ロールシャッハテストB

まさみの18禁オリジナルBL小説ブログ。

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万里の長城は一日にして成らず 5

 「ねえ聞いた?梓と久住さん付き合ってるんだって」
 「え、そこまでいってないっしょ。たしかにいい感じだけど」
 「最近よく一緒にいるよね、こないだも食堂でいちゃついてたし。最近お昼誘っても付き合い悪いからあやしいな~と思ってたんだけど、そっか、そういうこと。あ、ファンデーション貸して。新商品?」
 「夏の新作だって。肌乗りいいの、試してみて。でもさ~、大人しそうな顔して案外ヤるよね梓。先こされちゃった~」
 「え、あんたも?千里くんは?」
 「だって千里くんやめちゃったし。久住さん仕事デキるし目つききついけどよくよく見ると男前だし、唾つけとくなら今よ」
 「有望株よね。出世しそう。案外面倒見いいし」
 「なあにあんた調子いいわよ、いっつも怒ってるみたいな顔つきでピリピリしておっかないって言ってなかった?」
 「最初の頃はそう思ってたんだけど……ああ見えてすっごく親切だし、こう、ギャップ萌え?眼鏡が似合う男っていいよね」
 「そうそう」
 「うちの職場ろくな男いないしさあ……亀田は論外だし」
 「生真面目でしっかりしてるし仕事できるしクールに見えてよく気が付くし。安子先輩と付き合ってるって噂あったからちょっかいかけなかったけど、先輩がデキ婚してフリーになった今が狙い目って感じじゃん。傷心に付け込んで落とすチャンス」
 「やめときなさいよ、梓相手じゃ勝ち目ないって。うちの一番人気」
 「梓と久住さんかー。あーっ、悔しいけどお似合いだなあ」
 「少なくとも亀田よりはねー」
 「亀田ってルックスはそこそこだけど軽くて頼りないしィ、女の子と外回りに出たら休憩だなんだってラブホに連れ込みそうで油断も隙もないじゃん」
 「ひどーい!でも言えてるかも。酔っ払いに絡まれたら女の子ほっぽって即逃げ出すタイプよね」
 「デート中にヤクザに車ぶつけられたら示談金代わりに彼女差し出してさー」
 「で、ソープに沈められた彼女と再会したら久しぶり元気ーって普通に挨拶しそう」 
 「うわ、ありえる。無神経そうだもんあいつ」
 「その点久住さんは逃げずに示談まとめてくれそうで安心感あるしー」
 「彼氏にするなら断然久住さんよねー」

 化粧室で黄色い嬌声と無邪気な笑いが弾ける。
 入り口横の壁に凭れ、口さがない女子社員の噂話に聞き耳立ててた男は、屈辱に震える拳をにぎりこみその足でオフィスに殴りこむ。
 
