ロールシャッハテストB

まさみの18禁オリジナルBL小説ブログ。

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脅迫するものはされるもの9

 千里の声が聞こえた。
 『气死我了!』
 『他媽的 !?』
 「うっせ黙れ聞こえねえ、いるのか聞いてンのか返事しろ、俺の命令には即ハイだ!」
 ノーの選択肢はない。
 張に貸された携帯から千里の声が聞こえた瞬間ぎりぎりまで張り詰めた内圧が一気に沸点に達し大喝、さんざん待たせた挙句迎えに来た安堵と巻き込まれた憤りと後輩に尻拭いさせる情けなさとがごっちゃになって見境をなくす、身を乗り出し喚く俺の両腕を毛と黄が容赦なく捻じり押さえ込む、すったもんだ揉み合ううち張の手から携帯がすっ飛んで床に激突、通話が遮断。
 「―っ、くそ!」
 『打死!』
 『好大的胆子!』
 罵声交じりの中国語がヒステリックに飛び交い耳朶を打つ、反抗的な俺に手こずって毛だか黄だか見分けがつかねえ男が腕を振りぬく、頬に衝撃が炸裂、勢い余ってベッドボードにぶつかる、抵抗が止んだ一瞬の隙に毛だか黄だかが背広の端をちぎれんばかりに引っ張る、馬鹿力に生地が裂けて繊維が糸を引く、着衣の強奪を図る手の甲を引っかいてベッド際にとびつく。
 ツーツーと無情な音に手遅れの徒労感が襲い、がっくり落胆。
 間に合わなかった。
 「~眼鏡の上から殴るな非常識め……」
 「割れたらセロテープ貼るいいね、世界ちとばかし歪んで見えるよ、それ現実ある。さ、有里さん来る前キレイキレイするよ、大人しくするね」
 「お生憎さま、俺はスーツを着た野獣って呼ばれてんだよ」
 無数の引っかき傷と痣をこしらえた張に毒舌で受けて立ちつつ、畜生どうしてこんなことになったんだと悶々と考える。
 有里と入れ違いに乗り込んできた毛と黄はだしぬけに俺の服をひん剥きにかかった。
 勿論抵抗した。
 冷凍マグロのように寝転がってちゃ意地もプライドも守り通せない、利き腕を手錠で拘束されてても左手と足が使える、スーツを脱がそうと襲い掛かる手を片っ端から薙ぎ払い蹴飛ばし暴れるも擦り傷が増えるだけ、しまいにゃ顔面に一発食らって吹っ飛んだ。
 皮肉なことに、この中では張が一番話がわかる。
 前科者だろう妙にこなれた手つきで有無を言わさず追い剥ぎを働く毛と黄を振り払い、業を煮やして叫ぶ。
 「人質はもうちょっと丁重に扱うもんだろ!」
 「思い上がるいくないね、お前ただの捕虜よ、優しくしてほしかたら腎臓売るよろし」 
 「お前に売る内臓なんざ盲腸しか持ち合わせてねえよ」
 張がネクタイの根元を無造作に掴み額をごり押しでぶつけてくる。石頭め。
 張と頭突きあう遥か背後でドアが開く、閉じる、次いで施錠の音。
 着々と接近しつつある気配に怯み、心臓に恐怖が根を張る。
 室内に敷き詰められた毛足の長い絨毯のせいか靴音は殆どしないが、そいつが生まれ持つ華やかで社交的な存在感は、なみなみ注がれたグラスから溢れ出るシャンパンの泡のように離れていてもひどく際立つ。
 足取りも威厳に満ちて颯爽と気品を従え、帝王のご帰還。
 「待たせたな」
 「千里はどこだ」
 出戻り社長に開口一番、今一番の関心事を聞く。
