ロールシャッハテストB

まさみの18禁オリジナルBL小説ブログ。

最近のトラックバック
ブロとも申請フォーム
スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

関連記事 [スポンサー広告]
スポンサー広告 | コメント(-) | ------------ | 編集
「МISSING」本多孝好



情感。
静謐。
情景。
感傷。
そしてノスタルジア。

「МISSING」は本多孝好さんの作品の中でいちばん好きかもしれない。
「眠りの海」はすべてを失った男性教師と不思議な少年の一晩の対話。
「祈灯」幽霊ちゃんというあだ名の女性と兄弟の交流。
「蝉の証」は老人と女子高生の話。
「瑠璃」瑠璃色の目の従姉に憧れる男の子の切ない恋。
「彼の棲む場所」は完璧な人間の中にひそむ歪な分身の話。
それぞれ違った独特の味があるのですが、一番好きなのは「眠りの海」です。
この説に出てくる男性教師がめちゃくちゃタイプで。もう筆舌尽くしがたく好みで。
幼い頃に家族を事故で失い天涯孤独となった高校教師。
他人に心を許さず、深い孤独を抱え生きてきた高校教師が、問題児と噂される生徒と関係を結ぶも、彼女の突然の死がきっかけで敷かれたレールを逸れていく……。
子供の頃に家族と死に別れてからというもの他人と距離を置いて生きてきた教師が、教え子との恋愛を経て自分の中に封印した感情に目覚めていく過程がすごくいい。この教師の造形がすごくツボ。怜悧でストイックな色気がたまりません。しかも伊達メガネなんですよ伊達メガネ。最高です。
ようやく得たかけがえのないもの、失えない存在。
しかし初めて心を許した彼女は死に、再び独りになった彼は絶望し入水自殺を試みるも不思議な少年に助けられる。
そこでの対話を通し明らかになる恋人の死の真実とは……。
心理描写がすごく丁寧で繊細。洗練されている。
教師と生徒、男と女、周囲に知られてはならない禁断の関係。
秘密を持ったふたりはしかし、幸福な蜜月を過ごす。
クールでストイックで敬遠されていた教師は彼女の隣でだけひとりの男にもどり、リラックスした素顔を見せることができた。
複雑な家庭環境で育った彼女は教師の包容力にふれ、束の間日常の鬱屈を忘れ去ることができた。
そんな二人を見舞う悲劇、訪れる残酷な結末、最後にもたらされる一条の希望の光。
「蝉の証」は老人の秘密をさぐる女子高生ひと夏の冒険。
「彼の棲む場所」は人の心の深淵を覗いた気にさせ背筋が寒くなる。
清冽。
透明感。
ガラスのような硬度。
収録作はいずれも死の気配を孕んでいるが、それはあくまで抑制の利いた文章の行間に漂い、決して前面に出ず淡々としている。淡々としてるからこそ余韻がいつまでも残る。
登場人物たちはいずれも大きな喪失を体験し、人生の一部を損なってしまった過去がある。
喪失と再生というテーマこそ陳腐で月並みだけど、やっぱり本書は独特。読後、余韻が波紋のように広がりゆく。
トラウマの克服に焦点を絞るよりは、傷を傷としてあるがまま受け入れ、絶望と希望が錯綜する薄明の中折り合いを付け生きる道を示唆する。
  
ああいいなあ…………。
たぶん人によってどの作品が気に入るか好みが分かれるとおもいます。
ロールシャッハテストみたいなものですね。 

関連記事 [読んだ本感想]
読んだ本感想 | コメント(-) | 20021011025026 | 編集
ブログ内検索
     © 2017 ロールシャッハテストB  Designed by 意地天
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。