 「付き合ってくれ」
 いきなり勝負を申し込まれた。
 仕事中、パソコンのキーを打つ手をとめ椅子ごと煩わしげに振り向く。
 果たし状をつきつけるような闘魂あふれる面構えでそこに立つのは同僚、亀田。
 いつもへらへらしまりのないふやけきった顔を珍しく引き締めて、真剣な目つきで挑み立つ。
 「何だよ、いきなり。仕事中なんだけど。明日の会議に使う資料仕上げちまわねーと」
 「ちょっとでいいから。大事な話なんだ」
 渋る俺にごり押しする亀田。一歩前に踏み出し重ねて言う気迫に気圧される。
 「……わかった」
 ため息ひとつ、訝しみつつ席を立つ。
 亀田とは職場で毎日顔を合わせる同僚という以外接点がない。
 性格も正反対で反りが合わず、業務上必要最低限の連絡を除いて会話もない。
 ウェーブがかった髪を営業としてそれどうなんだ的に茶色く染め、眉を細く整えた風貌はいかにも今時の若者という感じで、軟派軽薄女好き、自分の能率が悪いせいで溜まった仕事はちゃっかりうっちゃってプライベートの交際に精出すけしからんやつだ。亀田にとっちゃ得意先のご機嫌より今日の髪型が決まってるかどうかのほうが重要事項だろう。早退や無断欠勤も多く、どうしてこんなやつが就職できたのか不思議だ。コネ入社という噂もある。
 辟易する俺をよそに、亀田はいそいそと屋上へ上がっていく。
 亀田はつかつかとフェンス際まで歩いていくや、おもむろに口火を切る。
 「梓ちゃんと付き合ってるって本当か」
 「は?」
 肩透かしをくう。
 亀田が振り向く。細く刈り込んだ眉が神経質に跳ね上がる。
 「噂になってんだよ。お前と梓ちゃんがよく一緒にいるって……二人で飯とかいつのまに……」
 「待てよ」
 「俺がさんざんアタックしたってスルーしまくりで玉砕で藻屑でなのにぽっと出のお前が横取りかよ、ありかよそんなの、女なんか興味ない仕事一筋ですってツラしやがって影でこっそり手えつけてたのか俺の梓ちゃんに、ずるいぞ」
 どこから勘違いを訂正したらいいものか迷う。
 俺と彼女の仲を誤解した亀田は妄想を暴走させ勝手に憶測を並べ立て激しい手振りを交え非難する、大事な用件というから身構えてついてきてみればくだらない、相手すんのもばかばかしい。
 仕事を中断されたいらつきをため息に乗せて吐き出し踵を返せば、亀田が叫ぶ。
 「待てよ逃げる気か卑怯者、むっつり眼鏡!」
 「誰がむっつり眼鏡だ」
 挑発に乗ってつい振り向いちまった。失敗だ。
 「とぼけるな、お前と梓ちゃんがそういう関係だってもうすっかり広まってんだよ、でどこまで行ったんだ、キスしたか、その先か、なんだよ畜生先越しやがって俺の努力はパアか!」
 「お前の努力って顰蹙もののセクハラ発言の数々?アプローチの方法間違えたな」
 亀田は女心がまったくわかっちゃない。いや、俺もわからないが。だから安子にふられたんだけど。
 「とったとられたって千代橋は物じゃない。言っとくが、俺と彼女はなんでもないからな。頭冷やせ」
 「すかしやがって……前から気に入らなかったんだよ、お前は」
 「だろうと思った。お互い様だな」
 丁々発止剣呑な応酬に空気が殺伐とささくれだつ。
 俺が亀田を疎んじてるのと同様かそれ以上に亀田に嫌われてる自覚はある。
 亀田が俺の悪口を言いふらしてる事にも随分前から気付いていた。
 仕方がない。世の中にはどうしたって相性の悪い人間がいる。俺にとっての千里がそれで、亀田にとっての俺がそれだ。トラブルをおこしたくないなら極力接触を避けて視界に入れないようにするしかない。