 「いるんだよな、さっき声聞いた、携帯で……途中で落っことして切れちまったけど、お前、あいつになにした」
 「丁重にエスコートしたさ。妾腹とはいえ、千里の名に連なる弟に手荒な扱いをするものか」
 「酷いことはしてないんだな」
 一応安堵。
 のろけにあてられたように有里が肩を竦める。
 「愛されてるな、お前。俺が拉致監禁を指示したと直感し、バンリは真っ先に駆けつけた。仕事を放り出して、会社を早退して、俺の城に乗り込んできた。頼れる王子様だ。惚れ直したか?」
 「とんでもねえ」
 ベッドに寝転がって肩で息する俺を一瞥、下僕の無能ぶりを嘆く。
 「戻るまでに服を脱がしてシャワー浴びせとけって言ったんだがな」
 「無理言うない、こいつめちゃくちゃ暴れて手つけられないね。迂闊に手錠はずせないよ」
 「やっぱお前の差し金かよ……」
 そんなこったろうと思った。
 だから本気で抵抗したのに。
 「汗臭い男は抱きたくなかったんだが……仕方ない」
 有里がこっちにやってくる。香水でも振りかけたように一挙手一投足に匂い立つ洗練の極みの優雅さに気圧されぬよう顎を引き、先手を打つ。
 「くんな、人呼ぶぞ、大声で……そしたらお前だって困るだろ社長さん、信用がた落ちだ」
 千里はもうホテルに到着してる、さっきロビーにいた、携帯で声を聞いた。
 今は?どこにいるんだ。
 さっきまで有里と同席してたのに一緒じゃないのはどういうわけだ、本当に無事なのか? 
 俺の焦燥を手に取るように有里がからかう。
 「叫びたいなら叫べばいい。この部屋は広く壁は厚い、声が漏れる心配ないさ。万一漏れたとしてもこのホテルは俺の物。従業員一同千里の威光に服従だ、通報される恐れはない」
 「周到だな」
 「社員教育は行き届いてる」
 「犯罪だぞ」
 「お前一人の訴えなんて後でどうとでも揉み消せる。権力は根を張るものさ」
 有里が俺の顔の横にひとつおいて腰掛ける。
 体重でベッドが撓み、びくつく。衣擦れの音に神経がささくれだつ。
 ひとつ間を詰め、仰向けの俺に覆い被さり、誘惑するように囁く。
 「脱いでもらおうか。皺にしたくないだろう」 
 左手を一回強く握りこみ、有里や中国人どもにばれないようズボンでぬめりを拭い、フレームに触れる。
 急く内心と裏腹にドライでタフな鉄面皮を装い、レンズ越しの眼光鋭く言う。
 「おふざけはやめろ、俺は帰る。どっかの道楽バカ社長と違って忙しいんだよ営業は、一日でも外回りサボったら貴重な人脈が枯れる。そういうの全部下っ端に丸投げしてる若バカ社長にゃわからないだろうけど」
 「すごい汗だ。怖いのか」
 「!?-っ、」
 せっかくハードボイルドに決めようとしたのに発汗を見抜かれ、カッとする。
 頭に血が上ると同時に左手が連動、騎乗した有里の顔面に左ストレートを叩きこむ。
 「有里サン大じょぶあるか!」
 張が叫ぶ。
 毛と黄も面食らう。
 誰一人俺の反撃を予想し得ずあっけにとられる。
 手切れ金を突き返した時はしくじったが、至近距離の今度は度は狙いを外さない。利き腕じゃないせいで体重が乗らずダメージは少ないが、俺自身これほど見事にストレートの一撃が決まるとは思わなくて、痛快さに胸が透く。
 「ははっ、鼻が高いと邪魔だな社長さ」
 「ん」と同時に横っ面に衝撃が爆ぜる。
