ロールシャッハテストB

まさみの18禁オリジナルBL小説ブログ。

最近のトラックバック
ブロとも申請フォーム
インシテミル(米澤穂信)

インシテミルインシテミル
(2007/08)
米澤 穂信

商品詳細を見る

「おれは確かに、別にどうってことない、一山いくらのただの大学生です。だけど、だからって駒にされるいわれはない。
償いをさせるなら、おれたちを駒に、高みの見物でミステリに淫してみた<主人>にさせるべきです。
(中略)……もう、こうなったら意地です」 


「車がなきゃ女にモテない」
強迫観念に突き動かされたビンボー大学生・結城はコンビニで求人情報誌を立ち読みしてたところ謎の美女に声をかけられる。
「あの、雑誌の読み方を教えてくれませんか?」
結城の目にとまったのは時給12万という破格の報酬のバイト。
モニターはとある地下シェルターに拘束され二十四時間行動を観察される。
ある者は金のためならなんでもするつもりで、ある者は冗談のつもりで、ある者は自分の才覚を試す一世一代のチャンスとしてこの奇妙なバイトに応募するが……

青春ミステリーの旗手として名高い米澤穂信の新境地、ディスカッションにおけるロジック重視のクローズドサークル物。
地下シェルター「暗鬼館」(名前からして怪しさ爆発ですね)に集った十二人の個性的な人物たちに与えられたのは、推理小説に精通した主催者からの挑戦状と古今東西の推理小説になぞらえた凶器。
一週間後の解放までじっとしていれば莫大な報酬が累積する。
しかし、「殺人ボーナス」ねらいの裏切り者が行動をおこしたせいで、暗鬼館は一気に猜疑渦巻く連続殺人の舞台へと変貌する……。
クローズドサークル物というと有栖川有栖の江神シリーズや綾辻行人の館シリーズ、アガサ・クリスティの「そして誰もいなくなった」が有名ですね。「インシテミル」にもご多分にもれず、クローズドサークル物の傑作と名高い「そして」にあやかった小道具が配置されてます。

犯人は誰か?
裏切り者は誰か?
悪趣味な殺人ゲームを仕掛けた主催者の目的は?

謎のまま物語は進み犠牲者はどんどん増えていく。
どんな異常な状況でもそれが続けば日常になる。
非日常は劣化していく。
人死にに慣れたキャラたちは犠牲者が増えていってもどこか冷めて乾いている。
結城のとぼけたキャラがいっそうそう思わせるのかもしれませんが、十二人のモニターのうちまともな神経備えてる方が少数派。 
悪趣味なゲームにのりのりなもの保身に窮々するもの多彩な内分けで読ませます。

なんといっても特筆すべきはヒロイン(?)須和名さん(結城にならっておもわずさん付けしちゃうよ)の空気を読まないどころか「読む読まないは自分で判断しますので」と言わんばかりの言動の数々。
昨日まで和気藹々おしゃべりしてた人物を監獄に閉じ込められた途端呼び捨て、蔑み慣れの態度、「でも俺、須和名さんにだけは信じてもらいたくて」という結城のいじましい告白を「自分で判断できますので」とにっこり一蹴するおそるべきひと。ひとよんで黒いえる。
どのキャラも個性的なんですが須和名さんは天女の見た目に無自覚にアレな言動の数々で際立ってます。
世間知らずの天然こそ国士無双で最強じゃないか……と。
しかし須和名さんは最初からそういうキャラだと認識してるのでいいですが、物語が進み人間関係が泥沼になるにつれ登場人物の化けの皮が剥れていくのが面白くもあり残念でもあり……
特に明るくて軽薄なノリの某キャラが終盤で腹黒キャラと判明した時は「お前そんなヤツだったのかー!!」と叫びたくなりました。
残念ながら美形から死んでくんだよなこの話……
あなたも暗鬼館にイン(IN)してみる?
 
指一本は百億円ですか、須和名さん。 
まさか兆はいかないですよね? 

関連記事 [読んだ本感想]
読んだ本感想 | コメント(-) | 20021004232138 | 編集
ブログ内検索
     © 2017 ロールシャッハテストB  Designed by 意地天