 が、もう手遅れだ。
 「彼女に振られたからって後輩に手をつけるか?」
 「安子は関係ねえだろ」
 別れた女を引き合いにだされ冷静さを失う。
 尖った声で反発すれば、俺の神経を逆なでして勝ち誇る。
 「図星かよ?」
 おもに異性相手に発揮する上っ面のよさをかなぐり捨て、嫉妬に狂った地金剥き出しの顔つきで亀田が唸る。
 「……梓ちゃんとどういう関係なんだ?」
 「同僚」
 「最近一緒にいるのは」
 「話す義理ねえ」
 「言えないのか」
 「………飯くらいだれと食ったっていいだろ」
 確かに最近、千代橋と一緒にいる時間が格段に増えた。昼飯時になると何故か千代橋か一緒に飯を食おうと誘う。断る理由もないし、連れ立って食堂に行く。  
 ずっと一人で飯を食いに出かけてたから食堂でだれかとしゃべりながら飯を食うのは新鮮で、結構楽しい。安子と付き合ってた時でさえ妙な見栄と照れが手伝って二人で食ったりしなかったのに、千代橋の場合異性として認識するよりその他大勢の後輩の一人という感覚が強いせいか、さほど抵抗を感じない。
 多分、千代橋は俺の事を気にかけてくれてるのだ。
 一ヶ月前千里が辞めてから、俺は変わったらしい。自分でも痩せたと思う。夜もなかなか寝つけず、眼鏡でごまかしても憔悴の隈が目立つ。
 千里が好きだった千代橋は、そんな俺に同情してるのだ。
 だけどそれを亀田に説明するのは面倒くさい。
 ……つうか、千里の辞職が俺が変調を来たした原因と知られたくない。詳細を明かせば芋づる式に千代橋の片想い相手もバレる。
 忌々しげにこちらを睨みつけつっかかる亀田を、俺のプライドと千代橋の名誉を守る為さりげなく牽制する。
 「とにかくお前が考えてるような関係じゃない。変な勘ぐりするな、彼女にも失礼だ」
 「彼女ねえ」
 「世の中の女が全部お前の射程圏内だって思うなよ」
 今度こそ背中を向け、屋上を後にする。
 デスクに戻ると同時に、噂をすればなんとやらで千代橋が寄ってくる。
 「あの、久住さん……亀田さんと、何の話だったんですか」
 「別に。なんでんもねえよ」
 「変なこと言われませんでした?」
 思わずまじまじと凝視しちまう。千代橋が頬を染め、俯く。
 一礼し駆け去る千代橋に困惑すれば、隣の席の羽鳥が口笛吹いて囃し立てる。
 「おめっとさん。一生に一度のモテ期到来だな」
 「冗談でも怒るぞ。千代橋が好きなのは俺じゃない」
 「はあ?」
 羽鳥が目を丸くする。椅子を引き腰掛け作業再開、そっけなく言い放つ。
 「千代橋はいい子だよ」
 俺とそういう仲だと誤解されたら千代橋が困る。千代橋は俺の後ろに千里を見てるんであって、俺自身とどうこうなりたいとは思ってないだろう。  
 羽鳥があんぐり口を開ける。
 「……マジで言ってんのか?一緒に帰ってんじゃん」
 「駅までな。帰るタイミングが被るんだよ」
 「いい雰囲気じゃん」
 「下心はない」
 「ふうん。へえ。枯れちまったね。擦れっ枯らしだね。むしろ茶渋だね」
 「うるせえ、安子にふられてこりたんだ」
 安子にあんな振られ方したのを引きずってか、恋愛にはいやでも奥手になる。
 美人な後輩に少し優しくされたくらいで勘違いするほどおめでたくない。 
 「………ひょっとしたら好かれてるかもとか、そういう勘違い、かっこ悪いだろ」
 信じるから裏切られる。真偽の見分けがつかない好意は重荷だ。
 自分のデスクについて書類を整える千代橋の清楚な横顔を窺う。目が合う。控えめな微笑を返され、まごつく。
 どうかしてる。
 
