にマイケル・ジョーダンの凄さを聞くにつれどんどんのめりこんでいった。よくよく考えれば見てきたようにマイケルの凄さを話す男も、過去に活躍したスポーツ選手を特集したテレビの映像や雑誌のスクラップでしか本人を知らないはずなのにと気付いて「騙された!」と我が身の不覚を呪ったことも今となっては懐かしい。
 まあ、種を明かしてしまえば男がマイケル・ジョーダンに心酔していたのはファースト・ネームが同じだからという単純な理由だが。
 『どうやって近付くんだ?』
 ふざけた口調で転落の軌跡を物語っていた男がさりげなく話題を変える。何を言われてるのかすぐわかった、どうやって標的に取り入るのかと探りをいれてるのだ。隣のしゃっくりを聞きながら、床一面に散乱した瓶の破片を見下ろしてあくびする。
 『考え中。どうせ俺が考えなくても上の連中が考えてくれるし……ああ、体でたらしこむのもアリか』
 『本気か?その政治家って男だろ?』
 『冗談だよ。そりゃ俺は男でも女でもかまわないけど一応好みがあるんだぜ、万年発情期の犬を見るような軽蔑の目を向けるなよ』
 『……危険じゃねえのか、その仕事』
 『危険に決まってんじゃん』
 「いまさら何言ってんだ」とあきれて振り向けば、ウォッカを飲み干して瓶をからにした男がいつになく辛気くさく黙りこんでいた為、こういうしんみりした雰囲気に免疫がない少年は道化を演じきることに慣れたフリで朗らかに笑う。
 『マジになんなって、ガキの頃からやってきたんだから今回も大丈夫だって!やばくなったらパッと逃げてくるし殺られたりとっ捕まったりしねえから……あ、でもアジト吐かすために拷問されんのはやだなあ。俺好みの美女が足の裏に刷毛でハチミツ塗ってぺろぺろ舐めてくれるくすぐり拷問なら大歓迎なんだけど』
 冗談なのか本気なのか区別がつかない顔で笑う少年に微笑を誘われた男だが、その笑みはどこか哀しげだった。あたたかさとほろ苦さが均等に混じり合う笑みには血の繋がらない息子の行く末を案じる父親の包容力があふれている。
 乾いた笑い声が萎み、少年の顔に終始はりついていた笑みが薄まり、瞳の真剣さが度合いを増す。
 『マイケル。マリアのこと、幸せにしろよ』
 懇願、ではなく命令。
 いつもふざけてる少年がこんな真剣な顔をするのは珍しい。色素の薄い瞳に宿るのは自分が愛した女の幸せを真摯に祈り貫徹する信念だ。口元にはもはや惰性の習性となった笑みを浮かべ、その実、一途な目で訴えかける少年はとても母親から『憎悪』の名を与えられた忌むべき存在とは思えない。そうして男は口を開く、祖国の言葉で『憎悪』と名付けられた少年を安心させるために男くさい笑みを浮かべて。

 『OK,My son』
 まかせとけ、息子よ。

 力強い答えを聞き、少年はホッと笑みを浮かべた。憑かれたように銃を撃っていた時からは想像もできないほどにあどけない、子供っぽい笑顔だった。『No』と言えば撃たれてたかもしれない、と不吉な考えが脳裏をかすめたのは男の口に目を凝らしてる間じゅうジーンズのポケットに手をかけてたのに気付いたからだ。おそらくは無意識の動作だろうが、あの褐色の手が目にもとまらぬ速さで銃を抜き取るところを想像して冷や汗をかいた。 
 銃がなければナイフ、ナイフがなければフォーク、フォークがなければ缶きり、缶きりがなければ本。
 連想ゲームの臨機応変さで身のまわりの品々を武器に変える少年にはなるほど『憎悪』の名が相応しいかもしれない。それでも男は余計な一言を言わずにはいられない、近い将来父親になる身として義理の息子が生まれついた宿命を嘆かずにはいられないのだ。
 『レイジなんて似合わねえ名前だ』
 『そうか?ぴったりだろ』
 慣れた手つきで弾倉を交換しつつ背中で答えて歩き出す。廃墟の床を踏みしめて大股に向かう先には先がギザギザに尖ったコーラの瓶が転がっていた。進行方向の瓶を無造作に蹴りどけ、銃のグリップを握り締めて背中から鉄扉に寄りかかる。背中に体重をかければ錆びた軋り音をあげて鉄扉が開き、網膜を焦がす白熱の奔流が殺到する。
 外の眩しさに目を細め、左手で手庇を作り、その影で右手の銃を掲げる。
 『強姦されて孕んだガキにはさ』
 
 熱帯気候の青空の下、乾いた銃声が轟いた。

 そして、人が死んだ。30メートル先の茂みに潜み、今まさに腰だめに抱えた自動小銃で少年を蜂の巣にしようとしていた米軍の兵士が、右胸を銃弾で撃たれ、もがき苦しむ暇もなく迅速に。破裂した右胸から鮮血を噴出させ、ほぼ即死に近い状態で地面に倒れ伏した兵士の最期を無感動に見届け、シャツの内側から引っ張り出した十字架にキスをする。 
 『終わりに言います。主にあってその大能の力によって強められなさい。悪魔の策略に対して立ち向かうことができるために神のすべての武具を身につけなさい』 
 銃がなければナイフ、ナイフがなければフォーク、フォークがなければ缶きり、缶きりがなければ本。
 たった今人ひとり屠ったばかりだというのに、恍惚の笑みさえ浮かべて呟く少年は確かにその通り、敵の策略に対して立ち向かうためにすべての武具を身につけた稀有なる存在だった。
 生まれ持った才能と素質を環境が研磨したら金剛石より強い光を放ちだすのは知れたこと……即ち無敵。
 開け放たれた鉄扉の外、逆光を背に十字架にキスする少年の姿を見つめ、マイケルはため息まじりに考えた。  
 やっぱりこいつには、Rageの名が相応しいかもしれない。

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少年プリズン(未完) | コメント(-) | 20060114212615 | 編集
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