 胸ぐらつかまれ強烈な平手打ちをくらう、瞼の裏で火花が炸裂し真っ赤に染まる、有里は俺のシャツをつかんだままつまらなそうに暴力を振るう、一切の躊躇なく容赦なく慈悲なく目障りな蝿を払うように不愉快げに平手で打擲、頬と眼球が火を噴く、仰け反った弾みにベッドボードに後頭部をしこたま痛打、ずりおちながら腕を交差させ顔を庇う、両腕をこじ開け固定され腫れ上がった素顔と無防備な寝姿をさらす。
 「ぁぐっ、」
 「バンリと違って崩れて惜しい顔じゃないしな」
 両手を開いて固定した上に覆い被さり、囁く。
 「……本来優しくしてやる義理はないんだ。思い知らせてやろうか」
 酷薄な顔に、あの日、俺に覆いかぶさった千里が重なる。
 じゃじゃ馬に手綱を打つようにネクタイを引き抜く、シャツを引き裂く、ボタンが苛烈な勢いで弾け飛ぶ、往復ビンタのせいで頬が腫れて頭が朦朧とする「やめろ」余力を絞って抗う、あがく、ばたつく、振り被る「ふざけんな、人呼ぶぞ」眼鏡の位置が大幅に下がって視軸がぶれる「誰か!」どうして誰も来ない、千里は「さわんなよ、シャツが、いい加減に……」
 「観念するある。所詮この世は弱肉強食、お前ご馳走ね」
 張が悪辣に処世訓を嘯く、毛と黄が性欲持て余しぎらつく顔で囁き合う、膝を肘を肩を体重乗せて容赦なく押さえつける、自らの痴態を否応なく見せつけられ顔を横に倒し唇を噛む、せめてその痛みでなけなしの理性と悲鳴だけは上げないプライドを保つ、どうにもならなくなるまで追い詰められても自分を軽蔑せずにすむ幻の何かにしがみつく。
 「色が白いな、意外と。キスマークが映えそうだ」
 シャツの切れ目、呼吸にあわせ上下動する腹筋をなめらかな手がなで上げれば、その範囲をざらつく鳥肌が覆う。
 襟元をはだけ、なだらかな起伏をなぞるよう鎖骨に手を這わせつつ有里が言う。
 「どうした?大人しくなったな。叩きすぎて鼓膜が破れたか」
 「―っ、意味わかんねえ……弟がどこの誰とナニしようが、どうでもいいだろ……成人して家でちまったらふつー関係ねえ」
 「バンリは俺のものだ。目移りは許さない」
 「恋人かよ」
 「そうだ」
 「は?」
 目を見張る。困惑。
 俺のシャツを引き裂き肌を暴き重ねて肯定する。
 「バンリは俺の恋人だ。ずっと体の関係を持ってきた。バンリが会社に入ってお前と出会う前からずっと、何年も前から、あいつは俺のものだ」
 恋人。関係。
 倫理外の単語が脳裏を巡って、顔の筋肉がぎこちなく引き攣る。
 「兄弟で、男同士だろ?」
 「それがどうかしたか?」
 拒否する心と裏腹に口が勝手に疑問を紡ぐ、俺の安直で短絡な質問に有里は憫笑で報う。
 「成人して、少し目をはなした隙にこのざまだ。俺が海外に行ってる間に、随分と安っぽい男をたらし込んだもんだ。プライドが傷ついた」
 俺の視線を絡めとり、憐憫と優越とを織り交ぜた微笑を唇に乗せる。
 「つまりお前は身代わりだったわけだ、淫乱なバンリが俺がいない間欲求不満を解消するためのな。おもちゃにはバリエーションが欲しいだろう?だからあえて俺と正反対のタイプを選んだ。俺にいじめられ続けた腹いせに、ノーマルで退屈なセックスしか知らない職場の先輩を、男なんて一人も知らないウブで真面目な年上を自分好みに調教した」

