ロールシャッハテストB

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人生処方詩集(エーリヒ・ケストナー)



どうしてそんなことがありえるのか?
いったい 子供が蝿の羽根をむしるときだけが
彼らの本当の姿なのか?
子供のうちから 彼らは悪なのか?


ボダ×2完結しました。
最後までお付き合いいただいた皆さんありがとうございます。沢山のあたたかい声援とご感想励みになりました。
―ってことで、完結記念ってわけでもないんですが作中にも出てきたエーリヒ・ケストナーの「人生処方詩集」を今回はご紹介。
エーリヒ・ケストナーはドイツの有名な児童作家。
少年たちおよび教師の友情が美味しすぎて妄想の余地ありすぎな寄宿舎もの「飛ぶ教室」、「点子ちゃんとアントン」などが代表作ですが、大人のほろ苦い悲哀とくすっと笑える諧謔が詰まった「人生処方詩集」もいいんですよねー。高田馬場の古本屋で百円で買ったんですが実に掘り出し物でした。どうでもいいですがケストナーさん著者近影の眉が黒々しいよ、炭でも塗ったようだ。
この詩集においては粋なはからいをされていて、冒頭に「孤独にたえられなくなったら」「ホームシックにかかったら」「青春時代を考えたら」など検索しやすいよう処方箋に見たてた目録をずらり用意してます。
ざっと眺めても「偶然による残高」「自殺戒」「大げさな言葉のない悲歌」「春は前借りで」など尖ったネーミングセンスにぞくぞくする。
ボダ×2で引用したのは「堅信を受けたある少年の写真にそえて」と「従兄の隅窓」の二編。
どの詩も人生の悲哀とニヒルな諦観と滑稽な諧謔とが絶妙に結び付いて唸らされるんですが、言葉選びに発揮される鋭い感性と、たまに行間にただようセンシティブな慕情の対比がすごくいい。
 
 「おまけに雨が降り出した
  雨が降るときは人は善ならず
  おれに遇うやつはみんな
  おれに遇わないような顔をする」

 「ひとは冷淡な表情で世間に挨拶する
  そのにこやかさは本心ではない」
 

欺瞞や偽善を裏から暴く、ぎくりとしてしまう警句と出会う。

 「子供らがいちばんすばらしいものを望むとき
  彼らはほとんど口に出さない
  子供らがいちばんすばらしいものを望むとき
  彼らはただ母親の耳にささやくだけだ」

 「ふたりはたいそう惚れあっていた
  まるで本の中にしかないように
  彼女はお金がなかった 彼もなかった
  そこでふたりは結婚式を挙げて 声をそろえて笑った」

   
幸福な情景が目に浮かぶような箴言がある。

批評家のシニカリズムと小さきものへむける包容のまなざしが相まって、乾いてはない、さりとて湿ってもいない、独特の余韻をのこす。

パリッと糊のきいたシーツは迂闊にさわれば手が切れる。
湿気をすってふやけたシーツは気持ちが悪い。

度が過ぎて鬱陶しい感傷とも、厭世が過ぎて虚無に至る諧謔とも等距離を保ち、シニカルな中にもユーモアを忘れぬ視点をもってケストナーが紡ぐ詩は、どれもどこにでもいる小市民のありふれた人生の一幕を切り取っていて、とても印象深い。
これらの詩に出てくるずるく弱い人々に、我らが隣人的な親近感を抱かずにいられようか。自分の境遇と照らし合わせ感情移入せずにいられようか。
世間を批判しながら機知に富んだケストナーの詩は、彼の小説がそうであるようにどこか突き抜けた明るさを感じさせ、落ち込んでるときに読むと「まあこんな日もあるよな」「辛いのは自分だけじゃない」と元気付けられる。
ケストナーの小説を既読の方も未読の方ももし機会がありましたら手にとってみてください。

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