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リヴィングストン(片岡人生)

リヴィングストン(1) (モーニングKC)リヴィングストン(1) (モーニングKC)
(2010/11/22)
片岡 人生

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「困ったら横領!嫌な事あったら殺人!?行き詰まったら自殺かよ!俺だって仕事じゃなきゃあんたの魂なんか砕いて多摩川のコイの餌にしてやりたいよ!天野くんは仕事でしょうが!できない事投げ出すのは子供の特権なんだよ!魂ないからって社会なめんな、できない事をクリアしたことがないからそんな逃げ腰なんだよ!あんたら頑張るって選択肢が抜けてるんだよ!最低!底辺のヤツらだよ!」

人間の運命の9割は魂によって定められている。現世でその運命を全うした魂は来世へと繋がれ成長を続ける。
だが、なかには予定外に死亡し、運命どおりにいかずに砕け散ってしまう魂もある。それを防いで魂を適切に管理することが、桜井と天野の仕事である。魂が消えゆく危機に瀕するとき、二人は現れる。
モーニング初登場の前川知大&片岡人生がおくる、“魂”とは何かを問う衝撃作!!


人は死んだあと何を残す?
死体は燃えて灰になる。形を残さねばいずれ忘れ去られる。
それでも後に残るもの―不可視の形骸、砕けた魂の痕跡。
この物語は予定外の事故や事件に遭い、魂の寿命をまっとうせず人が死んだ場所に派遣される痕跡―もとい、「魂石」回収業者の話である。
魂石とは故人の残留思念、その人物が生前残した痕跡が結晶化したもの。
死者は記憶によって生かされる。その記憶を記録し回収するものたちがいる。
公務員風のスーツに身を包み、野暮な黒縁眼鏡をかけた青年・桜井と、その相棒で掴み所ないフードパーカー少年・天野。
非常に生真面目で善人、どこまでも誠実に自殺志願者を説得せんとする桜井とは対照的に、「めんどくさいからちゃっちゃとやっちゃいなよ」とけしかける天野。
コミカルな掛け合いとは裏腹に扱われるテーマはシリアスで重い。
基本一話完結の連作シリーズ。
この話に単純な善悪二元論で割り切れる人間は登場しない。
一見善人に見えた人物がグロテスクな本性を隠していたりもする。
桜井と天野にしたところで決して正義のヒーローには成り得ない。
アンチヒーローという形容もそぐわない。
彼らは―否、天野に関して言えば至って淡々と職務を遂行する。
一方の桜井は、魂を回収する為に現世の肉体を「処理」する仕事の是非に悩みながらも、様々な人との係わりを通し、時として必要悪の汚れ仕事も請け負わざる得ない己の歪みと向き合っていく。
 
善悪ではない。
正否でもない。

「僕たちはあなたを救いにきました」と桜井は言う。
「殺しにきたんだよ」と天野は言う。

そのどちらも間違いではない。
借金で首が回らなくなり自殺を図る男、横領が発覚し脅迫されたOL、今まさに死を選ぼうとする彼ら彼女らの前に唐突に現れた二人はされど、「それはあなたが選択した運命ではない」「他者の魂に引きずられた結果の予定外の脱線だ」と告げる。 
とまあ哲学的なテーマも孕んだ話なのですが、なんといっても桜井(表紙向かって右)がいい。
自分の仕事に悩み迷い躓きながら、人との係わりの中でできるだけ後悔の少ない選択肢を選ぼうとする、不器用なまでのひたむきさに共感と好感を抱く。見た目もとてもツボです。
桜井の相棒・天野は仕事のために派遣されてきた魂をもたぬ存在、痛覚をも失っている為人間らしい感情が欠落している。
そんな天野に振り回されつつも甲斐甲斐しく世話を焼く姿は苦労性のおにいちゃんそのものでとても和みます。清涼剤です。
世間知らずで非常識、不謹慎な言動が多い天野と、根っから常識人の桜井の微妙な距離感も見所。




モーニング公式リヴィングストン作品情報

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