 俺が、身代わり。
 こいつの?

 「人にされていやなことは倍仕返す。最高だ、それでこそ俺の弟、俺が育てた可愛いバンリ」
 長い睫毛が覆う双眸をうっとり細め、楽しげに楽しげに哂う。
 奢れる支配者にして驕れる虐待者の笑顔。
 
 嘘だ。

 「うあっ!」
 電極刺激に似た疼痛が貫通、踝が跳ねる。
 「乳首がいいみたいだな。バンリに仕込まれたのか」
 「よく、ね……変態野郎……」
 恐怖心と羞恥心がマグマのように煮え滾りせめぎあう。
 肩から袖が抜け落ち、上半身を外気に晒す。
 執拗に絡みつく手を叩き落とす、振りほどく、千里と有里ができていた実の兄弟で男同士でつまり近親相姦、生理的嫌悪が恐慌の荒波を生む、脳裏にひらめく千里の顔俺を見下し嘲る顔むりやり股間をしゃぶらせてご満悦の笑み俺の袖口を握り立ち尽くす心細げな顔の輪郭が溶け合って混じり合って眼前の有里へと収斂していく。

 顔は似てない。
 パーツの柔らかい童顔の千里に対し有里はシャープな印象を備える、しかし今この時俺を虐げ嬲って組み敷く男はドラスティックでサディスティックな本性を剥き出し本質が弟と似通う。

 吐き気がする。

 「千里はどうしたんだ、来てるんだろ、どこにいるんだ!?お前正気じゃねえよ、実の弟と乳繰り合うなんて正気の沙汰じゃねえよ、病的にブラコンだ、そうかだからあいつは実家に帰らず逃げて」
 「バンリのために怒るのか?恋人でもないくせに」
 
 その言葉に、頭を殴りつけられたような衝撃を受ける。

 「ぅあっ、あ」
 乳首をつねり捏ね回す、千里の指遣いと無意識に比べちまう、あいつの前戯とこいつの前戯、爪の先でほじり指の腹で捏ね回し緩急強弱つけ器用そうな長い指を駆使し重点的に責める。 

 前戯もこいつ仕込みか。
 俺はいったいあいつのなんなんだ?
 こいつの代わりか?
 ずっとずっと、騙されてたのか。

 暴れるごと手錠ががちゃつき支柱と削り合う、手首が内出血し抉れた溝を刻む。
 前戯というよりか手慰みに近い熱の入らなさで次第に勃ち上がりつつある乳首を弄び、俺を見下す。
 「扇情的とは言えないが、嗜虐的ないい声だ。顰めた眉がそそる」
 喉の奥でくつくつ悪巧みするような笑いが泡立つ。
 「俺に抱かれたって知ったらバンリはどんな顔するだろうな」
 身の危険を感じ咄嗟に蹴り上げた足を毛と黄が押さえ、下着ごとズボンを引っこ抜く。
 「………びびって竦み上がってる」
 剥き出しの股間と萎えたものを視姦され、肌がサッと紅潮する。
 下着とズボンを膝に丸めて引っ掛けたまま振りほどこうと死ぬ気で暴れる、喉の奥から濁った威嚇の唸りを発し懸命に身をよじる、体をしきりとばたつかせ手足をめちゃくちゃに振るう、くりかえし蹴り上げたシーツに皺の畝が寄る、柔な布に複雑で微細な波紋が生じる、ベッドが軋む、千里に強姦された時の記憶がまざまざ甦って『淫乱だなあ先輩は』『自分から腰振って』『気持ちよくさせてあげますよ』言葉の暴力で陵辱される、内耳に渦巻き響く嘲笑と嘲弄、散発的なフラッシュバックに現実の光景が渦を巻いて被さって混沌の眩暈を呼ぶ。

