ロールシャッハテストB

まさみの18禁オリジナルBL小説ブログ。

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二コ(タカハシマコ)



「Can you fly?」

黄昏時、ロリポップなセーラー服の美少女と甘い誘いにご用心。
あなたは『船』へ飛べますか?

ニコ。
悩める少年少女のもとへどこからともなく現れる不思議な少女。
スタンダードなセーラー服に身を包み、コケットリーな媚態を演じ、無邪気に笑い、清楚に微笑み、放埓にはしゃぐ。

多重人格?
家出少女?

全にして個、群にして端。
神出鬼没の彼女の正体は軽犯罪抑止を目的に、将来軽犯罪をおこす可能性が高いと判断された少年少女を施設へ収容するためのナビゲーションツールとして制作されたロボット。
心を持たないはずのニコはしかし時として人間らしい一面を見せる。
あるときはリストカットに生きる実感を見出す少女のもとへ、あるときは人生に絶望した少年のもとへ、あるときは兄が自殺した少女のもとへ忽然と現れては去っていく愛らしい誘拐犯ーロリポップ・キッドナッパー。


「あなた ここじゃないどこかへ行ってみたいなーって思ったことある?」
「かわいそうな子供をさがしてるの あなた心あたりない?」

 
繊細で可憐な絵柄がナイフのようにざくざく抉り出す心象は、透明で痛い。
この話は「ニコ」と出会った子供たちの物語だ。
彼らはいずれも悩んでいる。
家庭、友達、性、将来……「心の闇」といってしまえば陳腐なもの、「心の傷」と一括りにしたとたん無個性に堕すが、だからといって一人ひとりが抱えたも物の重さが減るわけじゃない。
何者にもなれない自分に悩み苦しみ、逃避願望を抱く子供をニコは永遠の子供の国ー船へと迎えにやってくる。

ニコと出会った子供のすべてが船へと行けるわけじゃない。

ある者は船への逃避を切に望みながら果たされず、ある者は現実に絶望し二コの手をとり、ある者は二コとのふれあいを通しままならぬ現実と折り合って生きる道を模索する。
誰でも通る思春期。
乗り越えれば先がある、どんな形であれ将来が現実となる。
だがしかし、平坦な戦場から望む望まざるに関わらず脱落してしまう子供はいつの時代もいる。
そんな子供たちが二コとの触れ合いを経て得たもの失ったものとは?
 
致死量の毒を孕む飴玉の如く危険で愛らしい二コの魅力に読んでくうちにじわじわはまる。
可愛いのにどこか冷めて乾いた印象は「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」や尾崎かおりの「ナイフ」、石原敦子の作品にも通じる。
思春期特有の閉塞感、どこへも行けない焦燥感、何者にもなれない自己不全感、失望と絶望とほんの少しの希望。子供たちの心にはそんなものが詰まってる。
 
   
女の子って何でできてる?
お砂糖にスパイス
すてきなものずくめ
そんなものでできてるよ


女の子は世界中のすてきなものでできてるとマザーグースは歌う。
ガラスの眼球と冷たい人工肌で出来た二コは心をもたぬはずなのに、メンテナンス中の彼女達を見て、船で働く看護婦は呟く。
 
「あの時……私、自分の方がロボットの方に近い気がしたわ」
「心や人格までコピーしたら それは生きてるってことにならないかしら」

タカハシマコ作品の中で「二コ」が一番好きです。 

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