 「久住さん、一緒に帰りませんか」
 その日も千代橋に声を掛けられた。
 「駅までな」
 亀田や羽鳥が妙な事を言うせいか、寄り添う後輩から匂い立つものをやけに意識しちまう。
 そんなつもりはなかった。下心はない。この頃千代橋が積極的に声をかけてくるのは千里の事を知りたいからで、じきに飽きてよそへいくだろう。
 いつまでも期待を持たせるのはかえって残酷かもしれない。
 居残りの同僚に挨拶しオフィスを出て、エントランスホールを渡りつつタイミングを計る。
 「あのさ、千代橋」
 顔を上げる。俺を見る。小動物っぽい反応が可愛い。
 「……俺、悪いけど、あいつのことはよく知らないんだ。全然連絡とってねえから、今どこでどうしてるかもわからない」
 「あいつ?」
 「千里」
 名前を出せば鈍い痛みを伴う。
 千代橋が虚をつかれたような顔をする。
 「………あいつとはただの先輩後輩で、それ以上でも以下でもなくて、だから、悪いけど、千里のこと知りたいなら他あたってくれ。俺はそれしか言えない」
 ひとつひとつ、慎重に言葉を選んで絞り出す。
 もう一ヶ月以上たつのに、あいつの名前を口にするだけで、あいつの顔を思い出すだけで、胸がきりきり痛む。
 千代橋は千里の消息が知りたくて俺に近付いた。
 あの時俺ははっきり知らないと言った。他をあたってくれと突っぱねた。
 だけどきっと、誰かを好きって気持ちはそんな簡単に整理がつくもんじゃないだろう。現に千代橋は一度断られても諦めがつかず、かつて千里と組んでいた俺にしつこくついて回る。
 一度でわからないなら何度でも言おう、納得するまでとことん付き合ってやろう。
 今度は怒りに任せて怒鳴るんじゃなく、俺にできる範囲で精一杯誠実に説く。
 「力になれなくてすまない」
 肩を落としてしょげる千代橋に詫びる。
 千代橋はしばらく俯いていたが、やがてぽつりと呟く。
 「………鈍感」
 「え?」
 「まさか今までずっと気付かなかったんですか。私が千里くん狙いだって思ってたんですか」
 笑いとも泣き顔ともつかぬ愛想の尽き果てた表情で言い、振り切るように歩き出す。
 回転ドアを抜けて表に出る。不安を誘う背中に手を伸ばす。
 「千代橋、」
 「久住さんは女心がちっともわかってません」
 「なんでむくれるんだよ?」
 「……私、かなりわかりやすかったと思うんですけど」
 「方向がちがうだろ、なんで渡るんだよ」
 俺を無視し、青信号の横断歩道を足早に渡っていく背中を追う。
 渡りきると同時に点滅が終わって赤信号に移行し、車両の流れが再開する。
 千代橋は俺に背中を向け無言で佇む。
 こみ上げる何かを抑えるように肩が浮き沈みする。
 「……千里くんの事なんかどうでもいいんです。千里くんが心配とか、そりゃ全部嘘じゃないけど、ほんと言うと口実です。私は、むしろ……何も言わず突然辞めちゃった千里くんより、千里くんが辞めて落ち込んでる久住さんのほうが心配で」
 感情に駆られて口走り、失言を悔やむように唇を噛む。
 「落ち込んでねえよ」
 「言うと思いました。久住さん、他人のおせっかいは焼くくせに自分が心配されるのはいやがりますよね。だから……千里くんを口実にして近付くのが一番いいって考えたんです」
 千代橋は俺に背中を向けたまま、顔を見られるのを避けて俯いているが、背後からでもその耳朶が赤く染まっているのが確認できた。
 「人の善意に付け込んで利用して、いやな女ですよね、私。思わせぶりな前振りで、相談のってもらうふりで、はっきり言わず先延ばしにして……」 
 深呼吸ひとつ決心したように振り向き、まっすぐに俺を見つめる。
 「久住さんが好きです」
 告白されたと気付くのに五秒かかった。
 横断歩道を渡りきった対岸の通りで、肩にかけたバックの紐を握り締める千代橋と静かに向き合う。
 「………俺の、どこが」
 「しっかりしてるとこ。面倒見がいいとこ。潔癖すぎるくらい真面目なところ。他人にも自分にも厳しいところ。本当は優しいところ。眼鏡の位置を直すしぐさ。あげきれません。でも、きっかけは……新人歓迎会、覚えてます?」
 「ああ」
 「居酒屋で飲み会開いて。あの時、私、千里くんが席を立ったすぐあとにトイレにいったんです。そしたら男性用トイレのほうからやりとりが聞こえてきて……行儀悪いと思ったけど気になって、ついつい聞いちゃったんです。そしたら千里くんと久住さんで……久住さん、無理矢理飲まされて気分悪くなった千里くんのこと、一生懸命はげましてて。最初、おっかない人だと思ってたんです。あんまり笑わないし、むすっとして、近寄り難い感じがして。飲み会でも全然崩れないし。だけど、千里くんの世話を焼いてあげてるとこ見て……私、すぐ近くに座ってたくせに千里くんが我慢してた事に全然気付かなくて、違うテーブルにいた久住さんが真っ先にそれに気付いて行動した事に感動しちゃって……視野の広さと対応の柔軟さに感動して、そして気付いたんです。崩れなかったんじゃなくて、崩れないよう自制してたんだって。飲み会でみんながみんなぐでんぐでんに酔っ払っちゃもし千里くんみたいな人が出た場合フォローできない。誰かが損な役回りを負わなきゃいけなくて、久住さんはそういうのを買って出る人なんだってわかったんです。うまく言えないけど、なんか、こういう人になりたいなって思ったんです。社会人として、男性として……憧れました、すごく」
 千代橋に言われ、うっすらと思い出す。
 新人歓迎会が催された居酒屋のトイレで、酔った千里を介抱してやった。
 俺に背中をなでられながら、無理するなと言われたのは初めてだと弱弱しく笑ったっけ。
 「安子先輩と付き合ってるの知ってたからどうする気もなかったんだけど、安子先輩と別れてフリーになって、チャンスだって」
 取り澄ました美人と評判の千代橋が、俺の前でしどろもどろ本音を吐き出す。
 「でも、久住さん、先輩と別れてからもいつもどおりで……内心ショック受けてても表に出さなくて、仕事もきちきちこなすし、普段どおりクールに振るまってて。言い方は悪いけど、その、付け込む隙がなかったんです。けど、可愛がってた千里くんが辞めちゃって……安子先輩と別れた時も冷静に振る舞ってた久住さんが今度はすごく落ち込んでるふうに見えて、今なら私でもイケるんじゃないかって、そう……思い上がりました」
 可愛がってなんかないと反論するのも断念させるほど、千代橋は一途に思い詰めていた。
 「……考えてください」
 何をとは聞けなかった。聞かなくてもわかる。
 さすがにそこまで鈍感じゃない。鈍感なふりはできない。
 目のやり場に困って視線を逸らせば、すぐ隣の植え込みの陰に赤っぽいものが覗く。
 何だ?つられて腰を落とし拾う。缶コーヒーのおまけについてる赤いミニカーだった。
 「あ、可愛い」
 俺が手に持つちゃちなおもちゃに目をとめ、千代橋が微笑む。
 