 『先輩に手を出すな』
 『なにかあったらすぐ連絡ください』

 実直に約束した顔、悲壮に諭す顔。
 共犯だと決めつけてまともに話を聞かず追い出した。 
 「千里……」
 唇が、無意識に名前を呼ぶ。
 俺は、どうして、あいつとちゃんと向き合わなかったんだ。
 あいつが思い詰めてるとわかっていながら、突っ込んで聞かず、うやむやに流したんだ。
 仕事上必要な事なら流さず聞く自信がある、だけど対人関係となるとてんでダメで千里が悩んで思い詰めてると薄々勘付きながら俺が首突っ込む類のことじゃねえしそんな義理もないだろうと羽鳥に背中押されても煮えきらずうだうだ自分に言い訳し放置してた。
 千里は最近様子がおかしかった、ずっと思い悩んで上の空だった、仕事もミス続きで全然らしくなかった。
 千里はもうずっと何年も前から実の兄の有里に関係を迫られ飼いならされていて、その有里が日本に帰国して、再び千里に接近した。千里のそばにいる邪魔者を排除しようと動き出して、千里はそれを知って、俺を守り逃がそうとしたのに。

 『お前も一枚噛んでるのかよ!?』
 『部屋に盗聴器仕掛けられたこと知ってて黙ってたのか、お前以外だれがこんなことするんだよ!?』

 口汚く罵った、責め立てた。
 千里は終始俯き無言だった、悔しげに唇を噛んでいた。
 あいつはいつだって狂った兄貴の手から俺を遠ざけ守ろうとして 

 本当にそうか?

 そもそも俺が今こんな目に遭ってるのは千里のせいで千里が俺にしつこくつきまとうから無関係の俺まで目をつけられて拉致監禁されて、あいつはとんでもねえトラブルメイカーで俺はあいつにさんざん振り回されて人生めちゃくちゃで

 『淫乱だなあ久住さんは』
 『舌、さぼらず使ってください』
 『泣いて喘いで腰振ってくださいよ』

 本当に好きなら、なんであんな事ができる?
 有里の言い分が真実で二人は兄弟で何年も前から関係を持っていて、俺は恋人が帰国するまでの暇つぶしの玩具で、やりすぎて壊れちまっても所詮本命が帰るまでのつなぎだからどうでもよくて
 
