ロールシャッハテストB

まさみの18禁オリジナルBL小説ブログ。

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殺戮ゲームの館(土橋真二郎)



 誰かが言った。この二つには共通点があるのではないか。
 一つは時折マスメディアをにぎわす集団自殺のニュース。そしてもう一つは人間が殺し合う娯楽ビデオが存在するという都市伝説。出会いや遊びが目的のオカルトサークルに所属する福永祐樹は、ネットで偶然見つけた自殺サイトに興味を持ち、集団自殺の現場となったというある廃墟にたどり着く。だが祐樹が目覚めた時、彼を含むサークルメンバー11名は密室に閉じ込められていた…。
 戦慄の密室サスペンス。


 謎の建物に閉じ込められた十一人は悪意ある存在によってあるゲームに強制的に参加させられる。
 人を食う魔物が存在する世界。
 殺した人間の皮を被り、村人の中に紛れこんだ魔物によって夜を越すごと食われる犠牲者たち。
 村人たちの勝利条件は生き残りの数が下回る前に魔物の正体を突き止めること―……。

 設定やゲームの内容は米澤さんの「インシテミル」に近いですね。ゲームの勝者=生き残りに口止め料をかねた莫大な賞金が提示されるところも同じ。ですが「インシテミル」が極限状況にありながらどこか遊び心をまじえたライトタッチ、よくいえばゲーム的なロジックで展開したのに比べ、こちらは錯綜する人間関係や重苦しい心理描写が比重を占める割合が大きい。どうしても雰囲気は陰鬱になります。
 主人公の福永は大学で知り合った恋人・亜美や高校時代からの親友・小泉、後輩で唯一の高校生・藍らとともにこのゲームに参加を余儀なくされるのですが、生き残る為に合理的な思考を重ね議論を促す彼と藍が次第に仲間から疎外され孤立していく過程は皮肉を感じました。本人たちは生き残る術を模索し、議論という最も効率的な対応策をとろうとしたのですが、「この中に魔物なんていない」「よく知る友人がそんな恐ろしい事をするわけない」という先入観(あるいは希望的観測)に縋りつく他のメンバーはそれに拒絶反応を示す。
 疑惑、不信、対立、裏切り、迫害……
 後半にいくにつれメンバーが減り、生き残った側も明日は我が身と追い詰められ、各々まとっていたペルソナをかなぐり捨てる。負の感情が渦巻く密度が高くなって息苦しいほど。
 その中で最年少の藍の計算高さ、冷静さは際立っています。「冷たすぎる」「この中で人を殺せそうなのはあなたしかいない」と指弾される福永も相当ですが、おもに彼の視点にそって物語が進行するため、彼にはそこまで不快感や嫌悪感を抱きません。感情移入の勝利。客観的にはかなり異様なんでしょうが……
 見所はやっぱり密室に閉じ込められた十一人の関係性の変化ですね。本書の七割が登場人物たちの議論や推理で占められています。
 誰が魔物で魔物でないか、裏切り者はだれか。
 恐怖は暴走を促す。
 魔女狩りを防ぐため冷静な議論をしようとすればするほど孤立していくジレンマにはらはらドキドキ。
 ナビゲーターとして登場するうさぎの言動や村人が食われるごと変化を遂げていく絵がまた不気味さを盛り上げて……
 
 面白かったんですがいくつか不満も。
 終盤で正体が明らかになる「魔物」はあるキャラに片思いしてたんですが、どうもその描写が弱い。
 私が見落としてる可能性もあるんで断言はできないんですが、魔物の正体が判明した段階になって初めて提示された要素のような気がしてアンフェアに感じました。恵美のベクトルはとてもわかりやすかったのに。
 福永と小泉の高校時代の「タブー」も肩透かしかなあ……
 プロローグから意味深に匂わせていたからゲームの黒幕の動機に関連づけてしまったんですが、福永が小泉の人間性を批判し否定する攻撃の材料とされただけで、じゃああんなに思わせぶりに引き延ばす必要なかったじゃんよーと。
 てっきりそれに絡んだ復讐かと勘ぐっちゃった。
 ゲームの黒幕や裏側が全く明かされないのは解説されないのは構いません、ネタ晴らししちゃったら逆に「なんだー」ということになりかねないですし作者が読ませたいのはそこじゃないんだろうなあ……と理解してます。作中何度も言及された藍の姉が実は……とか妄想を逞しくしてたんですが(笑)
 あと、会話の間に挟まれる福永の思考というか、心理描写がちょっと鬱陶しかった。
 「」「」と続かず合間合間に必ずそのキャラの描写や情動が入る感じで、表情の変化や目線の動きに気を配る意図は理解できても読むのにつまずきました。
 一番それを顕著に感じたのは僕わたしは魔物じゃないアピールタイム、下巻の持ち回り自己紹介。
 キャラが自分の性格や趣味について言及するたび福永と絡んだエピソードや彼の視点から見た人物評が挿入されるんですが、そのせいでブツ切りになっちゃって……
 上手いとは思うんですけどね……ちょっとしつこすぎたかな。「凭れる」「冷たい」の多用も気になった。
 カルネアデスの板とかシェレディンガーの猫とかそれっぽい単語が好きな人だな、というのも印象に残りました。
 著作リストを見れば一発でわかりますがラプンツェルの翼とかツァラトゥストラへの階段とか同系統だもん……。
 ぶっちゃけこれもそういうタイトルにすればよかったのに。「殺戮ゲームの館」なんて直球タイトルださいよ購買意欲湧かないよ。山田悠介は好きくないんですがタイトルセンスでは勝ってますね、あっちは騙されそうになるもの……。 
 一番人間らしい行動をとったのに魔物が気の毒すぎる……とか藍一人勝ちじゃんとか若干すっきりしないものは残りますがでも面白かったです!
 バトルロワイヤルのような血しぶきぶしゅっどばっのグロ的派手さはありませんが、サイコスリラーとしては手堅く出来てると思うので、そういうのがお好きな方はどうぞ。

 でも斬魔刀とかださいよー……だいなしだよー……。

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読んだ本感想 | コメント(-) | 20021101110450 | 編集
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