ロールシャッハテストB

まさみの18禁オリジナルBL小説ブログ。

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文学少女見習いの、初恋。(野村美月)



 朱里さんが夢見るように語った、死によって永遠に結ばれる恋人たちに、わたしは惹かれた。
 好きな人と一緒なら死ぬのも怖くない。幸せに思える。
 そんな恋もあるのかなって、胸が震えた。
 けど、目の前で今、死のうとしている人を相手に、それがあなたにとっての幸せなんて、納得して見送ることなんかできない!
 どんなに余計なお世話でも、部外者の勝手な言い分でも、生きなきゃダメだ、生きててほしいと、喉が嗄れるまで叫ぶ!齧りついてでも止める!


今さら私が紹介することもない人気シリーズ「文学少女」。
このラノベがすごいでも完結と同時に堂々一位に輝きました。
元覆面美少女作家でひきこもりの「ぼく」こと心葉が高校で出会ったのは、食べちゃうほど本が好きな(比喩ではなくそのまんまの意味で)遠子先輩。

「ねえ、あなた文芸部に入らない?」
先輩のその一言がきっかけで何事にも消極的で後ろ向きな心葉は文芸部にひきずりこまれるのだが……

私が手に取った時はすでに書店で既刊平積みにされるほど人気があったんですが、実をいうと最初はばかにしてたんですよね。
「本を食べちゃうってナンセンスすぎる」「てかホントに好きなら食うなよ破くなよ!」ってかんじで斜に構えてたんですが、興味本位で一冊手にとってぱらぱら読んでみたらあらあら不思議次の日には全巻そろえちゃったよ奥さん。まんまと罠にかかりましたよ。
とにかく遠子先輩のキャラがいい。
母のように姉のように恋人のように迷える心葉を教え導く優しい先輩で本に対する愛情は人一倍どこか十倍、またの名を本が主食の妖怪。いかなる理由からか遠子先輩は普通の人とおなじように食事ができず本から栄養をとっていた、って設定だけ抜き出すとファンタジーなんですが、ストーリーはミステリー仕立て。といってもトリックよりは動機に重きを置いています。
外見は清楚でしとやかな文学少女なのに好きな本の事となると鼻息荒く、しばしば饒舌に「この本はコンソメスープね!」とか様々な料理にたとえ語り出す先輩に振り回される心葉。
先輩がとうとうと語る本の味は物凄くリアルでおいしそうで聞いてるだけでよだれがでる。本好き読書好きならもう好きにならずにいられないようなキャラです。
主人公の心葉は過去流行作家として一世を風靡したものの、好きな女の子が屋上から飛び降りる瞬間を目撃したトラウマに苦しみ続ける。
心を閉ざした心葉と先輩との距離感が絶妙。
他のキャラクターも個性的で大好きです。
レギュラー・ゲスト問わず全体的にヤンデレ多めなので病んだ娘さん好きは必読。
でもやっぱりストーリーがいいんだよなあ……古今東西の名著に絡み、人の心の闇が生み出した事件を文学少女な先輩があざやかな名推理で解き明かしていくんですが、台詞ひとつひとつが本当に胸を打つ。
シリーズ一作目「死にたがりの道化」で、絶望し屋上から飛び降りようとしたキャラクターに対する説得の台詞で泣きました。

もうね、あれは反則。あれは泣く。本好きとしてこみ上げてくるものがなきゃ嘘。

胸が震えた。
純粋で必死でまっすぐで、胸に突き刺さる。

本編完結済みで今回紹介する「初恋」は外伝(続編?)扱いになります。
遠子先輩卒業後、心葉ひとりとなった文芸部に飛び入り参加した新入生・菜乃の視点で語られる物語なんですが、心葉の成長が随所に見受けられ嬉しい限り。本編でうじうじぐだぐだ悩みまくってた心葉にずっと「男のくせにしっかりしろよー」とじれてた身としては、大人になったなあと感慨もひとしお。詰めの甘さが若干惜しいですが(笑)
遠子先輩との出会いと別れ、事件で出会ったさまざまな人たちとの触れ合いを通して彼も変わったんだと実感できて、この時点でもう胸いっぱいです。 
学園ビタースイートミステリってあおりに象徴される通り、ストーリー展開はかなり欝。
どうしようもない人の弱さ、ずるさ、愚かさが生み出した事件にはやりきれない苦みを感じるのですが、遠子先輩のしなやかな前向きさ、あふれんばかりの本への愛情、世界を肯定する姿勢が救いとなるので、読後感は必ずしも悪くない。
弱くずるく愚かであがき続ける人々が巻き込まれてしまった悲劇に心葉は何度も打ちのめされるのだけど、そのたび先輩に手をさしのべられ立ち直る。師弟以上恋愛未満、プラトニックでこそばゆく甘酸っぱいふたりの関係が本当大好きです。
「初恋」では部長になった心葉に菜乃が猛アタックを仕掛けるのですが、ぜんぜんなびいてもらえなくてちょっと可哀相。
改めて先輩の存在の大きさを実感しました。
でも菜乃も可愛いんだよなあ、まっすぐて一生懸命で可愛くて……人の痛みに共感し真摯に寄り添い、どんな絶望的な現実にも負けず、本の中からヒトカケラの「希望」をすくいあげようとする姿勢が遠子先輩にだぶります。
心葉が冷静さを失っちゃうのもわかる……。

おすすめのシリーズです。本好きを自認する方はぜひ手に取ってください!
登場人物たちの本への愛情が伝わってきて幸せになれます。
紹介したのは「初恋」ですがはじめて読む方は「死にたがりの道化」からどうぞ。
個人的には「飢え渇く幽霊」が一番好きです。情念と悲恋の物語。
MADもあったんで参考までに。完成度高ッ。

あーでも雛沢さん可哀相だ……切ねえ……。

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