ロールシャッハテストB

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ダン・サリエルとイドラの魔術師(あざの耕平)



 「なるほど俺は確かに怯んださ。モモにも、とばっちりが行ったかもしれん。だが、それでどうこうなるサリエル様だと思うなよ。オレにはオレの才能があり、オレの音楽がある。結局、オレはそいつに賭けるしかないんだ。とっくの昔に腹はくくってある。見てろ。どいつもこいつも、いまにこの天才ダン・サリエル様が目に物見せてやるからな!」

 「お客さんに謝りなさい」
 「……は?」
 「お金出してまであなたの音楽を聴きに来てくれた人たちにーあなたの音楽が好きで、一緒になって喜んでくれた、ホールのお客さんたちに、今すぐ謝りなさい」
 アマディアはきっぱり言った。それから、「ううん」と首を横に振った。
 「お客さんだけじゃないわ。スタッフのみんなにも。賞をくれた人たちにも。シャルマさんにも!あなたのために努力して、応援してくれてる人たちみんなにー謝りなさい、アサナミ・リジア!」


精霊と人が共存する今ここによく似た異世界。
一世を風靡する人気音楽家にして、自分の心を「形」にした音楽を糧に与え精霊を使役する神曲楽士でもあるダン・サリエル。
しかしこの男、タキシードが似合う貴公子然とした顔をひっぺがしてみればとんでもない暴虐無人な問題児。
尊大、傲慢、卑小、確かな自信と過剰な自尊をオーラとして放ちまくる音楽界の革命児。
そんなダン・サリエルと彼の契約制霊兼マネージャー兼メイドのモモ、押しかけ弟子だが師をもしのぐ才能の持ち主のアマディア、アマディアの演奏にほれ込んだ巨大な虎の精霊コジが送るドタバタコメディ。
最高。
もーーーーーーー最高です!最高でした!待った甲斐がありましたサリエルは相変わらず不埒千万と暴虐無人と傲岸不遜を掛け合わせた性格の俺様でかっこいいし、サリエルに虐げられるけなげなドジっ子のモモ可愛いし、コジは相変わらずアル中のどら猫だし(待て)でも今巻で一番がんばったのはやっぱりアマディアでしょうね。一巻はサリエルとモモを軸に展開しましたが、二巻ではダブルヒロインのもう片方アマディアがクローズアップ。
音楽家の名門一族に生まれかつては将来を期待された神童、しかしあがり症を克服できず試験に落ち続け親にも見放された令嬢。音楽を目指すものなら誰をも羨む特別な才能に恵まれながらも、人前で弾くことができないという致命的な欠点に悩み苦しむアマディアの内面が非常にリアルに描写されて感情移入していました。
あざのさんの書くキャラは等身大の肉付けがされていて、個々の葛藤や悩みなどにひしひし共感できます。
俺様キャラで倣岸不遜な言動が目立つサリエルにしたところで、ひどく繊細な面をあわせもつ。アマディアに「音楽を楽しめ」と教えたサリエル自身、彼女の才能と自分の才能とを比較し、劣等感を抱いてしまう。

ぜんっぜん完璧な人間じゃない。突出したひとつの才能を除けば難のほうが目立つ。それでもサリエルを好きにならずにいられない。
不遜で傲慢でコンサートでは客の入りを真っ先にチェックするような卑小な性格、ギャラが少ないと文句をつける、目つきの悪さを隠すため伊達めがねをかける。一方で音楽にかける情熱と理想をめざす真摯な姿勢は本物で、「演奏する者も聴く者も同時に楽しめる音楽こそ最高だ」との信念を持ちながら、自分の音楽はしょせん大衆と時勢に迎合した「消費される音楽」ではないかと不安に揺れる。あーもうほんといいよサリエル、良い意味で人間くさい。すごいツボ。結婚して。……いや、結婚はしたくないけどファンクラブ入らせてください。
で、今巻ではサリエルと因縁浅からぬ男が登場。「イドラ(偶像)の魔術師」の異名をとる敏腕プロデューサーでサリエルと喧嘩別れした元相棒、シャルマ。
こいつがまたいい性格してて……伊達にドSを名乗っていません。第三話で音楽に絡め才能論をぶつところは圧倒されました。サドというよりは徹底してシビアなだけかもしれない。「才能は小数点を数えない」という言葉は非常に冷徹ですが、真実の一面を抉っている。説得力があります。彼女がめざしてるのはアートじゃなくてアーティストのところとか、これ、音楽の道をめざしてる人はかなり耳が痛いじゃないかなあ……音楽に限らず、創作だの何だの芸術系の進路をえらんだ人全般にあてはまりますが。

というかですね、シャルマとサリエルがあやしくみえてしょうがない。
ドS。胸がときめきます。ふたり睨みあってるときのぴりぴりした空気がたまりません。普段へろ~んとした優男シャルマがモモをやけに敵視するのも意味深だし、喧嘩別れした元相棒の事務所に安酒もって押しかけるとか、ちょ、この人おいしすぎ(笑)カズアキさんのイラストのシャルマがまたどえりゃー美青年なせいでシャルマ×サリエルにしか見えない。サリエルに待望の相手役登場ですか。ああ、ふたりの間になにがあったか気になる……。
あがり症が克服できず人前での演奏は失敗続きのアマディアですが、幼馴染と腹を割って話し合って一皮剥けたのは嬉しい限り(人として大事なものもいくつか捨てたっぽいですが)とくに楽屋にもどってきたリジアに活を入れるシーンはすっとしました。よく言った、偉い!
「自分の音楽をめざす」というオリジナリティ追求論はアーティスト志望者ならだれしも持ち得るビジョンだけど、リジアのそれがいささか甘えに映ったのも事実。だからアマディアのお説教は痛快でした。サリエルに似てきたのかな……この師にしてこの弟子あり。
「音楽とは何か」「才能とは何か」「秀才と天才の差」などがダン・サリエルのテーマだと個人的には思ってるんですが、一方ですごくシビアな論理や価値観を語りながら、もう一方で現状に安住せず足掻くキャラへの優しいまなざしを忘れないのが読後感の良さの秘訣なんだよなあ……。実際に目に見え音が耳に聞こえてくるような演奏シーンは今回も健在。私もこんな文章が書けるようになりたい……。
 
今いちばんおすすめのラノベシリーズなので書店で見かけた方はぜひ手にとってみてください。

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