 元凶は千里だ。

 「可愛いもんじゃないか、なあ、お前らも見てみろよ」
 「-ひぅっ、ぐ!?!」
 痺れるような快感が頭頂から股ぐらまで突き抜ける。
 有里がふざけ半分、ペニスの先端を人さし指で弾いたのだ。
 「あはははは、可愛い声ね。おちんちん痛い痛いか」
 『受不了』
 『好色鬼』
 「サイズは平均、感度は上々。膨張率がすごいのか?意外と」
 有里の冗談に張たちが追従し馬鹿笑い、下世話な哄笑が渦巻く。
 萎縮した股間を他人に寄ってたかって覗き込まれ、下卑た野次を矢継ぎ早に投げかけられ、羞恥と憤りと悔しさとで目に涙が滲む。
 「見ん、な……あっちいけ、ズボン返せ、剥いたらしまえ」
 半裸同然に着崩れたシャツから覗く肌に視線が突き刺さり、むずがゆさが身を苛む。ズボンを取り返そうと脱皮に苦しむ蛇の如くのたうつ手首を、張がシーツに縫いつける。
 両隣の中国人と目配せを交わしほくそえみ、有里が動く。
 俺のものを無造作に握る。
 「!ーあッ、う、てめ……」
 顔を赤らめ狼狽する俺の反応を見つつ、テクニシャンな手淫を行う。しおれふやけきったペニスを捧げ持ち、絶妙の力加減でやわやわと揉みほぐしたかとおもえば、徐徐に硬さを増し始めたそれを今度は強くしごきだす。
 「バンリじゃなくても勃つのか。他の男に見られても勃つのか。口ほどにもないな」
 口の端を上げ嘲弄しつつ恐ろしく巧みな手淫を施す有里の顔に、千里の幻覚がだぶる。
 「んっ、ぅく、ひ」 
 快楽は強制で。
 スーツを奪われた体はしどけなく無防備で心許なく、千里の指遣いを正確に、さらに巧妙にトレースする有里の策略に乗せられ呼び覚まされた前戯の記憶が性感を火照らせて。
 「あっ、あぅ、ふ」
 鈴口に透明な先走りが滲む、有里がそれをすくいとり一際敏感なカリ首から裏筋にかけての軟骨に似たしこりをコリコリほぐす。
 「変っ、なとこさわんな、ズボン引き上げろ、隠せ、しまえ……お前らもっ、ぼけっと突っ立って見てんじゃねえよこんなの眺めて面白いのかよとっとと出てけ!!」
 「まだ立場わかてないか。お前の命令聞く義理ないよ、張たちお金の味方よ、言うこと聞かせたい金払うよろし」
 張が枕元に腰掛け首を振る。
 毛と黄の顔に下卑た笑みが広がり、弛緩しきった口元から煙草くさい口臭が漂う。
 「うあ、はっ、う………」
 前をいじるのに飽きた有里が、ポケットから小さな瓶をとりだし、蓋を取って中身を手のひらにあける。千里に使われたことがあるからすぐわかった、ローションだ。
 粘性の高い透明な液体が手のひらの窪みに溜まり、とろりと光沢を放つ。
 手のひらをわざと傾け、俺の腹にたらす。
 腹筋に触れた冷たい感触に鳥肌立ち、「ひっ」と息を吸う。
 腹筋から零れたローションが内腿を伝う。失禁に似た感覚に筋肉で守られてない膝裏がひくつく。
 「やめろ………」
 有里が俺の足を開いて持ち上げる。
 後ろの窄まりにローションをまぶした手が伸びて、指の先端が沈む。
 閉じた穴を異物で拡張される違和感がトラウマを抉り、死に物狂いで首を振る。
 「やめ、やめてくれ」
 千里と手を切ると了承すれば、手切れ金を受け取れば、帰してもらえるのか。 
 もうこりごりだこんな茶番弟に犯されただけで最悪なのに兄貴にまで食いものにされる兄弟丼か、胡散臭い中国人が俺の痴態をにやにや不躾に観察してる、完璧に見世物、さんざん殴られた頬が熱を持ち疼く、首を振るごと前髪がばらつき潤む目を覆う、嘆願の声は情けなく震え今にも衣擦れに紛れかき消えそうな始末で最前までの威勢が消え失せた俺を指さし張たちが愉快げに笑う。
 畜生どうしてこんな目に。なんで千里は来ない。
 どうしてこんな目に、俺は悪くない……
 全部千里が
 「金を受け取るか?」
 首を振る。拒む。
 「そうか」
 「!あぐっ、」
 指を深く穿つ。押し広げ抉りこまれる激痛に、酸素を求め体がせりあがる。
 千里じゃない。目の前の男は千里じゃねえ、男はもちろん千里しか知らない、そう言い聞かせ気を逸らそうと努めるも自分の意志じゃ生理現象はどうしようもなくてローションをたっぷり塗した指を抜き差しされると襞がうねる。 
 「めちゃくちゃのぼろぼろにして、バンリの前に転がしてやる。さぞ後悔するだろうな、好きな男が自分のせいでレイプされたとくれば」
 千里のせい。あいつのせい、あいつの、あいつがいたから。
 最初から間違ってた、狂ってた、俺に薬を飲ませ縛ってレイプした、始まりから壊れていた。
 「金なんか貰わなくたって……喜んで、あいつと別れる……あっ、あう、あっ」
 腰に弾みがつく。突っ込まれた指がリズミカルに奥をつく。
 指が抜ける。安堵。有里が俺の膝を割り開いてのしかかった瞬間、それも霧散する。
 「俺の味を穴の奥まで覚えこませて二度とバンリが使えないようにしてやる」

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リーマン×リーマン | コメント(-) | 20010419225438 | 編集
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