 「……千里?」

 どうしてその名を呟いたのかわからない。
 唇から零れた名前に、自分で驚く。
 どうして千里がいると思ったんだろう。
 信号の点滅に伴い流れ行く雑踏の中に立ち尽くし、希望と絶望が綯い交ぜの予感に突き動かされ右向き左向きあたりを見回すも、一ヶ月前に忽然と消えたやつの姿は黄昏を迎えて帰宅の途につく会社員がすれ違うオフィス街のどこにもなく、胸に巣食う喪失感に何度目かの幻滅を味わう。 
  
 幻滅?
 どうしてがっかりするんだ?
 いなくなってせいせいしてるんじゃないのか?

 間隔を狭めて点滅する信号の光がミニカーの安っぽい塗装を照らす。
 「……これ、集めてるんだ。缶コーヒーのおまけのミニカー」
 面映げに頬を掻き、こっそりと千代橋に打ち明ける。
 「ガキっぽいか」
 「意外な趣味を知って得した気分です」
 偶然手にしたミニカーを夕日にかざしためつすがめつ、千代橋と笑いあう。
 ひとしきり笑いあったあと千代橋がふいに顔を強張らせ、下腹部できつく手を組みこちらを仰ぐ。
 「今度、もしよかったら、久住さんのおまけコレクション見せてくれませんか」
 千代橋の申し出の「裏」を読み取る。
 「―考えとく」
 
 なにもかも忘れて、最初からやり直すんだ。

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